福島晋一「これでも上達した方なんです。」

Posted on: 2017.06.20

今の仕事について一レースも欠かさずやり続けていることは、選手のステムに距離表示を書いて張る単純作業である。ささやかな仕事であるが選手には喜んでもらっている。

しかし、第1作目はひどいものであった。

字が汚い。バランスが悪い。見にくい。統一されていない。書くときに心が落ち着いていないとそれが字に現れる。ゆっくり書けばいいというものでもない。手際が大切である。

簡単なものであるが、おろそかにはできない。

最初は紙に書いてセロハンテープで貼っていたが、日本製の白いビニールテープにマッキーで書くのが雨にも強いしベストであるという結論に至った。まな板代わりのファイルの上にビニールテープを少し伸ばし気味に貼り、書き終わった後にナイフで切ると切り口に隙間ができてはがしやすくなる。さらにわかりやすさを追求するために、10色のマッキーペンをアマゾンで注文している。

日本に戻るのが楽しみだ(もちろん、それだけではなく家族に会えるのが一番お楽しみではあるが、これはわざわざ書くまでもないと思っただけである)。ただ、カラーバージョンの試作はしてみるも、それほど 多用はしないであろうと思う。

なぜなら、仕事はこれだけではないからだ。ただ、どんな仕事でも改良する努力は必要であるし、同時に切り捨てることも必要である。

全く話は変わるが、最近感じることは 人間というものは忍耐が必要であるが、皆 多かれ少なかれどうしても我慢できない部分というものを持っているものである。

それがその人の性(さが)というものであろう。

その性によって、成功する人もいれば 奈落の底に落ちる人間もいる。それは、その性が今の世の中にマッチするかどうか?

それだけの違いであるような気がする。

強い性の持ち主は世の中すら自分にマッチさせることができるであろう。
そのためには、仕事の「質」が問わあれるのが人間の世界である。

AUTHOR PROFILE

福島 晋一 ふくしま しんいち/岡山県出身 1971年生まれ。20歳からロードレースを初め、22歳でオランダに単身自転車武者修行。卒業後、ブリヂストンアンカーに所属し2003年全日本チャンピオンを獲得。2004年ツアー・オブ・ジャパン個人総合優勝、2010年ツールドおきなわ個人総合優勝。2003年から始めたチーム「ボンシャンス」代表に就任。2013年シーズンを最後に引退。JOCのスポーツ指導者育成制度でフランスのコンチネンタルチーム「ラ・ポム・マルセイユ」の監督として2年間の研修を経て、現在はアジアのロードレース普及を目指しアジアサイクリングアカデミーを主宰している。 アジアサイクリングアカデミー筆者の公式ブログはこちら

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