栗村修「17年目の J SPORTS」

Posted on: 2016.02.18

『2016年 J SPORTS サイクルロードレース』の一発目となる、『ツアー・ダウンアンダー(UCIワールドツアー開幕戦)』のダイジェスト放送が、2月20日(土)22時45分からの『ピープルズ・チョイス・クラシック』を皮切りに1週間に亘って放送されます。

私にとっても開幕戦となる『ツアー・ダウンアンダー』ですが、毎年、シーズン最初のスタジオ入りをすると、なんというか妙な緊張感に包まれます。

私が最初に『J SPORTS サイクルロードレース中継』で解説を担当したのは2000年の『ツール・ド・フランス』です。あり得ないほどの緊張感から目眩を感じた想い出のあの夏から、はやいもの今年で17年目を迎えます。

そんな17回目のシーズンを迎えるにあたり、ザッとこれまでの16年間を振り返ってみると、自転車ロードレースというスポーツが様々な『波』に翻弄され続けた試練の時期だったことを改めて痛感します…

もしかすると、100年以上続く『自転車ロードレース』というスポーツ全体の時間軸のなかでも、ポジティブなことよりもネガティブなことの方が圧倒的に多かった期間だったのかもしれません。

現在も様々な問題を抱えている部分は多々ありますが、それでもこのスポーツに関わる人たちの諦めない心が、少しずつ『ロードレース』というスポーツの環境を改善させはじめています。

そういった意味では、今年で18回目の開催を迎える『ツアー・ダウンアンダー』は、『新時代のサイクルロードレースを象徴するレース』として新しい流れを数多く生み出してきました。

自転車ロードレースの文化を持たない国が、ステージレースながら『タウンtoタウン』ではない形式を採用しその上で高い評価を得たことで、ここ10年の『ロードレースのワールドワイド化』を大きく加速させたのです。

純粋にレースとして観戦しても楽しいレースですが、『自転車ロードレースの新しいビジネスモデルのお手本』という観点でこのレースをみると、より違った魅力を発見することができるかもしれませんね。

AUTHOR PROFILE

栗村 修 くりむら・おさむ/1971年横浜市出身。15歳から本格的にロードレースをはじめ、高校を中退し単身フランス自転車留学。帰国後シマノレーシングで契約選手となり、1998年ポーランドのプロチーム「ムロズ」と契約。2000年よりミヤタ・スバルレーシングで活躍した後、2002年より同チームで監督としてチームを率いた。2008-09年はシマノレーシングでスポーツディレクター。2010年より宇都宮ブリッツェンにて監督。2014シーズンからは、宇都宮ブリッツェンのテクニカルアドバイザーを務めた。現在は、一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役につき、ツアー・オブ・ジャパン大会副ディレクターとしてレース運営の仕事に就いている。JSPORTSのロードレース解説をはじめ、競技の普及および日本人選手活躍にむけた活動も積極的に行なう。 筆者の公式ブログはこちら

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