安藤隼人「危険なハンドル加重ポジション」
先日トレーニングに来られた競輪選手。近畿の選手なので、トレーニングは久しぶりだったのですが、前回来た時から自転車に乗るときの重心位置を常に考えるようになり、成績が良くなってきたとの事。
競輪は時速60キロ以上で並んだ相手とぶつかり合う「競り」をしながら相手と勝負します。その為、BB加重かつ下死点まで踏まないために、上半身の使い方がかなりシビアです。
また、ペダルが空回りしない直結ギアなので、少しでもハンドルを握り過ぎたりハンドルに加重すると重心位置が高くなり落車につながります。
考えてみて下さい。自転車と人間の接点で一番低いのは何処ですか?コンタクトスポーツであるサッカーやラグビー、バスケで相手と競り合う時に腰をどうしろといわれますか?
落としますよね?それは重心位置を低くする為で、低い方が横からの接触したエネルギーに対して、崩されにくいからです。
これは、ロードでも同じです。先週末の群馬の実業団レースで落車が多発したようですが、最近の落車の多発する原因にハンドルを遠くし過ぎてハンドル加重しているライダーが多いように思います。特に下りは、フロントの方が下がるので余計にハンドル加重させられます。
単独だと早く走れる事もあるハンドル加重ポジションですが、集団走行で接触を前提としたレースでは危険極まりないです。
エリートライダーでもハンドル加重ポジションをしていますが、体幹で支える力も強く、ペダルにどのように力を掛けたら自転車が安定するかも感覚的に知っているので、咄嗟に片手を離してもフラつかず、減速せずに走れます。他の選手の腰を押しながら走るといった事もできます。
一方、にわかでハンドル加重ポジションを取っているライダーは、片手を離す事が出来ないか、大きくフラつき、かつ減速します。試しに前を走っている選手の腰を押してみたらわかるでしょう。自分が下がるか、落車します。
ハンドル加重で、このような事が出来ないのであれば、そのポジションを改めるべきです。
速く走るだけを競いたいなら、タイムトライアルに出ればいい訳で、ロードレースに出るなら、それ相応のスキルを身につけ、セッティングも見直しましょう。速いけど危ない走りをするのであれば、ロードレースに出るべきではありませんね。