橋川健「プロを目指す自転車選手の皆さんへ」
全国高校野球連盟に登録されている高校球児は約15万人(1学年で5万人)。高体連の自転車競技に登録されている高校自転車選手は約2000人。1学年で700人。ロード選手がその半数だとすれば350名いる。
毎年ドラフト会議で名前が挙がるのが84人(1球団7名X12球団)だとして、84/50000 = 0.17%。この時点で超エリートだけど、さらにメジャーリーグのスタート地点に立つ選手が毎年5名いるとすると、5/50000 = 0.01% となります。
プロ野球でスタート地点に立っている超エリート選手達を前に巨人軍の2軍キャンプで阿部監督が「期待できる若手はいない。それぐらいレベルが低いと(選手に)分かってほしい」と言ったらしい。その真意は分からない。
プロを目指す自転車選手の皆さんへ、トラックとロード合わせた人数が700人で、その中のたった1名がドラフト会議で名前を呼ばれるような確率です。
メジャー選手になる確率「5万人の中から5名」をロード選手「350名」に当てはめると1名のメジャー選手を輩出するのに約30年かかる計算となります。
もし欧州でプロを目指すのであれば自分が30年に1名の逸材となるつもりの努力と工夫を行う必要があります。努力や固い意志は当たり前で誰もが行っています。それに加えて工夫も必要になってきます。
3か月前から自分はどれだけ強くなっているのか?
1年前からどれだけ強くなっているのか?
3年前から自分はどれだけ強くなっているか?
を考えれば
3年後はどこまで強くなれるのか?
そのためには1年後はどこまで強くならなくてはならないのか?
そのためには3か月後はどこまで強くならなくてはならないのか?
を考える必要がある。そして多くの選手は軌道修正が必要になってくると思う。
最近、ユーラシアの選手含め、新たに加入を希望してくる選手たちに、こんな禅問答のような厳しい話をしています。
夢を追いかけているU17やジュニアなら褒めて伸ばす事も大事だけど、U23以上になれば夢を追うと同時に現実を受け入れ、計画を練る必要がある。
自分で好きなトレーニングを好きなように行っているだけでは、どんなに苦しくてもそれは努力とは言わない。そう「1万人の中から1名」に残るためのトレーニングですから…
仮にプロになれなくとも「1万人の中から1名」に残るための努力と工夫は必ずその後の人生に役に立つはずです。