栗村修「なぜ引退後にロードバイクに乗らなくなるのか」

Posted on: 2021.04.08

ふと疑問に思ったのですが、元選手で引退後も日常的にロードバイクに乗っている人というのはどれくらいいるのでしょうか。

あくまで感覚的な数字ではございますが、恐らく23%くらいな感じがいたします…(すみません、なんの根拠もございません…汗)。

この数字をみて、「えっ、そんなに少ないの?」と感じた方が多いのではないでしょうか。

ということで今回は、「なぜ、元選手が引退後に積極的にはロードバイクに乗らなくなってしまうか」について簡単に考察してみたいと思います。

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◯昔みたいに走れないから

この理由はかなり大きなウェイトを占めていると思います。少なくとも私自身がそうです…。かつてはアウターギアにかけて一気にダンシングで駆け上がった丘を、今はインナーギアに落としてもはや峠を上るようにじっくりと上らなくてはなりません。

また、得意だったはずの上り坂で後ろからきたイキの良い大学生風のクロスバイクにかわされた日には、Uターンして家に帰りたくなってしまいます…

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◯ロードバイクの進化についていけてないから

よくあるパターンですが、20年前に乗っていた最高級ロードバイクを引っ張り出して若者たちと一緒に走り出してみると、すでに廃盤となったオールドパーツに食いつかれて、「◯◯さんの自転車、なんでそんな形してるんですか?」「えっ、マジでもこれでレース走ってたんですか!すげえ〜」などと多くの驚きの声を浴びてしまい、「お、おう、まあな」と、とりあえずスゴイ風にやり過ごすものの、内心ちょっと惨めな気持ちになってしまったりします…

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◯乗車時に上から見た自分の生脚にため息が出るから

毛が生えたメリハリのない青白い脚が弱々しくペダルを回している光景に、ある種のショックを受けてしまいます。「ああ、数年でこんなにも変わってしまうんだなあ」と、かつての血管が浮き出たあのキレキレの脚が恋しくなってしまうものです。

現役時代に毎日自分の脚をうっとり眺めていた選手ほどこの状態に陥りやすいといえます。

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ということで簡単にまとめますと、「よかった時代との落差が大きいから」という理由が大半を占めるような気がいたします。

解決策の一つとして「ロードバイク以外の自転車に乗ってみる」という方法があります。

そうすれば、多少なりとも「比較ができなくなる」ため、自転車に乗る新鮮さを取り戻せる可能性があるかもしれません。

AUTHOR PROFILE

栗村 修 くりむら・おさむ/1971年横浜市出身。15歳から本格的にロードレースをはじめ、高校を中退し単身フランス自転車留学。帰国後シマノレーシングで契約選手となり、1998年ポーランドのプロチーム「ムロズ」と契約。2000年よりミヤタ・スバルレーシングで活躍した後、2002年より同チームで監督としてチームを率いた。2008-09年はシマノレーシングでスポーツディレクター。2010年より宇都宮ブリッツェンにて監督。2014シーズンからは、宇都宮ブリッツェンのテクニカルアドバイザーを務めた。現在は、一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役につき、ツアー・オブ・ジャパン大会副ディレクターとしてレース運営の仕事に就いている。JSPORTSのロードレース解説をはじめ、競技の普及および日本人選手活躍にむけた活動も積極的に行なう。 筆者の公式ブログはこちら

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