腰山雅大「BMXを始めるなら知っておきたい5つのこと」前編
Hideo Watanabe by Yuta Yoshida
テレビCM、SNS、街角など、さまざまな場面でその姿を見る機会が増えてきた “BMX”。BMXに20年近く跨ってきた筆者から見ても、特にここ数年で認知度がグンと上がっていることを感じます。(昔はBMXと伝えてもトライアルと区別つかないし、自動車メーカーのBMWと良く勘違いされたもんです)
それに伴って競技を始める環境も年々良くなってきている一方、今までアンダーグラウンドだった名残なのか正しい情報が露出しにくいようにも思います。「僕もBMXを始めたい」そう思った時にぜひ知っておいた方が良いことをまとめてみようと思います。
1.自分の始めたいBMXのジャンルを知ろう
BMXを知るきっかけは様々で、エナジードリンク系サイトから発信される映像だったり、オリンピックでの選手の活躍であったり。あなたが目にしたタイヤ径の小さな自転車はBMXに違いないのですが、実は細かく分けるとBMXには6〜7種類のジャンルが存在します。
あなたのアンテナに引っかかったBMXがどのジャンルなのか把握しておかなければ、訪ねるべきショップも変わってきますし、そぐわない自転車を手にしてしまう可能性もあります。
大きくは3つに分けてみましょう。
◇レース
◇ストリート(ストリート、スケートパーク、ダートジャンプ、トレイルを含む)
◇フラットランド
<レース>は、土で出来たコースを複数名で走り抜けて順位を争う競技です。フルフェイスを被って、スタートの号令でいっきにコブを駆け抜けます。オリンピック競技にも指定されていて、リオでは長迫選手が活躍しました。
<ストリート>は、バニーホップで自らジャンプしたり、またはランプと呼ばれるセクションでジャンプしたり、技の難易度や完成度などが評価基準となるジャンルです。フリースタイルと呼んだりもします。実はこの中で更にいろんなジャンルに枝分かれしてしまうのですが、ある程度同じ自転車で競技を楽しむことが出来るのでひとまとめにしました。
<フラットランド>は、平坦な場所で自らクルクルと回ってルーティーンを魅せるジャンル。タイヤの横に付いたペグと呼ばれるパーツに乗ったりしてバランスを取りながらトリックを繰り出していきます。ストリートに比べてサイズ感の小さい自転車を選びます。
この3つのジャンルではそれぞれ異なる種類の自転車を使用するので、初めにどの競技にトライしてみたいのか把握しておかないと、自転車を再度用意したり少し遠回りすることとなります。
筆者はこの中でもBMXストリートに長く携わってきました。
2.初めて買うBMXの選び方
自分の欲しいジャンルのBMXがわかれば、次はどのような自転車を選べばいいのか掘り下げていく楽しさがあります。ですがどのような素材、どのようなグレードにすべきか、基準が無いので選択しにくいとも思います。
ストリートに関して言えば、最近のBMXはどんどんスケートボード化していると思います。パーツなどはある程度進化しきってしまった感があり、スケートボードのようにフレームサイズとグラフィックで選ぶのが主流だと思います。
例えば、フレーム自体はほぼ全てがクロモリ。一時期アルミやチタンも出ましたが、強度やコストの問題もあって姿を消してしまいました(2HipのPorkとか好きだったのにな・・・)クロモリも焼き入れで硬くして極端に軽いモノもありましたが、やはり強度的な問題があったので各社平均的な重量になっています。ジオメタリもサイズ以外では初心者に理解出来るほど違いはないので、身体に合えばなんでも良いと思うのです。
サイズは例えば身長が 170cm の僕でトップチューブが20.5inchのものを良く選んでいます。好みにもよりますが、だいたいは180cmだったら21inchくらい、160cm以下だったら20inchくらいを目安で良いかな、と。
パーツも、いわゆるロードのコンポのようにグレードがあったりするわけでもないので、例えばスプロケひとつにしても市場のほとんどが同じ性能で、削り出しなどで各社美しいビジュアルが売りになっています。
完成車も、値段相応。下は32,000円くらいから、10万円くらいまで。個人的には5万円そこそこの完成車がカラーバリエーションも多く、パーツも長く壊れにくいものが付いているイメージです。ちなみに、Sunday Bikesというブランドに15.8万円の完成車もあり完全にプロが乗っている仕様が最初から手に入るようです。
ということで、こだわりの1台を時間かけて探すのも良いのですが、正直特別に安いモデルというのはなく、それよりも色や見た目の感覚で、長く付き合えそうな一台を探すのが良いと思います。
ちなみに、購入した自転車の色に飽きてしまっても、さっと缶スプレーで塗ってしまえる潔さがBMXの良いところであったりもします。
tone up from Yusuke Yamamura on Vimeo.