栗村修「プロレース開幕」

Posted on: 2015.01.21

いよいよオーストラリアとアルゼンチンで本格的なシーズンが開幕しました。オーストラリアでは、2015年ワールドツアー初戦となる『ツアー・ダウンアンダー』がはじまり、地元アデレード出身のジャック・ボブリッジが、早速第1ステージを制してリーダージャージを獲得しています。

一方、南米アルゼンチンではじまった『ツール・ド・サンルイス(UCI-2.1)』では、ロードレース界ではほぼ無名といってもよい、20歳のコロンビアチャンピオン、フェルナンド・ガヴィリアが、並み居る強豪スプリンターを抑えて見事ステージ優勝を飾りました。

二人ともナショナルチームとしての参加ながら、いきなりワールドチームの強豪選手たちを抑えての勝利にご満悦の模様です(自転車ロードレースの世界でのナショナルチームは通常若手の登竜門的な位置づけ)。

この時期のトップ選手たちはまだまだ試運転中という状況であるので、ここでの大金星を狙うのはある意味で中堅や若手選手たちの常套手段ともいえます。

また、最近は『シーズン中のビッグレースで活躍する選手というのは春先にもある程度結果を残す』という傾向があるので、試運転中とはいえトップ選手たちのリザルトにも注目する必要があります。

昔のように『まだ1月だから後方集団でフラフラ走ってても問題ない』という呑気な時代は既に終わっているわけで(そもそも昔は1月にロードレース自体が開催されていなかった…)、そういった意味では若手に負けたカヴェンディッシュは次のチャンスでは本気で勝ちを狙ってくることでしょう。

総合系についは、昨年の『ツール・ド・サンルイス』では、コンタドール、キンタナ、ニーバリ、ホアキン・ロドリゲスといった豪華な面々が、いきなりの直接対決を繰り広げてくれましたが、今年のサンルイスにはキンタナのみが参加と若干寂しい状況となっています。

とはいえ、このあと続々と他の強豪選手たちもシーズンインしていくわけですから、観戦する我々もそろそろ頭の中をシーズンインさせないといけませんね!

AUTHOR PROFILE

栗村 修 くりむら・おさむ/1971年横浜市出身。15歳から本格的にロードレースをはじめ、高校を中退し単身フランス自転車留学。帰国後シマノレーシングで契約選手となり、1998年ポーランドのプロチーム「ムロズ」と契約。2000年よりミヤタ・スバルレーシングで活躍した後、2002年より同チームで監督としてチームを率いた。2008-09年はシマノレーシングでスポーツディレクター。2010年より宇都宮ブリッツェンにて監督。2014シーズンからは、宇都宮ブリッツェンのテクニカルアドバイザーを務めた。現在は、一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役につき、ツアー・オブ・ジャパン大会副ディレクターとしてレース運営の仕事に就いている。JSPORTSのロードレース解説をはじめ、競技の普及および日本人選手活躍にむけた活動も積極的に行なう。 筆者の公式ブログはこちら

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