福島晋一「冒険の段階」

Posted on: 2019.10.12

スタンドバイミーが好きだ。先日、DVDレンタルで借りてきて、子供たちに見せた。

4人の少年が死体を見つけてヒーローになろうという映画である。今、見返してみるとなかなか激しい。

というのは、子どもにたばこは吸わせているし、沼に落ちて蛭にかまれるシーンなどは実際、子供の身体を蛭にかませている。

今だったら、問題になりそうなことが昔は平然と行われていた。

物語にしても、決して子供に良い影響を与えないような内容であるが、可愛い子には旅をさせよというが、今の子供たちは冒険できる要素がどんどん減っている。

社会全体の風潮をでも言おうか。

今まで人間は冒険をしてきた。

狩猟時代だって、冒険しなければ食べ物にありつけない状態だった。そうやって、人は生き抜いてきたのである。

いつかはだれもが社会に飛び出して、新しい道を切り開かねばならなくなる。100パーセントの安全を確保した状況では冒険とは言えない。

今の世の中は100%の安全を要求する。そして、その中で起こった1%の事故でその冒険自体ができないものになっていく。

どこの沼も柵で囲まれて、水に触れることもできない。自分が子供のころは、ザリガニをつって、沼に浸けていた手が痺れてきたものだ。

すべての事には2面性があって、良い点と悪い点がある。どれだけ安全性を図っても、事故はおこる。

フランスの自転車学校では小学校高学年から路上で集団走行させて、近寄れ近寄れと指導する。(大人で資格を持った人がサイドでカバーしながらの走行であるが)

日本のロードレースでは、電柱に布団を巻いてもそれに激突する人が現れる。

すべては段階を踏んでステップアップすることが大事である。

スタンドバイミーでクリス役のリバー フェニックスが麻薬中毒で23歳で亡くなっていることがまた感慨深い。

AUTHOR PROFILE

福島 晋一 ふくしま しんいち/岡山県出身 1971年生まれ。20歳からロードレースを初め、22歳でオランダに単身自転車武者修行。卒業後、ブリヂストンアンカーに所属し2003年全日本チャンピオンを獲得。2004年ツアー・オブ・ジャパン個人総合優勝、2010年ツールドおきなわ個人総合優勝。2003年から始めたチーム「ボンシャンス」代表に就任。2013年シーズンを最後に引退。JOCのスポーツ指導者育成制度でフランスのコンチネンタルチーム「ラ・ポム・マルセイユ」の監督として2年間の研修を経て、現在はアジアのロードレース普及を目指しアジアサイクリングアカデミーを主宰している。 アジアサイクリングアカデミー筆者の公式ブログはこちら

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