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栗村修「ディスクブレーキ問題」

Posted on: 2016.04.16
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先日開催された 『パリ~ルーペ』に於いて、懸念されていた事故の一つが発生してしまいました。

モビスターのスプリンター、フランシスコ・ベントソが集団落車に巻き込まれた際、恐らくディレクト・エネルジーの選手が使用するバイクに装着されたディスクブレーキのローターに接触し、左脛に切り傷を負ってしまったのです。

傷はかなり深く脛骨が見えるほどで、すぐに緊急手術が行われたとのこと。

これまで、ディスクブレーキが公式ロードレースで使用可能になるまではかなりの時間を要していました。レース中の車輪交換など技術的な問題が取り沙汰される一方で、選手サイドからは様々なリスクがあるとの声も多数挙がっていました。

そして、ある程度時間をかけて議論が繰り返されたのち、UCIは根強く残る反対の声を押し切ってディスクブレーキの暫定採用を決めます。

何事に於いても新しいものが導入される時というのは必ず一定のアレルギーが発生するものではありますが、今回に関してはそのアレルギーが徐々に沈静化するのではなく、現実の問題として負の方向へと表面化してしまいました。

この事故を受けてUCIはすぐにディスクブレーキの使用停止を発表しました。

今後どちらの方向へ向かっていくのかを見守る必要がありますが、すでにベントソ以外にもディスクローターとの接触が原因で怪我をした選手がでていることから、ロードレースという種目のなかに於いては、今のブレーキローターがむき出しの状態だとかなりの確率で危険な部品となってしまうことは立証されつつあると言って間違いありません。

制動力という観点では大きなアドバンテージを持つディスクブレーキ。特に雨天時などには現行のリムブレーキだと極端に制動力が落ちるケースが多々あり、ブレーキが効かなくなった選手が高速でチームカーやフェンスなどに激突するシーンをたまにテレビなどで見かけることもあります。

とはいえ、大きなデメリットが表面化したいま、選手サイドからの反対の声も大きくなっているようなので、正式採用に踏み切るにはかなりハードルが上がってしまったと言わざる得ない状況といえるでしょう。

AUTHOR PROFILE

栗村 修 くりむら・おさむ/1971年横浜市出身。15歳から本格的にロードレースをはじめ、高校を中退し単身フランス自転車留学。帰国後シマノレーシングで契約選手となり、1998年ポーランドのプロチーム「ムロズ」と契約。2000年よりミヤタ・スバルレーシングで活躍した後、2002年より同チームで監督としてチームを率いた。2008-09年はシマノレーシングでスポーツディレクター。2010年より宇都宮ブリッツェンにて監督。2014シーズンからは、宇都宮ブリッツェンのテクニカルアドバイザーを務めた。現在は、一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役につき、ツアー・オブ・ジャパン大会副ディレクターとしてレース運営の仕事に就いている。JSPORTSのロードレース解説をはじめ、競技の普及および日本人選手活躍にむけた活動も積極的に行なう。 筆者の公式ブログはこちら

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