栗村修「日本人の活躍」

Posted on: 2015.10.18

アジア最大級のワンデーレース『ジャパンカップサイクルロードレース』が大盛況のうちに終了いたしました。

土曜日の『ジャパンカップクリテリウム』では、地元、宇都宮ブリッツェンを中心とした日本人選手が全てのスプリントポイントを獲得し、更に、日本人選手として唯一ワールドチームに所属する別府史之選手(トレックファクトリーレーシング)が、トップスプリンターのベン・スウィフト(チームスカイ)を最後にかわし、日本人選手としては初となる同レースでの優勝を飾って宇都宮市内を熱狂の渦に巻き込みました。

そして迎えた本日の『ジャパンカップサイクルロードレース(UCI-1.HC)』では、地元、宇都宮ブリッツェン勢がレース終盤に組織的な動きをみせてワールドチームのアシストの一角を崩すと、続いて、NIPPO・ヴィーニファンティーニの山本選手がカウンターで飛び出し、ラスト2周のゴール地点を先頭で通過していきます。

その後、大本命のランプレ・メリダ勢が動き出しますが、日本ナショナルチームで出場している新城選手がラスト1周で一時4名にまで絞られた先頭集団にしっかりと残り、白熱の優勝争いを展開して会場に集った多くのギャラリーを大いに魅了します!

そして勝負は新城選手を含む5名でのゴールスプリントに持ち込まれ、最後は、今年の『ツール・ド・フランス』で総合7位に入ったバウケ・モレマ(トレックファクトリーレーシング)が、スプリント力のある優勝候補最右翼のディエゴ・ウリッシ(ランプレ・メリダ)を抑えて見事な勝利を飾りました。

終わってみれば、超豪華メンバーで挑んだトレックファクトリーレーシングが2日連続で勝利を挙げ、会場で配られていた 『トレックバルーン』とともに会場をトレック一色に染めました。

一方、ゴール前でのスローパンクが影響して惜しくも敗れた新城選手でしたが、それでも僅差の3位でフィニッシュし、表彰台をしっかりと確保。本人はすぐそこに見えていた勝利を逃してかなり悔しそうな表情を浮かべていたものの、宇都宮森林公園に集まった多くの観客の心をしっかりと捉えて近年稀に見る盛り上がりを提供してくれました。

日本人選手の活躍が目立った今年の『ジャパンカップサイクルロードレース』。日本人選手の活躍がレースそのものの盛り上がりに大きく影響することを示したレースだったといえます。

レースオーガナイズだけでなく、改めて日本人選手の強化の重要性を実感した週末でした。

AUTHOR PROFILE

栗村 修 くりむら・おさむ/1971年横浜市出身。15歳から本格的にロードレースをはじめ、高校を中退し単身フランス自転車留学。帰国後シマノレーシングで契約選手となり、1998年ポーランドのプロチーム「ムロズ」と契約。2000年よりミヤタ・スバルレーシングで活躍した後、2002年より同チームで監督としてチームを率いた。2008-09年はシマノレーシングでスポーツディレクター。2010年より宇都宮ブリッツェンにて監督。2014シーズンからは、宇都宮ブリッツェンのテクニカルアドバイザーを務めた。現在は、一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役につき、ツアー・オブ・ジャパン大会副ディレクターとしてレース運営の仕事に就いている。JSPORTSのロードレース解説をはじめ、競技の普及および日本人選手活躍にむけた活動も積極的に行なう。 筆者の公式ブログはこちら

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