栗村修「燃え尽き症候群の選手が増加?」

Posted on: 2021.04.14

今年に入って「燃え尽き症候群」に関する報道が目立っているような気がします。

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◯2021年1月:トム・デュムラン(30)が活動休止を発表

スペインでのチーム合宿参加中に「無期限活動休止」を発表してチームから離脱。「まるで100kgのバックパックを背中から降ろしたような気分だ」と会見動画で語る。

ユンボがデュムランを含む2021年のツールメンバーを発表した直後だったので急な決断だったと思われる。

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◯2021年3月:フィリップ・ジルベール(38)が主要クラシックへの出場をキャンセル

大きな怪我を負っても不屈の精神で何度も復活してきたベテラン選手のフィリップ・ジルベールが、春のクラシックの頂点である「ロンド・ファン・フラーンデレン」を前に「精神的及び肉体的な疲労」を理由に休暇に入ることを発表。

理由としては、昨年のツールで膝を怪我して以降、モニュメント(世界5大クラシック)完全制覇に向けて春先のミラノ〜サンレモまでかなり急ピッチでトレーニングを続けてしまった反動とされている。

尚、ジルベールは来週の「フレッシュ・ワロンヌ」からレースに復帰する。

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◯2021年4月:テオ・ノンネ(21)が燃え尽き症候群のため引退を発表

元フランスのジュニアロードチャンピオンで2019年からFDJの育成チームで走っていたノンネが燃え尽き症候群のため引退を発表。

「両親は私がプロ選手になるために、経済的にも時間的にも多くの投資をしてくれました。そしてチームも私を信頼してくれました。

たくさんの人たちに支えてもらっていた私は多くの犠牲を払い、一生懸命練習を続けました。私は自分自身に嘘をついていましたが、周囲をがっかりさせたくなかったのです」。

ノンネは鬱状態から摂食障害となりそして競技から離れる決断をしました。

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「地上で最も過酷なスポーツ」と形容される自転車ロードレースは、精神的にタフでないとトップクラスで競技を続けていくことは困難といえます。

ジルベールの様なベテラン選手であれば仮に大きな負荷がかかったとしても「早めの対処」ですぐに復活できたりもしますが、一方で、真面目な選手や若い選手などは、リミットを超えてしまうと深刻な燃え尽き症候群に陥ってしまったりもします…

特に近年はトレーニング面で非常に厳しい管理体制が敷かれているので、選手たちの精神的な負荷レベルは以前に比べて格段に上がっている様に思います。

更にコロナ禍の影響で選手たちの隔離状態は一層強まっており、「燃え尽き症候群」のリスクはこの先も上がる一方なのかもしれません。

なにごとも「楽しさ」が無くなってしまえば継続が困難になるので、なんとか「自転車に乗る楽しさ」を忘れない様に競技活動を続けて欲しいものです。

AUTHOR PROFILE

栗村 修 くりむら・おさむ/1971年横浜市出身。15歳から本格的にロードレースをはじめ、高校を中退し単身フランス自転車留学。帰国後シマノレーシングで契約選手となり、1998年ポーランドのプロチーム「ムロズ」と契約。2000年よりミヤタ・スバルレーシングで活躍した後、2002年より同チームで監督としてチームを率いた。2008-09年はシマノレーシングでスポーツディレクター。2010年より宇都宮ブリッツェンにて監督。2014シーズンからは、宇都宮ブリッツェンのテクニカルアドバイザーを務めた。現在は、一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役につき、ツアー・オブ・ジャパン大会副ディレクターとしてレース運営の仕事に就いている。JSPORTSのロードレース解説をはじめ、競技の普及および日本人選手活躍にむけた活動も積極的に行なう。 筆者の公式ブログはこちら

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