宮澤崇史「ダイエット沼」

Posted on: 2021.02.27

自転車選手はみんなダイエットをする事が当たり前と思っている選手は多い。

もちろん、最終的な調整は体重管理でできることもある。

しかし、若い選手が20歳以下の選手が過剰にダイエットする必要はないし,お腹が出てる人は別として、それほど必要ない事だと思っている。そして、食べない選手はエンジンは大きくならない。

どんなに軽量の肉体を作っても、エンジンが小さかったらスクーターでハーレーに挑むくらい無謀な体作りになってしまう。

逆に大きなエンジンを作ってからのダイエットは効果的だ。エンジンを大きくするためにはよく食べ、大きな力を出せるよう体を作り、よく寝て回復すると言う単純な3つのポイントを抑えておこう。

そして、エンジンが大きくなると消費が増えるので、食べても太らない、そんな体になってから体重コントロールすることが望ましいでしょう。

そんなことわかっている!と言う人は多いが、そんな単純なことが出来ない選手が99%ほどいる。ヨーロッパで活躍できる選手が出てきてない現状がそれだ。

そして、10代の若い時にしか伸びない神経系の俊敏な動きを最大限引き出す事も重要だ。

僕は高校生の時、トラックレースに興味がなかった為、この部分を伸ばすことができなかったのが残念だった。

200mのハロンも11″2が最高で、1000mITTでは1’08が最速タイムだった。特に得意とも言えない普通な感じだ。

話を戻して、ダイエットをして体調がよくなると、次からもダイエットすれば調子が良くなるさ!任せにしてしまう事がある。

しかし、上を目指すなら適正体重(レースに合わせた)と、強くなるために大きなエンジンを作る作業を怠ってはいけない。トッププロも春先のクラシックを走る選手は体脂肪をあまり落としすぎないことを見てもわかることだ。

もちろん、一発勝負のレースに合わせるなら話はべつだ。

僕も北京オリンピックのヒルクライムは本当にキツく、勝負できる体を作るため、一発勝負で体脂肪率3%まで落とした。

結果残り2周で千切れてしまい、ただ完走しただけと言う残念な結果になってしまったが、1つの試みとしては良かったと思う。

体重59kgで5%を体重55.6kg体脂肪率3%前に落とし、15minの出力は10%くらい上げたので、筋肉も削ったが結果的には早くなった。

これはレースでできる体作りではないので、必死にトレーニングに取り組んで実現させた。

若い選手は自転車にお金をかけるより、体作りにお金をかけた方が将来的に見返りが大きいです。

良い自転車に乗ってる選手がかっこよく見えるのはわかりますが、ズタボロの自転車で勝ちまくっていた15年前のカザフスタンの選手は日本人に鮮烈な印象を与えた。

そして最新の機材で負ける悔しさと言ったら……

AUTHOR PROFILE

宮澤 崇史 みやざわ たかし/1978年生まれ。イタリア在住自転車プロロードレーサー。高校生でシクロクロス世界選手権に出場、卒業後イタリアのチームに所属。しかし2001年、母に肝臓の一部を生体移植で提供し手術のハンディもあり戦力外通告を受ける。再びアマチュア選手としてフランスで活動し実績を重ね 2007年アジアチャンピオン、2008年北京オリンピック出場、2010年全日本チャンピオンになる。2012・2013年はカテゴリの最も高いUCIプロチームに所属。2014年のジャパンカップで現役を引退。 筆者の公式ブログはこちら

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