福島晋一「酸欠の脳内は意外と冴えてる?!」

Posted on: 2014.03.12

今日、火曜日はジュニア、カデ、ミニムのトラックトレーニングの日だった。未だに息が上がっている。夜9時だと言うのに食欲も出ない。

夕方、5時半に集合してナイターで7時まで走る。最後にレースをするのが定番で前回はエリミネーション(3周ごとに最後の選手が下ろされる)で、自分がロードで、ピストにディスクの選手を負かしたから、今日、前回2位のロマンはディスクに空気が入らないと慌てて家からロードを持ってきた。

前回はギヤが軽かったから負けたと言わんばかりだ。やる気満々である。
最近合宿から調子が上がっている自分はギヤ制限が入った。
53*19
ロマンは
52*18

ギヤが軽いのでポイントレースは全部先行してポイントを一位通過。酸欠のまま、帰る準備をしていると、ジョンミッシェルがこれからエリミネーションをするという。

最後、ロマンと2人になり、残り2周でロマンが不意打ちアタックをした。

最終周回で10車身ほどあったであろうか、ターゲットロックオンして、最後のコーナーをぬけた後に抜いた。脚がバターになるほど回した。回しながら、どうしてジュニア相手におっさんがジュニアよりも軽いギヤで争っているのかという疑問が脳裏をかすめた。

練習を終え、夜道をライトで照らしながら帰る途中いろんな事が頭をかすめた。やっぱりトラックレースは面白いと思った。どうして、最近世界的に人気が落ちているのだろうか?

こんなにエキサイティングな競技なのに…

自分がロマンをとらえた時の子供たちの歓声。皆が楽しんでいた。

むかし、東日本実業団のエリミネーションで上阪さんと2人で残った時があった。自分は流し先行で直線で踏みなおした。上阪さんは楽勝やと思っていたが、自分が粘ったので驚いたらしい。で、上阪さんが勝った。

当然である。

脳内が酸欠になればなるほどエクスタシーを感じる人である。酸欠になるほど、更に酸欠を求めて脚を回す人に、流し先行を選んだ自分の失敗であった。と言う事を夜道酸欠の脳内で流しながらふと思った。

かれこれ、15年ほど前のレースの敗因が今わかったのである。
酸欠の脳裏は意外と冴えているのかもしれない。
それとも、走馬灯…

AUTHOR PROFILE

福島 晋一 ふくしま しんいち/岡山県出身 1971年生まれ。20歳からロードレースを初め、22歳でオランダに単身自転車武者修行。卒業後、ブリヂストンアンカーに所属し2003年全日本チャンピオンを獲得。2004年ツアー・オブ・ジャパン個人総合優勝、2010年ツールドおきなわ個人総合優勝。2003年から始めたチーム「ボンシャンス」代表に就任。2013年シーズンを最後に引退。JOCのスポーツ指導者育成制度でフランスのコンチネンタルチーム「ラ・ポム・マルセイユ」の監督として2年間の研修を経て、現在はアジアのロードレース普及を目指しアジアサイクリングアカデミーを主宰している。 アジアサイクリングアカデミー筆者の公式ブログはこちら

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