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栗村修「トレーニングとビジネスの共通点」

Posted on: 2019.09.26
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私が自転車ロードレースチームの監督を務めていたのは2002年〜2013年の12年間でした。監督キャリア序盤から数えるとかれこれ15年以上の歳月が経ったことになります…。

当時20歳前後だった選手もすでに35歳前後(アラフォー)となり、全体でみても半数以上の選手が現役を引退しているように感じます。また、そろそろ引退を意識しはじめた選手が周りにチラホラいたりもします。

そんな彼らからセカンドキャリアの相談を受けることも少なくなく、今回は「自転車ロードレース選手のトレーニング&レース活動」と「一般ビジネス」の共通点とその中に於ける強みと弱みなどをざっと挙げてみたいと思います(自転車選手のセカンドキャリアの後押しの意味も込めて)。

「精神力」
◯強み:精神的・肉体的な痛みに対する耐性は抜群です。一般社会も逆境だらけなので仕事をしていく上では大きな武器になるでしょう。また、選手活動中は環境が常に変化し続けるため高い環境適応力も身についています。

◯弱み:痛みに強すぎるためひとがやりたがらない類の仕事や量を引き受けてしまい結果的にキャパオーバーに陥る可能性があります。

「計画性」
◯強み:現代のトレーニングは計画性なしでは成り立ちません。仕事も「目的」「時間」「資源」「手法」「順序」などを考慮して短時間で最大限の結果を求められます。

実効性の高いトレーニングプランを立てて予定通りのパフォーマンスを発揮できた選手は他の仕事へもその手法を汎用できるはずです(トレーニング計画と仕事の計画の仕組みは全く一緒です)。

◯弱み:一方、優れた感覚に頼って野性的なトレーニングを行う選手というのも意外と少なくありません。残念ながらその感覚は自転車のトレーニングには役立っても他の仕事に汎用できる可能性はあまり高くありません。

「分析力」
◯強み:選手とはいかにして自分のカラダ(と性格)を知ることができるかにかかっています。時に数値化して客観的に自らのカラダを分析し、時にやる気の絞り出し方を哲学的に研究したりもします。

自分だけでなくチームやライバルの分析ができるならば鬼に金棒です。こういったことが好きならば一般社会でも重宝されることでしょう。

◯弱み:一般社会というのは皆がアスリートの様に白黒ハッキリさせた状況(常に勝敗が明確な状況)の中で生きているわけではありません。やる気がなくダラダラ仕事していてもクビにならないという事実を受け入れることに時間がかかるかもしれません(分析しても答えが出ないことが意外と多い…)。

「団体行動」
◯強み:自転車ロードレースの世界というのは非常に濃い村社会となっています。フィジカル的に強くても皆から嫌われたら勝てないスポーツとも言われています。

一般社会に渦巻く妬み嫉みのかわし方を身に着けるには良い環境なのかもしれません。また、常に移動の連続なので高いバイタリティを身につけることが可能になります。

◯弱み:自転車ロードレースの選手は常に移動を繰り返しているため、移動することに対する耐性が最大限に高まっています。普通の人はそんなに移動しない(自転車ロードレースの選手は起きている時間の大半を自転車・クルマ・飛行機・その他で常に距離している)ので、もしサイクリング付きの社内旅行計画などを任された際などには移動距離に十分注意が必要です。

AUTHOR PROFILE

栗村 修 くりむら・おさむ/1971年横浜市出身。15歳から本格的にロードレースをはじめ、高校を中退し単身フランス自転車留学。帰国後シマノレーシングで契約選手となり、1998年ポーランドのプロチーム「ムロズ」と契約。2000年よりミヤタ・スバルレーシングで活躍した後、2002年より同チームで監督としてチームを率いた。2008-09年はシマノレーシングでスポーツディレクター。2010年より宇都宮ブリッツェンにて監督。2014シーズンからは、宇都宮ブリッツェンのテクニカルアドバイザーを務めた。現在は、一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役につき、ツアー・オブ・ジャパン大会副ディレクターとしてレース運営の仕事に就いている。JSPORTSのロードレース解説をはじめ、競技の普及および日本人選手活躍にむけた活動も積極的に行なう。 筆者の公式ブログはこちら

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