腰山雅大「シクロクロスのインターバルを平均化させる、とは」

Posted on: 2016.05.28

先日、シクロクロスのとっても速い人とご飯を食べる機会がありまして、例えばMTBという競技との違いや、シクロクロスはどういうトレーニングをするのが良いか、という話になったのです。

いわゆるシクロクロスという競技、は、少し詳しい方なら「インターバル競技」「常にスプリント」という認識があるはず。確かに他の競技と比べると、30秒ほどのインターバルが1分ごとにやってくるような(それも60分間)、心拍も常に最大値にいるような競技です。

僕も、かれこれ40戦くらいレースに出場したのですが、コースを攻略しよう、より速く走ろうと意識すればするほど、先入観と違った印象を受けていました。で、つぶやいたのがこれ。

RT、Favの他、割とレスポンスがあった方なんですが、これが賛否両論で興味深かったわけです。(それも自分より随分長く競技に携わる、速い人たちの意見として)

先ずは、このツイートの真意を書いておきます。

自転車で一定の時間または距離をより速いペースで走ろうとするならば、当然ながら出力は一定にしておく方が良い。ロードレースの観戦だと、見るものにとってそれは暗黙の了解でもあり、勇敢にアタックをするものには惜しみなく賛辞が与えられるわけです。それほど、高出力(細かく言えば耐乳酸闘値や、いわゆる”FTP” と呼ばれるものを超えるペース)で走ることはキツイ、体力の消耗をグンと加速させる訳です。

それがシクロクロスの場合「インターバル競技だ」という先入観でインターバルをどんどん受け入れようとする、のではなく、なるべく平均的に走る方法を考える方が得策ではないだろうか、ということ。

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レース中、あまりメーター見ない(というか見る余裕もない)のでペースというと体感速度や周りとの位置関係を基準にして走ることが多いのですが、そうすると無意識にオーバーペースになりがち。国内の、特に地方のレースだと登りが長く設けられているような場所もあり、意識してないと無謀なアタックを自発的に繰り返し、結果タイムを落としてしまうのも想像出来ます。

インターバルとは、長く続けることの出来ない負荷を休みを挟みながら繰り返し掛ける意味でもありますが、特定の場所で高負荷を繰り返すことは良いにしても、それは、基本になるペースをはっきり理解した上でやった方が速く走れる、もしくは失敗をしても次へ改善することが出来るのではないかと思うのです。

もちろんこれは、レースにおける勇敢なアタックや、インターバル耐性の能力自体を殺してしまう諸刃の剣でもあります。ただ、闇雲にインターバルを繰り返して酸欠でレースを振り返ることが出来ないくらいなら、一度出力を一定にし、ペースを把握しながらレースに挑むのもトライアンドエラーそのものでしょう。

出力、とは書いたものの、基準は全てがパワーメーターでなくとも、感覚でも、または心拍数でも良いはず。実際に僕はランニングの経験が殆どなく、昨シーズンは自転車を降りて走るシーンで心拍数が異常に上がり苦労しました。

シーズン中は、その点に気をつけて、なるべくランのペースを上げすぎない、もしくは降りないことに努めました。シーズンを終えてからは、ランニングもトレーニングメニューに加えて、あとは実践。先日のバイクロアでは随分と改善されたことを認識しました。

またStravaのFlybyをレース後チェックすると、登りはいいペースなのに下りで踏めずライバルと差が開く、なんてこともありました。登りで高負荷やったんだから、下りでは休む!と、まさに先入観で決め込んでしまっていたことが要因でした。後半になって登りが踏み切れず、仕方ないのでその分下りで踏んだ周回の方がタイム良かったり。

現世界チャンピオンのWoutが、ロードのTTで驚異的な結果を出したという話を聞きましたが、基本的な出力の高さもあると思いますが、徹底したペース管理の上手さが輝いたのではとも思うのです。

AUTHOR PROFILE

腰山雅大 こしやま まさひろ/1986年4月10日生まれ。兵庫県出身。 '00年、BMXと出会う。競技を続ける傍ら、BMX専門誌への寄稿、コンテストでのジャッジ、MC、競技大会の主催など、マルチに活動をする。'14年にシクロクロスを始める。変速機のないシングルスピードの車両(SSCX)で参戦を続け、現在カテゴリー1を走る。'15年からアメリカ、ミネアポリスの自転車ブランド “All-City Cycles” のライダーとして活動をする。趣味はコーヒー。 ◆筆者の公式ブログはこちら ◆筆者のInstagramはこちら

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