三瓶将廣「すべては自分の力で決まる=自転車#1」

Posted on: 2013.04.24

BMXの魅力にとりつかれ、本場アメリカを中心に世界挑戦をつづけてきて18年。全日本選手権で3連覇を果たし、ロンドンオリンピック出場に向けて全てをBMXに捧げきた。そして、今、僕を虜にしてきたBMXをより多くの人に知ってもらうために、あえて裏方に身を投じ、新たなステップを踏み出した。BMXの持つ本当の楽しさ。可能性の大きさ。いろいろな経験をしてきた僕だからこそ伝えられる、BMXの魅力を紹介していきたいと思う。

【BMXとの出会い】
父の影響で生まれた時からカーレースに触れ合う機会が多く、4歳からレーシングカートを始めた。レーシングカートはBMXレース同様練習場所が少なく、さらに子供の走れる時間が限られている。週末は夜明け前に家を出発し、午前中静岡で2時間練習、すぐに移動し、夕方は千葉の別のサーキットで練習、そしてレース。

一斉にスタートを切り、ポジションを争う。ベストなギア比をチョイスして、トップスピードを見つけ出す。ラインどりを研究し、最後は着順で勝負が決まる。今想えばあの時学んだタフな行動力、レース感などが僕の中で何かを目覚めさせたのかもしれない。
カート時代の三瓶将廣
カート時代の三瓶将廣

そして自転車との出会いは5歳の誕生日。当時プレゼントでもらった自転車は、最近ではほとんど見かけない片側だけ補助輪がついたもの。毎日のように父親に追っかけまわされ、気がついたら自転車に乗れるようになっていた。

そうした中、近くのスポーツバイクショップで子供から楽しめる自転車『BMX』を教えてもらった。初めて見たBMX。新しもの好きの親子はそのかっこ良さに惚れ、胸踊るままに購入してもらうこととなった。

その後、自宅近くのデパートの屋上にフリースタイルパークがあると聞きつけ直行!そこにはフリースタイルパークがあり、自分の背丈の何倍もあるランプ(ハーフパイプのようなもの)が並んでいた!今考えると本当に羨ましい環境だ!

しかし、そのランプを見た瞬間、ある感情が押し寄せた。なんでも最初から成功させたい性格だった僕は、「これは失敗するっ」と判断し拒否反応。その後、しぶしぶ簡単なレッスンを受けることとなったものの、のってみたら180度、印象が逆転した。どこにでも行けるし、なんでもできる。そんな気がした。全てが初めての経験のなかで、自転車の可能性に感激し、一気にその世界が広がっていった。レッスン終了後、そんな僕の興味をさらにそそる情報をキャッチ。『子供にはBMXレースがあるよ!』ということだった。

【レースとの出会い】
「レースって・・・?」ということで早速、横浜市にある緑山スタジオBMXコースに行ってみた。そこでは1つのBMXコースで、幼稚園の子供から、プロの大人までが共存し、同じ小さい自転車(BMX)を楽しんでいた!そして、思った。「これなら出来る!!」

今度は進んで、初心者講習への参加を決意した。一通りBMXの乗り方を習い終わった時、ある光景が目に飛び込んできた。同い年の子が小さいジャンプを飛んでいたのだ!

「なんでも最初から成功させたい」性格。それでもフリースタイルの時とは違い「出来る」という確信があった。「絶対成功させてやる」。人生初の大きな挑戦だったかもしれない。意を決してジャ〜ンプ!しかし、あえなく転倒。怪我はなかったものの、その後思いもよらない最大の修羅場が訪れた!
BMXと出会った当初
BMXと出会った当初

実は僕は「土」が大嫌いだったのだ。小さい頃は砂場で遊んだりもせず、海水浴に行けば、ビーチマットから海まで抱えられ、ちょっとでも土がついたら着替えるという珍しいタイプ。ジャンプ直後、転んだ時に口に土が入り、「これはもうありえない!」と心のなかで叫びまくった。そして、コースデビューを果たしたその日にBMXから足を洗うことを決意した(笑)

しかし、僕の気持ちとは裏腹に親はすっかり惚れ込んでいた。レーシングカートと並行して、BMXコースに強制連行。気がつけばレースに定期的に参加していた。

BMXレースを初めて半年くらいたった時、幼稚園児ながら悟ったことがあった。当時、周りの友達より体格が大きかった僕。負けず嫌いでレーシングカートでも勝つために我武者羅に頑張っていたものの、エンジンが壊れたり、体重が重くて進まなかったりと、自分の力ではどうにもならないことで悔しい思いを何度もした。しかし、自転車は基本的に自分の力で進んで、勝ち負けも自分の力で決まる!単純明快な答えを見出した幼稚園児。そこから迷いはなくなった。

それ以降、自動車から100%自転車レースにスイッチ。 
自転車=自分で転がす車の魅力にはまっていった!
そして、世界へと一気に視野が広がっていくこととなったのだ。

次回へ続く・・・。

プロBMXライダー 三瓶将廣(さんぺい まさひろ/1990年川崎市出身。プロBMXライダーであり、一般社団法人SYSTEMATIC BMXの代表を務める。5歳からBMXレースを始め、中学校入学と同時に拠点を海外へ移し、これまで17年間18カ国にて、レースに取り組んできたライダーである。全日本選手権3連覇、2011年アジア選手権優勝。日本を代表するプロライダーの一人。現在、プロライダー業の傍ら、BMX/自転車普及活動へ視野を広げる目的で、一般社団法人SYSTEMATIC BMXの代表としても活動している。

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AUTHOR PROFILE

三瓶 将廣 さんぺい まさひろ/川崎市出身。プロBMXライダーであり、一般社団法人SYSTEMATIC BMXの代表を務める。5歳からBMXレースを始め、中学校入学と同時に拠点を海外へ移し、これまで17年間18カ国にて、レースに取り組んできたライダーである。全日本選手権3連覇、2011年アジア選手権優勝。日本を代表するプロライダーの一人。現在、ライダー業の傍ら、BMX/自転車普及活動を目的に、一般社団法人SYSTEMATIC BMXの代表としても活動している。 筆者の運営する公式サイトはこちら

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