栗村修「ベルナル失速」

Posted on: 2020.09.15

「第107回 ツール・ド・フランス」は、注目の第15ステージを終え、総合順位に大きな変動が生じております。

21歳のポガチャル(スロベニア/UAE)が強さをみせてステージ2勝目を飾る一方で、ディフェンディングチャンピオンのベルナル(コロンビア/イネオス )は大きく崩れ、8分25秒遅れの総合13位へと転落してしまいました。

◯第15ステージ終了時点個人総合時間順位
1位 ROGLIČ Primož/Jumbo 65:37:07
2位 POGAČAR Tadej/UAE 0:40
3位▲2 URÁN Rigoberto/EF 1:34
4位▲2 LÓPEZ Miguel Ángel/Astana 1:45
5位▲2 YATES Adam/Mitchelton 2:03
6位▲3 PORTE Richie/Trek 2:13
7位▲1 LANDA Mikel/Bahrain 2:16
8位▲2 MAS Enric/Movistar 3:15
9位▼4 QUINTANA Nairo /Arkéa 5:08
10位▲2 DUMOULIN Tom /Jumbo 5:12
11位 MARTIN Guillaume/Cofidis 6:45
12位▲2 VALVERDE Alejandro/Movistar 6:52
13位▼10 BERNAL Egan/INEOS 8:25
14位▲1 CARUSO Damiano/Bahrain 9:02
15位▲2 BARGUIL Warren /Arkéa 32:27
16位▼3 CARAPAZ Richard/INEOS 32:55
17位▲2 KUSS Sepp/Jumbo 34:37
18位 ROLLAND Pierre/B&B Hotels 41:33
19位▲4 BILBAO Pello/Bahrain 43:26
20位 CHAVES Esteban/Mitchelton 57:07

一方、総合8位まで3分15秒差しかなく、このあとも厳しい山岳コースが続くことから、総合争いはまだまだオープンな状態といえます。

それでも、総合首位のログリッチとそのチームメイトたちの力は非常に強力であり、現状ではタイム差以上にユンボが有利な状況であることは間違いありません。

昨日、王者イネオスが事実上の敗北宣言を行いましたが、その一方で、休息日明けからはそのイネオスがアタッカーチームとしてレースを引っかき回してくるのは確実であり、このあとのレースはこれまで以上にアグレッシブになる可能性があります。

また、総合2位に浮上したポガチャルには「若さ」というポジティブな意外性があります。

この休息日には2度目の定期PCR検査が実施されており、「ツーストライク・チームアウト」ルールのリスクもあることから、まだなにひとつとして「決定事項」と呼べるものは存在していません。

いろいろな意味で歴史に残る「第107回 ツール・ド・フランス」はいよいよ最終週を迎えます!

▷You Tubeチャンネル「栗村修しゅ〜くり〜むら」
https://www.youtube.com/channel/UCXcLcd-K_QyKDhzPJP74H5g

AUTHOR PROFILE

栗村 修 くりむら・おさむ/1971年横浜市出身。15歳から本格的にロードレースをはじめ、高校を中退し単身フランス自転車留学。帰国後シマノレーシングで契約選手となり、1998年ポーランドのプロチーム「ムロズ」と契約。2000年よりミヤタ・スバルレーシングで活躍した後、2002年より同チームで監督としてチームを率いた。2008-09年はシマノレーシングでスポーツディレクター。2010年より宇都宮ブリッツェンにて監督。2014シーズンからは、宇都宮ブリッツェンのテクニカルアドバイザーを務めた。現在は、一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役につき、ツアー・オブ・ジャパン大会副ディレクターとしてレース運営の仕事に就いている。JSPORTSのロードレース解説をはじめ、競技の普及および日本人選手活躍にむけた活動も積極的に行なう。 筆者の公式ブログはこちら

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