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安藤隼人「脳震盪問題から自転車界の落車後再乗判断を考える」

Posted on: 2014.11.18
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羽生選手の件でかなり取りあげられた脳震盪問題ですが、自転車界ではまだまだ非常識が常識です。私は日本登山医学会の評議員でもあり日本山岳協会の医科学委員でもあるのでちょっと意見しようと思います。(写真は研修でのイメージ画像です)

今年8月のインカレ。250バンクで行われた二人乗りのタンデムスプリントでも最終2センターで落車がありました。70km/h近くで落ちているので完全に高エネルギー外傷です。

私も、決審ジャッジをしていましたが、コーナー審判員より真っ先に駆けつけて行って、頸椎保護をして意識の消失を確認しました。あとから駆けつけた大会ドクターに引き継ぎましたが、そのドクターは2回戦目を止めませんでした。

2回戦をスタートした直後の1センターで落車したチームがふらついた際には、肝を冷やしましたが、なんとか無事に試合は終えました。私としては落車した時点で2回戦目はなしと考えていましたが、その大学の監督も「他のみんなも頑張っているから頑張れ」という声をかけ、ドクターも擦過傷の処置だけしてOKを出していました。

その医師を批判するつもりはありませんが、学連に限らず、大会運営関係者も医師には得意不得意や勉強不足もあり、自分たち自身がこのような知識を持ち合わせていないといけないという自覚が必要だと思います。

なんで、お前が止めなかったのか?と言われれば、大会審判長でもありませんでしたし、医師ではない、要するに権限がなかったからです。また、私一人がダメだしを強く主張したところで、他の審判員やチーム関係者からは、選手が頑張るといっているのに止めるのは・・・という流れが容易に予想ができます。なにせインカレですから・・・

一般のレースでも、医師さえいれば良いというような考えが主催者側に少なからずあると思います。しかし、医師も万能ではありません。医師ですら高エネルギー外傷の一次救命措置の研修を受けている方は、救急専門医や一部の関係医師を除いて多くないのが実情です。

大会参加要項に主催者に責任は問いませんという同意を得ていても、安全配慮義務違反があれば、訴えられればそのような同意書は意味をなさないという判例が、登山界では既に起きています。裁判になれば、あとだしじゃんけんなので、本人は好きでやっているスポーツであっても、そんな事も知らずに走らせたのかと親族が言いはじめれば、勝てる見込みは少ないでしょう。

参加者や選手の安全を守るのは、監督、コーチ、トレーナーだけでなく主催者・審判団にも責任があります。特に大学生や高校生、アマチュアチームの関係者は、その選手の将来や家族の事も考えて、指導者や管理者だからこそ冷静沈着な判断が求められるでしょう。

羽生選手の事もありますし、良いきっかけになると思いますので、自転車界の常識は非常識ということをもっと輪界全体で勉強し、改革する必要があるとおもい、脳震盪についての日本サッカー協会のガイドラインをシェアします。
http://www.jfa.jp/football_family/medical/b08.html

AUTHOR PROFILE

安藤 隼人 あんどう はやと/1979年生まれ。鹿児島県出身。鹿屋体育大学体育スポーツ過程修士卒業。鹿屋体育大学自転車競技部元主将。オリンピック選手などのアスリートに対するトレーニング指導をはじめ、海外高所登山者への高所順応指導が専門。2013年にプロコーチとして独立。スマートコーチング主宰。 ◆筆者の公式ブログはこちら ◆スマートコーチングHPはこちら ◆スマートコーチングFacebookはこちら

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