腰山雅大「All-City Cycles “Electric Queen” バイクチェック」
All-City Cycles が満を持してリリースした新型MTB、Electric Queenが我が家にやってきました。先ずは外観&ジオメタリについてレビューしてみたいと思います。
同ブランドとしては3車種目のMTBになりますが、JYD/LogLadyとは全く違った個性を持つこのバイク、実は僕、1年以上首を長くして待っていました。というのも、構想自体は相当前からJeff=All-Cityのボスの頭の中にあったようで、前回のジャパンツアーの際、こっそりとジオメタリや特徴について話を聞いていました。
正直MTBのトレンドについては全くと言っていいほど追っておらず、その時話を聞いても「へぇ〜そんなのあるのね」なんて聞き流していた程度だったのですが、その後徐々にウェブなどでヘッドアングルやホイルベースなどMTBの流行り話を聞くと「あぁJeffが言ってたの、そのまんまやな」と理解を深めていくことになります。
ということで、見た目から良き時代のオマージュを連想させるこのモデルが、実は羊の皮を被った狼、あるいはKPGC10にRB26を載せてしまった、ロッキーオートのようなバイクだということをご説明したいと思います。
さて、All-Cityの各モデルには過去の名作からサンプリング的技法が盛り込まれていますが、今回のモデルはどこから来てるのでしょうか。たぶんにA社のMF?緑色が無くなって引き締まった印象を受けます。Jeff自身日本のMTBも大好きで、当然のようにBridgestoneの古いモデルを所有していたりするんですが。1台1台仕上げが異なるスプラッターペイントも、僕ら世代には斬新で、もう少し上の世代には懐かしく感じさせます。
新旧が混在しているといえば、このフレームはFフォークが110mm&15mmスルー/Rエンドが148mm&12mmスルーのブースト規格となっています。が、エンドの造形は従来のAll-Cityらしい装飾が施され、ある意味新規格と思えない見た目となっています。
そしてタイヤは27.5プラス、2.8とか3.0とか太めのサイズで29inchと同等の外径というのが特徴です。乗り味については後ほど述べますが、ハイカーのおじさんおばさんにも「やっぱりマウンテンバイクのタイヤは太いんやね〜」と言わしめる程度には風格があります。
そして何よりも特徴的なのがヘッドアングル&ホイルベース。Sサイズで67.7度。LogLadyの70.5度、Natureboyの71.5度と比較しても相当寝ていることがわかります。その分高めのFフォークが入って、全長は驚くほど長く設定されています。実際クルマに積むのも若干不安になる程度には車体が大きいです。当然長いだけで良いというものでもなく、その分ステムが短くなり、ライダーにとっては適切なポジションが用意されています。
で、それがどう作用するかという話ですが、それぞれ真横からの写真をLogLadyと重ねてみるとよくわかります。BBの位置で合わせてみましたが、前に突出した全長に対してハンドルの位置はLogLadyより手前気味。サドルの場所も変わらないので、自転車に対して物凄くリア荷重で乗っていることになります。更にフォークが寝ていることで、より前からの大きい入力にサスペンションが対応出来るので走破性が高くなる、というメリットがあります。
ただしフロントにトラクションが掛かりにくい、ハンドルを切っても曲がりにくいというデメリットも発生するはずなので、それがどれくらいライディングに影響するのか、気になるところ。
何れにしても、パッケージ的にも、ビジュアル的にも、かなりのインパクトを持って登場したElectric Queen。発表直後はレース会場でもこの自転車に関する話題が飛び交っていて、ようやく自分の手で触れて、乗り味を確かめる機会に恵まれた訳です。
また後ほど、ライディングしたレポートをご紹介したいと思います。
All-City Cycles/Electric Queen
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