竹谷賢二「レース走行写真から解説」
MTB全日本選手権での走行シーンを連続写真で頂いておりまして、それを使って各状況などでの解説をSNSでシェアしたところ人気で、是非ブログにも!というこことで、こちらにまとめておきます。
幅広のハンドルがすっかり定着した昨今。自分は、2004年のオリンピック選考大会では620mmのライザーバーを使って走ってから(当時はまだ540~560mmが全盛)、結構慣れたものですが、今年のバイクは720mmまで幅広に。10年で10cmの進化です。
バイクコントロールをするときは目一杯外外を持ちますが、平地では内側を持って多少脇を閉めエアロを意識することもありますし、上りでは気持ち手首を返すようにして前傾角を保つこともあります。自分の体があらゆるときに動きやすいように、ハンドルセッティングをしておくといいですね。
いろいろな選手のいろいろな姿勢、個性はあるとしても、腹筋群と背筋群で支えていられずに掌、腕、肩が力んでいることも多々あります。レース序盤でそうだと、ペースはすぐに失速してしまうでしょうし、例え前半良くても後半は大崩れして姿勢が、バイクの挙動がブレブレになるケースも多く見受けられます。
腕肩に力を入れて体を押し返すようにしてサドルに乗っていると、ハンドルがロックしてしまい、タイトコーナーで小回りが効くとは思えませんのから、ブレーキをほんの少し遅らせるだけで、インを突いて前に出ることは簡単です。
上体は、下死点まで踏み切るように乗せてはおらず、上死点側、股関節の屈曲を迎え入れるようにして上からすぐに力を掛けていて、3時にはもう逆側に切り返しています。腕肩は力まず、上体はガッチリ固定ではなく、安定させつつタイミングに合わせて僅かな動きをしています。
この右左の切り返しが遅く、下死点まで体を預けてしまい無駄な力を繋ける、そこでの反力でやっと逆に移り上体がブレブレになり負担となったり、バイク自体もブレて走行ラインが定まらないといったことが起きてしまいます。
激坂、レースパワーでまっすぐ走れない場合は、上体の支え、左右への切り返し、頑張っている力感に頼らないように、見直してみるといいでしょう。
勾配の変化に合わせて体の位置、角度を調整していることがよく分かります。バイクに一定ではなくて鉛直線(重力の方向)を意識して、力を伝達するペダルに一定の向きに合わせます。
サドルに力を乗せないで、ペダルに力を乗せる感覚ですね。結果的に肘はより深く、外に曲げて逃がします。ハンドルへの力は車輪がぶれない程度、ステアリングダンパーの役割です。
コーナーリングの連続写真です。180°ターンですが舗装路でグリップしますので、スピードに乗ってバイクを傾けつつさらにタイヤを潰すように荷重を掛けつつ曲がり(タイヤサイドのグリップ面を垂直に潰す感じで、捻じるこじるではないです)、ペダルが路面に当たらないように起こしつつ加速していきます。
180°ターンでもタイトで低いスピードの場合は、ペダンリグしたままバイクを安定させて曲がっていきます。大事なのは視線、大きく進行方向を確認してから、目線、顔、胸、腰、バイクと滑らかに向きを変えてきます。
ハンドルをこじるとインに切れ込み過ぎたり、余計な力を加えるとアウトに膨らんでいきますので、ここでも腕はステアリングダンパーのように働かせます。
レース中はペダリングパワー、高い運動強度を保っているうえでの、ボディポジション&アクションによるバイクコントロール、スキルの正確性が問われます。
ゆっくりだけでなく、速くも出来る
低い強度だけでなく、高い強度でも出来る
一回だけでなく、連続して出来る
短時間だけでなく、長時間出来る
そのためにも、集中力、持久力、メンタルとフィジカルも合わせて必要になります。心技体、メンタル、スキル、フィジカル全てが問われるのがレースです。
足りないところを補強するのがトレーニング、出来ないことを出来るようにしていきましょう~!