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栗村修「スカイのスポンサー撤退」

Posted on: 2018.12.19
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12月12日に、世界最高峰の自転車ロードレースチームをスポンサードする欧州最大の有料放送企業「スカイ」が、2019年シーズン限りで「チームスカイ」のメインスポンサーから撤退することがアナウンスされました。

すでに多くのメディアがその理由などを報じていますので、現状の情報をまとめつつ「スカイ撤退」について、自分なりに考察してみたいと思います。

◯推測される撤退理由
スカイグループがアメリカの会社に回収されたことにより(メディア界全体の再編の動きやBREXITなどの影響も…)、チームスカイの年間予算である40億円という金額が高いと判断された。

⇒考察
たしかにチームスカイの年間予算は他のチームに比べて非常に大きいかもしれませんが、一方で、「世界最高峰のプロチーム」の年間予算が40億円というのは他のプロスポーツ界と比べるとあまりにも少な過ぎます。チームを持つことのメリット(市場価値・具体的な収入源・売却時の流動性など)がより明確にならない限り、たった40億円(本当のお金持ちや大企業にとってはお小遣い程度の金額)が高いとみなされてしまうのでしょう。

チームスカイのプロジェクトは、サーの称号を持つ、チーム代表のデイブ・ブレイルスフォード氏が、長年に亘って積み上げてきたものの「集大成」でした。

ブレイルスフォード氏自身もかつては自転車選手でしたが、選手としては目立った成績を挙げられずに引退。しかしその後、スポーツ科学やスポーツ心理学などを学び、更にMBA(経営学修士)も取得して、経営学的側面から突破口を見出す独特(古い体質が残る自転車界にとっては)のやり方で、多くの実績を挙げてきました。

ある意味で正しいやり方(とてもロジカル)であり、ブレイルスフォード氏がイギリス自転車連盟の会長だった頃に立ち上げた長期構想というのは、まさにこれから「東京五輪」が開催され、更に「自転車活用推進法」が動き出す日本にとっても、これ以上ないほど素晴らしい模範的な内容の計画となっていました。

但し、素晴らしいパフォーマンスを発揮してほぼ完璧なリザルトを残したとしても、「自転車界が持つ不安定な仕組み」の前では、安定した継続性を手に入れることはできなかったわけです。

だいぶ昔から書き続けていることではありますが、「自転車界が持つ不安定な仕組み(チーム側に安定的な収入源がない/UCIワールドツアーやツール・ド・フランスなどからの運営サポートや分配金などの仕組みがない)」をなんとかしない限りは、この先もずっと同じことが繰り返されていくのは間違いありません。

AUTHOR PROFILE

栗村 修 くりむら・おさむ/1971年横浜市出身。15歳から本格的にロードレースをはじめ、高校を中退し単身フランス自転車留学。帰国後シマノレーシングで契約選手となり、1998年ポーランドのプロチーム「ムロズ」と契約。2000年よりミヤタ・スバルレーシングで活躍した後、2002年より同チームで監督としてチームを率いた。2008-09年はシマノレーシングでスポーツディレクター。2010年より宇都宮ブリッツェンにて監督。2014シーズンからは、宇都宮ブリッツェンのテクニカルアドバイザーを務めた。現在は、一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役につき、ツアー・オブ・ジャパン大会副ディレクターとしてレース運営の仕事に就いている。JSPORTSのロードレース解説をはじめ、競技の普及および日本人選手活躍にむけた活動も積極的に行なう。 筆者の公式ブログはこちら

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