栗村修「内製化」

Posted on: 2018.04.04

先日、私が大会ディレクターを務める「NTN presents 2018 ツアー・オブ・ジャパン」の公式記者発表を、東京・恵比寿にある「SUBARU STAR SQUARE」にて開催いたしました。

会場には多くのメディアの皆さまにお集まりいただき、また、協賛各社さまにも各種アピールの場としてご活用いただき、更にいくつかのイベントも開催して一般観覧者の皆さまにも楽しんでいただけたのではないかと個人的には感じております。

いつも想うことですが、本当に多くの方々に助けていただいてこの大会は成り立っているんだな、というのを実感している次第です。皆さまありがとうございます。

実は今回の公式記者発表ですが、比較的大規模なものであったにも関わらず、開催するにあたってはイベント会社などへ発注せずに、限られた「TOJチーム(事務局メンバー)」の手作りで実施いたしました。

かけたコストも同規模のイベントなどと比較して「まるが一つ少ない予算内」での開催でした…。

これが良いとかすごいとかを言いたいわけではなくて(むしろ大会ディレクターという全体を統括する立場としては誤った選択だったのかもしれませんが…)、単純にTOJの実情をお伝えしたかった次第です。

世の中には、「アウトソーシング」と「内製化(インソーシング)」という、対局の意味を持つ言葉が存在しています。

一時期、巷では「アウトソーシング」という言葉が流行り、業務を外注することが「吉」とされた時代が続きました(現在もそうなのかもしれませんが…)。

一方で、私自身が「ツアー・オブ・ジャパン」の仕事に就いてから(正確にはTOJだけでなく自転車界という広い視野で)取り組んできたことというのは、結果的に「内製化」の強化だった様にも感じています。

「各分野に於ける専門知識を持った人材を自転車界に招き入れる(もしくは育てる)」ことが今後の発展にとって重要であると感じており、知見を徐々に自転車界に蓄積していくことで、自転車界としてのインテリジェンスの高度化を促進し、当事者意識とインセンティブ獲得によるモチベーションの向上こそがこれから必要になってくるポイントだと考えてきました。

そうでもしないと、現在の自転車界にこびりついてしまっている「マインドセット」を変えることはできないはずです。

但し、いろいろなことを進めていく過程では、「アウトソーシング」と「内製化」それぞれのメリット・デメリットに直面することも少なくなく、正直なところ、そのさじ加減については「絶賛迷走中」というのが実情だったりもします…

「マネージメントのプロ集団(アウトソーシング)」を目指すべきなのか、「なんでもできるプロ集団(内製化)」を目指すべきなのか、今後もその答えを求めてチャレンジを続けていきたいと思います。

AUTHOR PROFILE

栗村 修 くりむら・おさむ/1971年横浜市出身。15歳から本格的にロードレースをはじめ、高校を中退し単身フランス自転車留学。帰国後シマノレーシングで契約選手となり、1998年ポーランドのプロチーム「ムロズ」と契約。2000年よりミヤタ・スバルレーシングで活躍した後、2002年より同チームで監督としてチームを率いた。2008-09年はシマノレーシングでスポーツディレクター。2010年より宇都宮ブリッツェンにて監督。2014シーズンからは、宇都宮ブリッツェンのテクニカルアドバイザーを務めた。現在は、一般財団法人日本自転車普及協会 主幹調査役につき、ツアー・オブ・ジャパン大会副ディレクターとしてレース運営の仕事に就いている。JSPORTSのロードレース解説をはじめ、競技の普及および日本人選手活躍にむけた活動も積極的に行なう。 筆者の公式ブログはこちら

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