腰山雅大「シクロクロスのバニーホップHow To動画を作りました」
シクロクロスのテクニックで、特に注目されているのが「バニーホップ」です。シケインを超えたり、段差に飛び乗ったり、会得するとレースで有利になります。
▽以下 動画より文章と画像を抜粋
シクロクロスバイクでバニーホップをするには重要な点が3つあり、先ずはそのイメージを頭に焼き付けることからスタートします。
1つ目は、ライダー本人の重心移動です。自転車を宙に浮かせる最大のコツは、重心の移動にあります。前タイヤを持ち上げる為、前荷重から一気に後ろ荷重へ、前タイヤが上がった瞬間また前荷重へ身体を移動させます。自転車の上でライダーがどういう風に位置移動しているか注視すると良いです。
2つ目は、自転車の位置移動です。ライダーの重心移動で前タイヤを浮かせることが出来たら、後半はハンドルで自転車そのものを前に押し出して後ろタイヤを引き上げます。わかりやすいように「刺し」なんて言いますが、このハンドルを刺す動作がいかに出来るかで後ろタイヤの挙動がかなり変わってきます。
3つ目は、動作の速度です。バニーホップの際の荷重移動はとても速く、通常の再生スピードで映像を見ても理解できない程です。つまり考えながら動かせるものではなく、ある程度無意識でも出来る程度には身体でその動きを覚えていく必要があります。
以上を正しい順番で理解し練習することでバニーホップが会得できます。重心の移動とその動作速度は一朝一夕で出来るものではなく、1個ずつ正しい順番で練習することによって身体が動きを覚えていきます。
当然いま持ち得ない筋肉も必要になりますし、可動域も必要ですので、身体そのものも練習と共に進化させる必要があります。僕がBMXでバニーホップを会得したときは深く考えず数で動作を体に覚えさせましたが、しっかり頭の中でイメージを作ることで、より短い時間で動作が会得できるようになるはずです。
練習を始める前に自転車のセッティングを見ていきましょう。ペダルはSPDタイプのものではなく、フラットペダルを強くオススメします。
というのも、バニーホップはペダルでタイヤを引き上げるのではなく、あくまで荷重とハンドルの押し出しで行います。SPDを使うと足で引き上げる変な癖がついてしまいます。
あとサドルは下げて身体の可動範囲を広げた方が楽なのと、タイヤの空気圧はある程度高く保った方が自転車が安定します。ミスしてリム打ちするとパンクの原因にもなります。
ハンドルの持ち手はブラケットなのかバーなのか、例えばW杯でも顕著に流派が分かれています。ですが、僕はブラケットから練習すべきだと思います。
確かに、バーを持った方が身体の中心から手の位置が近くなるため、重心の移動に余裕が出ます。より後ろに身体を引けるのと、ハンドルを押し出すのもより遠くへ押し出せます。
ですが、何よりバーの場合ブレーキレバーが握れないというデメリットがあり、ミスをしたときのリスクが高くなります。レースは一人ではなく不特定多数で行う競技のため、周りに迷惑を掛けないというのも重要です。あくまでブラケットで出来た上で、応用としてバーを使う選択があった方が良いと考えています。
バニーホップの初歩は、前タイヤの持ち上げです。道のりが遠く感じますが、基本動作がきっちり出来て初めてバニーホップが成立します。
乗り越えても衝撃の無い低い目標物をおいて、それを超えるタイミングで前タイヤを上げます。このとき、腕力や肘の屈伸のみで引き上げないように注意します。
身体の、特に肩甲骨あたりに意識をおいて、肩甲骨がハンドルの上からぐっと後方へ引っ張られるイメージで身体ごと荷重を後ろに移動させます。前荷重の際折りたたんだ腕は、引き上げる際まっすぐ引き伸ばしてハンドルを引っ張ります。
今度は後ろタイヤです。前とは逆の動作で、自転車の後方に体重を掛け、肩甲骨を意識しながら荷重を前方に移動します。同時に腕でハンドルバーを押し出して、後ろタイヤを持ち上げます。
このとき足は自転車の動きにそわします。爪先立ちのような状態で足先を引っ張れば、SPDでなくとも多少ペダルがグリップしてタイヤが持ち上がりますが、足で持ち上げる感覚はその程度で充分。基本的には体重移動とハンドルの押し出しがメインになります。
慣れてきたら目標物を置いて、必要なタイミングでタイヤが上げられるように慣れます。
前・後ろ共にタイヤを持ち上げる動作に慣れてきたら、ふたつを一連の流れとして行います。前荷重 → 後ろ荷重で前タイヤを持ち上げ・そのまままた前荷重に移動して後ろタイヤを持ち上げます。
徐々に動作速度を上げていくと、高さやタイミングは別としてバニーホップとして成立してきます。
ここからは手持ちの携帯などで自分の動作を撮影しながら確認した方がより良いでしょう。
正しいバニーホップと比較すると、荷重移動が遅かったり、移動しきれてなかったりするのが目視できます。目標物を置いて、確実に両輪が正しいタイミングで越えられていることを確認します。
いきなりシケインでトライする前に練習しておきたいのが、段差への飛び乗りです。ここでもいきなりバニーホップで飛び乗るのではなく、前を乗せてから後ろを乗せる順番でトライします。
前タイヤが確実に段差上に乗ったのを確認して、前タイヤへ荷重を移動させて後ろタイヤを持ち上げます。徐々に速度を上げて身体の動作が素早くできるようにトライします。
徐々にスピードを上げて飛び乗れるようにし、最終的には前タイヤを段差へ接地させる前に後ろタイヤを持ち上げてバニーホップします。前タイヤを持ち上げた際引き寄せたハンドルをぐっと前へ出すことによってリヤタイヤがペダルを軸に持ち上がります。
ここでもしっかり肩甲骨を意識して、自転車の上での荷重が前後へ移っていることをイメージしながら進めます。慣れてきたらもう少し大きい段差を用意し、高さに身体を慣れさせましょう。
ついにシケインでの練習です。と言っても最初からバニーホップをするのではなく、前を乗せてから後ろを引き上げる動作からです。段差で練習した時よりも前タイヤを乗せられる幅が狭くなるので、その点も意識しながら練習します。
この時重要なのは、前タイヤが乗ったタイミングでハンドルを前ではなく、下方向へ刺す点です。正しいバニーホップの方法を見ても、ペダルや膝の位置などは変わらず、ハンドルと共に前タイヤが下へぐっと下がり、その分後ろタイヤが上がってくる点です。
この点に意識して、前タイヤが乗ったタイミングでハンドルを刺し、後ろタイヤを引き上げます。
最後はシケインに見立てたセクションでバニーホップです。荷重移動で、前タイヤをしっかり必要な高さまで引き上げ、そのままハンドルを斜め下へ押し出して後ろタイヤを引き上げます。
引き上げる際より高さを稼ぐために、少し膝を折りたたんで後ろタイヤを引き上げるのですが、その際前へ膝を畳むとどうしてもサドルがお尻に当たって邪魔になり高さが確保出来なくなります(もちろんポジションにもよります)。
その場合、足をガニ股気味にして膝を曲げ、うまくサドルを邪魔にならない位置へ逃がすというテクニックも必要となります。
安全に、かつ確実に会得するためには低いセクションから徐々に高さを出して、何度も何度もトライするしかありません。オススメなのは、スロープが着いたセクションで着地の衝撃を緩和する方法です。
通常BMXなどでのバニーホップは両輪着地が基本となりますが、シクロクロスでは身動きの取りにくさ故に前タイヤから着地します。この動作は物凄く自転車のヘッド部と両腕の三角筋などへ負荷が大きく、怪我の危険性もあります。
スロープを使えば着地の衝撃は和らぐので、楽にバニーホップの練習が繰り返し出来ます。
確実にバニーホップができるようになったら、次はレースで試してみましょう。この動画が良かった、ためになったって方は、ぜひシェア、いいね、Like、お待ちしています。
<追記>
よくよく話題に上がる話で、こういったテクニック系の動きはセンスが問われるのでは?と言う点。
バニーホップにせよ、シクロクロスのテクニックにはメソッドが少なく、いわゆるパワートレーニングなどと違って「持って生まれた能力に依存するだろう」という意見も聞きます。
ですが、この手の動きを得意としている自分としては、はっきり言って「センス」なんて言うものは存在していません。
身長の高さや、体の柔軟性は骨格に依存すると思いますが、BMXで言えばある程度どんな体型身長の人でも、それなりに練習をすれば誰でもバニーホップは習得できています。あとは重ねた回数、努力した時間に依存します。
はじめから40cmのシケインを目標とせずとも、小さい段差程度ならこの短い休みの間に詰め込みでもメイク出来ると思います。ぜひ臆せず、じっくりトライしてみてもらいたいです。