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砂田弓弦「早く覚えたい外国でのマナー」

Posted on: 2010.08.01
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今年のツール・ド・フランスは日本人選手が二人出たこともあり、これまで以上に興味深く見られた人が多かったと思います。
プロのロードレースは個人競技でありながら、実はチームで戦うので、団体競技と言った方がぴったりです。ツール・ド・フランスの参加選手200人の中には、いろんなチームの思惑があります。ですから、言い方を変えると、この二人はプロチームという会社で仕事したともいえます。
また私は、この二人の走りを含め、ツール・ド・フランスという世界規模のレースを取材=仕事して帰国しました。私の仕事の現場の多くが海外で、クライアントの大半も欧米です。そうなると、外国人とのつきあい方がとても大切になってきます。

今回は日本人が海外に出て仕事するときのことをお話ししたいと思います。ただし、海外といっても、世界には200近い国があるわけで、私はそのおよそ2割しか行っておらず、また訪れた国の多くは欧米です。ですから、今回の話は欧米に限定させてもらいます。

まず日常の挨拶ですが、日本のように頭を下げ合うことはありません。握手やキスが普通です。キスというと、日本では男女のものに思われているかもしれませんが、男性同士、あるいは女性同士が左右の頬にキスすることも決して珍しいことではありません。
見渡す限り、フランスではさらにこのキスが頻繁になるように感じます。たとえば朝ご飯を食べているグループに仲間がやってきて、一人一人にキスしてご飯を食べ始めるなんていうのもまったく日常的なシーンです(ただし男同士はあまりないですが)。
食事のマナーも非常に大事です。ラーメン屋で「ふーっ、ずるずる」と麺をかき込む姿は日本ではまったく違和感のないところですが、欧米でスパゲッティを食べるときに同じことをやると周りから「どこの野生人?」と思われるでしょう。これをやってしまうと、周囲は大きな迷惑を被ります。
反面、鼻をかむときは、男女とも堂々とやります。食事中でも関係ありません。そもそも、風邪を引いたときなどに鼻水をすすり続けること自体、行儀が悪いのです。
人前で靴を脱ぐ行為も慎まなければなりません。例えば日本では飛行機で国内を移動するときも機内で靴を脱いでいる人を良く見かけますが、ヨーロッパでは見られない光景です。下駄やわらじの文化を持つ日本人にとって、靴を履き続けるのは苦手なものですが。

さらに大きな違いは、日本にはものを言わないで相手に分かってもらうのが美徳と言う独特の文化があるように思われますが、これはまず通用しません。実際、現地の小さな子供たちと接触しても、おそらく家庭や学校で態度をはっきりさせることをしつけられているのでしょうが、驚くほどイエスとノーをはっきりと良い、そして自分の主張をします。もちろん、やりすぎはエゴイストになってしまいますが、最小限は普段の生活にせよ、ビジネスにせよ、必須です。

私は日本人としての誇りを持っていると最初にいいました。日本には海外にない美徳がたくさんあります。たとえば交通マナーや環境美化の点などは胸をはれるものだと思います。
しかし、海外で暮らしたり仕事したりするときに、こうした美徳は続けるにせよ、「日本人だから、なんでも日本流で」というのは通用しません。郷に入っては郷に従えなのです。

今回、ツール・ド・フランスで日本人選手が出場したこともあり、これから日本でも海外で走ることを夢見る若い選手がもっと増えるでしょうし、私もそれを期待し、そして応援しています。
老婆心からそういう人たちにアドバイスするならば、まずは現地でのマナーを早く覚えることです。自転車レースに参加するにあたり、直接は関係ないことかもしれませんが、それがチームメイトや仲間たちとスムースなコミュニケーションを可能にすることにつながるのです。もちろん、これはビジネスにもそのまま当てはまります。

今回、ツール・ド・フランスに出場した日本の選手2名も、チームメイトたちととてもうまくやっています。彼らは早くから海外に出ていますから、そのへんも十分に心得ているのだと思います。この点も、これからの若い世代がお手本にしなければならないところです。

END

砂田弓弦(すなだ・ゆづる)/1961年富山市生まれ。法政大学卒業後、イタリアに渡り、フォトグラファーとなる。現在は日本とイタリアの間を頻繁に行き来しており、ミラノにオフィスを構えて、自転車競技を中心に撮影をしている。その作品はイタリア、フランス、イギリス、アメリカ、オーストラリア、日本をはじめとする多くの国のメディアに掲載されているほか、内外の広告の分野でも定評を得ている。
http://www.yuzurusunada.com

AUTHOR PROFILE

砂田弓弦 すなだ・ゆづる/1961年富山市生まれ。法政大学卒業後、イタリアに渡り、フォトグラファーとなる。現在は日本とイタリアの間を頻繁に行き来しており、ミラノにオフィスを構えて、自転車競技を中心に撮影をしている。その作品はイタリア、フランス、イギリス、アメリカ、オーストラリア、日本をはじめとする多くの国のメディアに掲載されているほか、内外の広告の分野でも定評を得ている。

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