栗村修「クラシックシーズン突入!」

Posted on: 2015.03.28

UCIワールドツアーの6戦目(ワンデーレースとしてはミラノ~サンレモに続いて2戦目)となる『E3 Harelbeke』が3月27日(金)に開催され、スーパーオールラウンダーのゲラント・トーマス(Team SKY)が、独走でメジャーワンデーレース自身初優勝を飾りました。

『ハレルベーク』は、”クラシックの王様”『ツール・デ・フランドル』の前哨戦という位置づけのレースであり『ハレルベーク』と『フランドル』のリザルトの相関性は昔から非常に高いといわれています。

そんな中、今回のレースで強さをみせたのは、勝ったトーマスのほか、スティバル(エティックス)やサガン(ティンコフ)などでした。

残念ながら、北のクラシックのチャンピオン二人(ボーネンとカンチェラーラ)が怪我で戦線を離脱したいま、フランドルで台風の目となるのは上記3人のほか、ポスト・ボーネンを狙う地元ベルギー勢(ファンマルク、ファンアフェルマートなど)と、テルプストラ(エティックス)あたりになってきそうです。

絶対的な王者不在となった今年の北のクラシックは、良い意味で荒れること必至の展開となってきました。

そんなワクワク感が徐々に盛り上がってくるこの時期ですが、今シーズンはここまでTeam SKYの快進撃が続いています。

3月27日時点で既に今シーズン15勝を挙げており、しかも、通常勝利を量産することの多いスプリンターによる勝利はこのうちヴィヴィアーニの1勝のみで、他の14勝は実力差のでるレースでの勝利や、個人総合優勝などとなっています。

Team SKY同様に強力なメンバーを擁する ティンコフ・サクソ が今シーズンここまで2勝と低迷しているのとはまさに対照的なリザルトと言っていいでしょう。

私自身も国内のレース界とはいえ、監督時代にこういった『ハマる』、もしくは『ボタンを掛け違ってしまう』という経験をたくさんしてきました。

選手たちというのは、強靭な肉体と精神力を持つ一方で、とても繊細な一面も持ち合わせています。本当に些細なちょっとした心配事やストレスが、選手、そしてチームのリザルトに大きく影響を及ぼすことは少なくありません。

逆に、いつもより少しだけ大きな信頼ややり甲斐を得ることで、文字通りハマったように勝ちはじめることもあります。波に乗っているチームが突然失速することもあれば、失速していたチームが突然息を吹き返すこともあります。

本番まであと8日。

各チームの首脳陣がどの様にそれぞれのチームを最高の状態へと導いていくのかに注目したいと思います。1

AUTHOR PROFILE

栗村 修 くりむら・おさむ/1971年横浜市出身。15歳から本格的にロードレースをはじめ、高校を中退し単身フランス自転車留学。帰国後シマノレーシングで契約選手となり、1998年ポーランドのプロチーム「ムロズ」と契約。2000年よりミヤタ・スバルレーシングで活躍した後、2002年より同チームで監督としてチームを率いた。2008-09年はシマノレーシングでスポーツディレクター。2010年より宇都宮ブリッツェンにて監督。2014シーズンからは、宇都宮ブリッツェンのテクニカルアドバイザーを務めた。現在は、一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役につき、ツアー・オブ・ジャパン大会副ディレクターとしてレース運営の仕事に就いている。JSPORTSのロードレース解説をはじめ、競技の普及および日本人選手活躍にむけた活動も積極的に行なう。 筆者の公式ブログはこちら

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