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栗村修「ピラミッドを上るための階段」

Posted on: 2019.11.18
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先日、現日本ロードチャンピオンである入部正太郎選手(シマノレーシング)のUCIワールドチーム「チームNTT」入りが発表されました。

私自身、この移籍に関する情報は全く得ていなかったので、正直、ネットのニュース記事で知ったときにはかなり驚きました。

というのも、入部選手自身はとても強い選手ですし、アジアでの実績もある選手ではあるものの、一方で、本場欧州での経験値は少なく、また、他の強豪日本人選手でもなかなか手の届かないUCIワールドチームの貴重な枠を一気に獲得したからです。

かつて、私自身も「宇都宮ブリッツェン」の監督を務めていた時に、欧州での目立った実績のない増田成幸選手を当時のワールドチームである「キャノンデール・プロサイクリング」へ送り出したことがありました。

その時は、彼のことを考え、ありのままの状況をブログに書いて、その上で増田選手をヨーロッパへ送り出したことを覚えています。

現状、ほんの一握りの選手を除いて、殆どの日本人選手がなんらかの後ろ盾を得て海外プロチームとの契約を結んでいる状況です。

ですので、その後ろ盾に若干の強弱があるにせよ、入部選手の契約も「チームNTT」側が求めたものであれば立派なものですし、また、選手としてこの話を断る理由というのはどこにもないと感じます。

更に、こういった類の契約は他のスポーツなどでも数多く見受けられており、大切なのは、席を獲得したあとになにを成し遂げられるかになるのだと思います。

その一方で、個人的な感覚になりますが、「ピラミッドを上がっていくための階段」というものが、もっとシンプルかつ、誰がみても納得できて、更にわかりやすいものであるべき、と感じる時があります。

今回の入部選手の契約がどの様な種類で、どういったメッセージを発していて、これから世界を目指す若者や彼らの指導者などが、そのメッセージをどの様に受け取るのかなどについて、同時に考えていく必要があるように感じます。

昔から言っていることではありますが、プロになるための、というか、日本人のロードレース選手が活動していくための選択肢というものが、多様化し過ぎており、どの道が正しくて、どこをどの様に上っていけば正解なのかが若干ボヤけてしまっているところがあります…。

この部分についても、早い時間帯で共通認識を構築していく必要があるように感じます。

AUTHOR PROFILE

栗村 修 くりむら・おさむ/1971年横浜市出身。15歳から本格的にロードレースをはじめ、高校を中退し単身フランス自転車留学。帰国後シマノレーシングで契約選手となり、1998年ポーランドのプロチーム「ムロズ」と契約。2000年よりミヤタ・スバルレーシングで活躍した後、2002年より同チームで監督としてチームを率いた。2008-09年はシマノレーシングでスポーツディレクター。2010年より宇都宮ブリッツェンにて監督。2014シーズンからは、宇都宮ブリッツェンのテクニカルアドバイザーを務めた。現在は、一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役につき、ツアー・オブ・ジャパン大会副ディレクターとしてレース運営の仕事に就いている。JSPORTSのロードレース解説をはじめ、競技の普及および日本人選手活躍にむけた活動も積極的に行なう。 筆者の公式ブログはこちら

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