福島晋一「ボンシャンス澤池選手2勝目」

Posted on: 2015.06.02

今日はこちらに来ているボンシャンスの2選手を第3カテゴリーのレースに連れて行った。去年からこちらに選手を呼んでいるが、こちらにもいい経験になる。

プロのレースは移動距離が長いが、こちらのアマチュアレースは近場であるので、ご飯を食べてからレースに行ける。周回が小さいので、指示を出しやすい。ボトルを渡すいい練習になる。

会場に行く前に疲れがたまっているという澤池選手の体を触ると腸腰筋ががちがち!後2日前に気づいてやっていれば思いっきり、絶叫させてやったのだがレース前なので軽くほぐしてやる。

レース会場につくまでは車の中で昔話をした。大体はブリヂストンアンカーからエキップアサダ時代の話で康司の冗談のような話がほとんどだ。

そういえば、自分も三浦恭資さんの昔話をよく聞かせていただいたっけ!三浦さんの話も冗談のような話ばかりで楽しかったが同じことを何度も聞いた記憶がある。

若い選手にはまず、この話したっけ?と確認してから話すようにしているが一度した話でも彼らは「まだです」と言って来たり、、こっちが話したことをお覚えているのに、、お前たちは…

今日は第3カテゴリーのレース。レベルは高くないがやはり勝つのは難しい。レース序盤の3人の逃げに澤地選手が乗った。

伊藤選手が集団をいい感じで抑えている。

「あと何周ですか?」と澤地が聞いてくる。
「周回版を見ろ!」と言いたいが、見る余裕がないのであろうと思い、補給しながら、周回を教えてやることに。

「あと2周だぞ!」と伝えて、写真を撮りにゴールに行くと、あと1周だった。残り300mでゴールだと教えてやるか、それとも写真を撮るか?

まさか、ジャンがなっているのに間違えるわけがない。いや、澤池はあんな大きな周回版にも気づかない男だ。ここは、写真よりも勝たせてやる方が大事だ。と結局、ゴール前で声をかけることにした。

彼は見事な捲りで優勝して、直後のこの日35回目の石畳のコーナーを曲がりきれずに落車。ホイールを壊し、下ろしたてのジャージを見事に破いた。伊藤選手も集団の頭を取り4位。

今まで第3カテゴリーのレースで勝った選手は沢山いるが、勝ちまくった選手はそうはいない。

ゴール後、いいカメラを持っている人を捕まえてゴールの写真をお願いする。一人のおじさんにビールを奢って、写真を送ってもらう約束を取り付けた。優勝の花束をうちの嫁さんにいただいて、フランスの母の日のいい贈り物になりました。

AUTHOR PROFILE

福島 晋一 ふくしま しんいち/岡山県出身 1971年生まれ。20歳からロードレースを初め、22歳でオランダに単身自転車武者修行。卒業後、ブリヂストンアンカーに所属し2003年全日本チャンピオンを獲得。2004年ツアー・オブ・ジャパン個人総合優勝、2010年ツールドおきなわ個人総合優勝。2003年から始めたチーム「ボンシャンス」代表に就任。2013年シーズンを最後に引退。JOCのスポーツ指導者育成制度でフランスのコンチネンタルチーム「ラ・ポム・マルセイユ」の監督として2年間の研修を経て、現在はアジアのロードレース普及を目指しアジアサイクリングアカデミーを主宰している。 アジアサイクリングアカデミー筆者の公式ブログはこちら

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