佐藤一朗「リオ・オリンピック出場に向けた暫定成績。(16.01.18)」

Posted on: 2016.01.20

1月15日から17日にかけて香港に於いてUCIワールドカップ第3戦が行われました。その結果を受けてUCIオリンピックランキングが発表されましたので、日本チームの現況をお知らせいたします。
 
毎回お伝えしている事ですが、これからお伝えするのは、UCIのサイトに発表されているオリンピック・ランキングを基に「QUALIFICATION SYSTEM–GAMES OF THE XXXI OLYMPIAD–RIO2016」の出場枠獲得要件を勘案して書いています。

しかしながら語学力が非常に乏しく出場枠獲得について間違いがある可能性があります。ここで記載している事はあくまで参考程度にお考えください。正式な出場枠の確定については、この後行われるアジア選手権・世界選手権の終了をもってUCIから行われる正式発表をお待ちください。
 
○男子チームスプリント(出場枠9/アジア大陸枠2)
チームスプリントは国別ランキングで争います。日本チームは現在859.5ポイントを獲得し前回より順位を1つあげて全体の12位に位置しています。そこから大陸枠毎の重複を勘案し現在のオリンピックランキングでは全体の11位/アジアで2位となっています。現在出場枠のボーダーはコロンビアチームの906ポイントですので、46.5ポイント差となっています。

アメリカ大陸大会は既に終了しているので、コロンビアチームがこれからポイントを加算できるのは世界選手権です。日本チームはワールドカップ第1戦以外コロンビアチームには勝っているので、世界戦でもミスが無ければ負けることは考え難いと思います。

さらに日本はアジア選手権を残している事もあり46.5ポイントは無い物と考えて良いと思います。むしろ問題となるのはアジア勢での争いです。

全体の10位に位置している韓国チームは901.5ポイント、12位に位置している中国チームは843ポイントで、韓国チームから中国チームまでのポイント差は58.5。アジア選手権でのポイントは大きく勝ったチームがアジアでのトップとなりコロンビアを逆転してオリンピック出場枠を獲得すると考えても良いと思います。

もちろん世界選手権で逆転が起こらないとは言えませんが。まずはアジア選手権で優勝、そして世界選手権でアジアのチームで1位になることがオリンピックに出場するための最後のチャンスだと思います。
 
○男子スプリント(出場枠27(9)/アジア大陸枠2)
スプリントは個人ランキングで争います。現在日本で上位にランキングされているのは中川誠一郎選手(227ポイント/28位)、河端朋之選手(143ポイント/44位)の2選手です。ここからチームスプリントで出場枠圏内に入っている国の選手、並びに大陸枠毎の重複を勘案した順位は、中川選手が7位と出場枠圏内に入っています。
 
○男子ケイリン(出場枠27(9)/アジア大陸枠2)
ケイリンもスプリント同様個人ランキングで争います。現在日本で上位にランキングされているのは脇本雄太選手(462ポイント/12位)、渡邊一成選手(421ポイント/15位)の2選手です。ここからチームスプリントで出場枠圏内に入っている国の選手、並びに大陸枠毎の重複を勘案した順位は、今回決勝で5位となった脇本選手が6位と出場枠圏内に入っています。

渡邊選手は脇本選手の次にランクされていますが、アジアで3番目となるため脇本選手を抜くか、2人で出場する為には542ポイント獲得しているマレーシアのAzizulhasni AWANG選手を抜く必要があります。
 
 
○男子チームパーシュート(出場枠9/アジア大陸枠2)
チームパーシュートは国別のランキングで争います。日本チームは現在396ポイントを獲得し全体の22位に位置しています。この種目は上位に大陸枠の重複が無く、出場枠のボーダーはコロンビアの1338ポイントと大きく差を付けられているので、出場権獲得は難しい状況です。
 
○男子オムニアム(出場枠18/アジア大陸枠5)
オムニアムは国別の出場上限が1名なので国別ランキングで争います。日本チームは今回窪木一茂選手が12位と健闘し現在351ポイントを獲得し全体の17位(前回20位)に順位を上げました。ここから大陸枠毎の重複を勘案し現在のオリンピックランキングでは全体の15位/アジア1位となり出場枠圏内に入っています。
  
○女子チームスプリント(出場枠9/アジア大陸枠2)
チームスプリントは国別ランキングで争います。日本チームは現在446ポイント獲得し全体の14位に位置しています。ここから大陸枠毎の重複を勘案し現在のオリンピックランキングでは全体の11位/アジア2位となっています。現在出場枠のボーダーはコロンビアチームの715ポイントですので269ポイント差と前回より広がってしまい、アジア選手権のポイント(優勝で120ポイント)を加算したとしても難しい状況に陥ってしまいました。
 
○女子スプリント(出場枠27(9)/アジア大陸枠2)
スプリントは個人ランキングで争います。現在日本で上位にランキングされているのは前田佳代乃選手(139ポイント/33位)です。ここから男子同様チームスプリントで出場枠圏内に入っている国の選手、並びに大陸枠毎の重複を勘案した順位は圏外となっています。

今回予選を突破してポイントを加算しましたが、当面のライバルとなっているマレーシアのFatehah MUSTAPA選手(230ポイント)も予選を通過しているため得点差を詰めることが出来ませんでした。しかしその差は91ポイント。アジア選手権で最後のチャンスにかけて欲しいと思います。
 
○女子ケイリン(出場枠27(9)/アジア大陸枠2)
ケイリンもスプリント同様個人ランキングで争います。現在日本で上位にランキングされているのは加瀬加奈子選手(289ポイント/23位)です。ここから男子同様チームスプリントで出場枠圏内に入っている国の選手、並びに大陸枠毎の重複を勘案した順位は圏外となっています。

昨年末加瀬選手はレース中のアクシデントで負傷してしまい今大会に参加することは出来ませんでした。事実上この種目での出場枠獲得は無くなってしまったと考えていいと思います。
  
○女子チームパーシュート(出場枠9/アジア大陸枠2)
チームパーシュートは国別ランキングで争います。日本チームは現在854ポイント獲得して全体の14位に位置しています。ここから大陸枠毎の重複を勘案し現在のオリンピックランキングでは全体の13番目となりますが、日本チーム自体もアジアで3位と大陸枠を外れてしまっているので出場枠圏内にはありません。現在出場枠のボーダーはロシアチームの1364ポイントとその差は510ポイントとなっており、男子同様出場権獲得は難しい状況です。
 
○女子オムニアム(出場枠18/アジア大陸枠5)
オムニアムは国別の出場上限が1名なので国別ランキングで争います。日本チームは現在256ポイントを獲得し全体の25位に位置しています。ここから大陸枠毎の重複を勘案し現在のオリンピックランキングでは全体の19位/アジア4位となっています。

現在のボーダーラインはメキシコの273ポイントですが、アメリカ大陸選手権は既に終了しており、世界選手権にも出場が難しい事から当面のライバルはメキシコではなく272ポイントを獲得しているコロンビアになります。

しかし日本はこれから大陸選手権(アジア選手権)を控えているため、ここでの獲得ポイントでコロンビアとの差16ポイントはほぼ無くなると思って良いと思います。

問題は日本の下位に付けているマレーシア(207ポイント)に抜かれず、世界選手権前にコロンビアに対してポイントのアドバンテージを持っておくことです。アジア選手権では是非表彰台に上がり、オリンピック出場枠をたぐり寄せて欲しいと思います。
 
ワールドカップ第3戦を終えて、オリンピック出場枠獲得の可能性がある程度見えてきたと思います。残された可能性のある種目も月末に行われるアジア選手権でその可能性がハッキリと形となるか、無くなるか決まります。是非修善寺に足をお運び戴き声援をお願いします!

■アジア選手権 大会ホームページ
http://cycling-championships.asia/

AUTHOR PROFILE

佐藤一朗 さとう・いちろう/自転車競技のトレーニング指導・コンディショニングを行うTrainer’s House代表。運動生理学・バイオメカニクスをベースにしたトレーニング理論の構築を行うと同時にトレーニングの標準化を目指す。これまでの研究の成果を基に日本代表ジュニアトラックチームを始め数々の高校・大学チームでの指導経験を持ち、現在はトレーニング理論の普及にも力を注いでいる。中央大学卒/日本競輪学校63期/元日本代表ジュニアトラックヘッドコーチ                                       ▶筆者の運営するトレーニング情報発信ブログ    ▶筆者の運営するオンラインセミナーの情報

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