佐藤一朗「鹿屋体大が切り拓くメジャースポーツへの道。日本初トラックプロチーム『CIEL BLEU KANOYA』誕生」
昨年末から少しずつ情報として伝わって来ていた鹿屋体育大学の新しい活動、卒業生の新しい活動の場について正式発表がありました。
<CIEL BLEU KANOYA(シエル ブルー カノヤ)オフィシャルホームページ>
今春鹿屋体育大学・大学院を卒業する塚越さくら選手、上野みなみ選手の今後の競技活動については、本人達はもちろん黒川監督を始め支援を戴いている沢山の方々の懸案事項でした。
僕の知る限り日本自転車競技史上最も優れた女子中距離選手である2人が、大学院に進学して継続していた競技活動も今年の3月で卒業を迎え、その後競技生活をどういう形で続けて行くか、これからの日本の自転車競技がメジャースポーツになって行くためにも越えなければならないハードルでした。
これだけの戦績を残しながら競技を続けていくための方法が見つからず、大学卒業と同時に引退しなくてはならない。それでは折角積み上げてきた物が一からやり直しになってしまいます。
きっかけは2人の選手の存在と東京オリンピックの開催決定です。2つの大きな要素が出来たことで黒川監督を始め、多くの支援者の方々の力を結集して頂き、2人が競技を続けていくための環境を1から作り上げる事になりました。
今回立ち上げた「CIEL BLEU KANOYA」は当面、塚越選手・上野選手を中心に活動していく事になると思いますが、もちろんその先の展望が無いわけではありません。日本の自転車競技の普及の為にさらなる一手を考えています。また次の機会にそのお知らせが出来る事を僕自身も楽しみにしています。
余談ですが。
新チームのGM兼監督に就任した高宮正嗣氏は、僕が鹿屋体育大学の指導に関わるようになった年の4年生でした。僕が知り合う以前の彼はどちらかと言うと鹿屋では”問題児”だったらしいのですが、黒川監督の粘り強い指導の甲斐もあって僕が出会ったときには自転車競技に対する熱い思いと、なによりも楽しさを理解する1人の好青年に生まれ変わっていました。
卒業後は関東圏の商社に就職していたのですが、今回のチーム立ち上げの話を聞き二つ返事で協力を買って出て鹿屋に戻ることを決めたと言います。
その際「人生を棒に振ったな! 」と笑いながら言うと「監督と一朗さんには言われたくないです。」と言い返してくるほど、彼も自転車の魅力にとりつかれた人になっていました。2人の選手と共に、若いGMの活躍にも期待したいと思います。