栗村修「富士山ヒルクライム」

Posted on: 2014.06.16

昨日、静岡県小山町のふじあざみラインにてJPT第8戦の『JBCF富士山ヒルクライム』が開催され、宇都宮ブリッツェンの増田選手が今季初優勝を飾りました。

photo(C):Tatsuya.Sakamoto/STUDIO NOUTIS

また、宇都宮生え抜きライダーである若い堀選手も2位に食い込み、宇都宮ブリッツェン勢がワンツーフィニッシュを決めています。

『自分のために走る』という、ある意味で選手にとっては標準的なメンタリティに昨シーズンいっぱいで区切りをつけた増田選手ですが、シーズンを半分終えて心の整理はついたようにみえます。

2013年シーズンを終えた増田選手は“引退”というものを真剣に考えていたと思います。また、2014年シーズンを迎えた増田選手を心配する声も決して少なくありませんでした…

しかし、増田選手は“弟子”的な存在である堀選手を従えて再び富士山の激坂コースを見事に制しました。

宇都宮ブリッツェンや増田選手自身の新しいチャレンジというものが決して簡単なことではないことは彼自身よく理解していると思います。

今年のTOJでは日本勢では唯一となる個人総合でのUCIポイントを獲得したものの、周囲の評価は決して高いものではありませんでした。むしろ日本勢全体の不振の代弁者の様な立場になっていました…

仕方のないことですが、殆どの人たち(自分も含めて)は物事の表面的な部分でしか価値を評価できません。本質的な評価というものは、一定の時間が経ってからでないと理解されないのでしょう。

大切なことはブレないこと。増田選手の新しいチャレンジははじまったばかりです。

AUTHOR PROFILE

栗村 修 くりむら・おさむ/1971年横浜市出身。15歳から本格的にロードレースをはじめ、高校を中退し単身フランス自転車留学。帰国後シマノレーシングで契約選手となり、1998年ポーランドのプロチーム「ムロズ」と契約。2000年よりミヤタ・スバルレーシングで活躍した後、2002年より同チームで監督としてチームを率いた。2008-09年はシマノレーシングでスポーツディレクター。2010年より宇都宮ブリッツェンにて監督。2014シーズンからは、宇都宮ブリッツェンのテクニカルアドバイザーを務めた。現在は、一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役につき、ツアー・オブ・ジャパン大会副ディレクターとしてレース運営の仕事に就いている。JSPORTSのロードレース解説をはじめ、競技の普及および日本人選手活躍にむけた活動も積極的に行なう。 筆者の公式ブログはこちら

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