宮澤崇史「ヤビツ峠の整備活動をしよう」

Posted on: 2021.10.23

ヤビツ峠といえば、10kmを超える登り坂があることで関東では有名な峠だ。

神奈川県内からは勿論、東京からも多くのサイクリストが集まるこの峠は、サイクリストの聖地として長年愛されてきた。

山深いこの道は、ひとたび嵐が来ると木の葉や枝が大量に散乱し、とてもじゃないが走れる状態ではなくなる。

嵐や台風の翌日に走ったことのある人たちは、気づいているだろう。いつも綺麗に清掃されていることを。その道路を護ってくれている人々がいることを。

僕らサイクリストは、ただここを走らせてもらっているだけでいいのだろうか?

走れることが当たり前と思ってはいないだろうか?

「ありがたいな~」と、一言で済むことだろうか?

普段使わせてもらっている僕らサイクリストも、ヤビツの道路の整備・清掃に積極的に関わるべきでは?

自分たちが走る場所を自ら整備することで道をよく知ることができるし、危機管理もできるし、道路状況も肌感覚でわかる。

そこにある問題を知ることもできる。

多くのサイクリストが集まるヤビツ峠は、随分前から問題が発生していた。

それは、地元住民の方々にサイクリストが迷惑をかけている、ということ。

この道は上り始めて3kmほどは集落が続き、最も勾配のある直線道路(12%、500m)がある。

上り坂は問題ないのだが、下では軽く50km/hは出る。

地元住民の方々にとっては、音もなく猛スピードで次々と下ってくる自転車が恐怖なのは当たり前だ。

心あるサイクリストにはせめて住宅地だけでもゆっくりと下ってほしいが、気持ちの良いストレートを「ゆっくり走って!」と言うのもなかなか難しい。

大挙してやってきて猛スピードで走り抜けるサイクリストの存在を快く思っていない人々は、残念ながら存在する。

嵐や台風の後は、必ず地元の住人が道路をしっかりと綺麗にしてくれている。

重労働は地元の人がしてくれて、良いとこ取りでサイクリストが走る。

そんなつもりはなくても、地元の人から見るとそう見える部分は少なからずある。

僕らサイクリストも自主的に山の整備・清掃活動を行えば、もしかしたら地元の人も見直してくれるかもしれない。

自分たちが楽しければいい、それで良いのだろうか?

それより、そこを守っている人たちにも応援されるサイクリストだったら、もっと幸せなんじゃないかな?

自分がそこを走るのであれば、地元のおばちゃんやおっちゃんと常に気持ちよく挨拶できる間柄でいたい。

できることから始めよう。

それは誰かに伝えるためのメッセージでもないし、もしその想いが地元の人に届かなかったとしても、それはそれでいい。

僕らの気持ちの問題なのだ。

この山を、楽しませてもらうのであれば、

その道をいつでも走りやすく、

できれば一度たりとも事故が起きないように、

できる範囲で整備していきたい。

僕はこの活動を不定期で行うし、勿論できない日もあるだろう。

それでいい。

できるときに、できる人が、できる範囲でやっていけばいい。

これは特別なイベントではないし、

だからどう?というわけでもない。

ただ、走りやすい環境を作って、

そこを守りたいと思う人たちと仲良く共存していきたい。そのためにこの活動を続けていきます。

繰り返しますが、これは特別なイベントではなく、あくまで日常の一コマです。

やりたい人が来て、綺麗にして帰る。

そんなところから始めたいと思ってます。

人数が増えてきたら駐車スペース問題も出るだろうから、その時にはまとめる何かが必要になると思うけど。

最後に:<ヤビツ整備運動の注意事項>
– 熊手が一番やり易い
– 車に注意
– 駐車するときは他車の迷惑にならないように
– 路面バスが多いので常に周囲への配慮をお願いします

ビフォー

アフター

AUTHOR PROFILE

宮澤 崇史 みやざわ たかし/1978年生まれ。イタリア在住自転車プロロードレーサー。高校生でシクロクロス世界選手権に出場、卒業後イタリアのチームに所属。しかし2001年、母に肝臓の一部を生体移植で提供し手術のハンディもあり戦力外通告を受ける。再びアマチュア選手としてフランスで活動し実績を重ね 2007年アジアチャンピオン、2008年北京オリンピック出場、2010年全日本チャンピオンになる。2012・2013年はカテゴリの最も高いUCIプロチームに所属。2014年のジャパンカップで現役を引退。 筆者の公式ブログはこちら

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