福島晋一「おっさんの苦言」
今日は2時からジュニアの練習に帯同した。まともな練習を始めてから1週間。先週は調子が悪かったが、昨日のトラックで全勝記録を伸ばしてから調子はいい。
トラックでなにを高校生相手に勝って喜んでいるのかと言われても仕方ないが、勝ち負けにはこだわっていない。下手に手を抜いて落車するのが嫌だからである。相手にとっても良くない。
自分が責任者だった昨日は模擬レースでは、ジャンがない為にアパートの2段ベットのあまった支柱を2本、打ち鳴らしてジャンにした。しかし、もう4回目の参加になるがポイントレースで1度も2位通過をした事がないのはどういうことだ?
今日のロード練はエスピゴリエ峠を下から上までほぼ引き倒して、内山選手と2人になった。先頭を引くのはいつも40歳過ぎのおっさんで若い選手は脚を使いきろうとしない。頂上が近くならないとアタックしない。
ふと、この構図は今の日本の社会に当てはまるのではないかと思った。おっさんが風を受けて先頭を引いて、若者がその陰で休んでいる。
いままで、社会はそうやって成り立ってきたのである。風を受けて先頭に立つおっさんの姿に気がつくのは、自分もおっさんになってからである。若い時は気付かないものだ。
今日も指の骨折治療中のシンガポールから来たエリアスに言った。「今まではお父さんがすべてお膳立てをして走るだけで良かったかもしれない。しかし、それを俺には期待するな。それは、お前の為でもある。なんでも俺に頼っていたら、お前は自立できない子になってしまう。問題が起こったら、自分で解決法を見つけるように努力するんだ。それからうまく人を頼ればいい。」
教育方針は自立できる人間を作ることである。
さっきのおっさんと若者の話でいい忘れた事がある。俗に言う「働き盛り」とは40歳から50歳ぐらいだと自分は認識しているが、選手としての働き盛りは決してこの年齢ではない事を考えると、おっさんが引いて若者が脚をためる構図はどう考えてもおかしい。
ただ、おっさんは練習で脚を使う事が自分の為である事を知っていて、勾配が緩くなると休む若造の後ろにいるのが耐えられないのである。