栗瀬裕太「ビッグトリックへのステップ!ホームピットの必要性」
こんにちは!栗瀬裕太が影響を受けた世界のDirt Bike Movieを紹介していくコラム!今回ピックアップする動画は、世界的なMTBの聖地「Whistler」のインドアパーク内になるトリックトレーニングセクション「ホームピット」でのライダー達の練習ムービーです。
【Whistler FOAM PIT Session at the AIRDOME!】
BMXライダーもMTBライダーもフリースタイル系のエアートリックのトレーニングには欠かせないこの「ホームピット」とは実際のセクションと違い、着地点が「クッション材」を敷き詰めたプールになっていて、回転系の大技などの練習を行う際に、怪我のリスクを軽減して、トリックを習得する事が出来ます。
僕が海外にチャレンジしていた10年前は、まだまだBMXとMTBのフリースタイルのレベルの差を感じましたが、近年のビックコンテストの模様を見ていると、現在はどちらも同等のレベルまで個人的には来ていると思います。
20代の僕は変に尖っていた事もあり、当時まだまだビッグトリックだった「バックフリップ」にチャレンジしていた頃に「ホームピットなんかズルいから、おれはそんな物に頼らずメイクする!」と馬鹿な事を言って遠回りした物です。おかげで現在も影響が残る大きな傷を数多く負ってしまいました。当時の僕のスタイルだったので後悔はないですが、反省はしています。
そんな僕も、20代前半には意地でバックフリップもメイク!!その後は少しは賢くなり20代後半は「ホームピット」を活用する様になりました。当時は岡山県に「ASPO」という大型のスケートパークが存在し施設内に「ホームピット」が有ったので国内のBMXフリースタイルシーンはグンと海外に近づいた時でした。僕も良く大技を練習しに行きました。
しかし、残念ながら「ASPO」も無くなり、国内に練習場所を失った僕は、当時のチームの本国ライダーが住んでいたカリフォルニアのサンタアナのBMXライダー「Ben Snowden」のバックヤードに存在する「ホームピット」で練習していました。
当時チャレンジしていたトリックは主に「フロントフリップ」「バックフリップターンダウン」「720°」などで実際帰国後初のコンテストではフリップターンダウンをメイクし優勝する事が出来ました。その時の映像が下の映像になります。
「ホームピット」は現在、国内ではBMXやMTBなどのライダーの有志が保有し、数個は存在しますが、僕自身は更に実戦に近い「ウッドチップ」などでバックサイド(着地セクション)を造ったトリック練習用ダートセクションが必要かと思っている今日この頃です。
近年「Crank Works」などのMTB系ビッグコンテストでは、飛び降り系のドロップセクションやウォールセクションも採用されていて、そこでどれだけトリックを披露出来るかが重要な要素となっています。その流れをうけて映像内では単純なジャンプセクションだけでは無く、練習用ドロップセクションも造られているのが見えます。
【Crank Works:Brandon Semenuk’s 2014 Red Bull Joyride Winning Run】
Brandon Semenukは、MTBのフリースタイル界でトリックもスタイルもトップに君臨するスーパースターです。2014年Crank Worksで見事優勝を果たした時のウィニングランのムービでは、スタイリッシュでビッグトリックの着地もスムーズ!圧巻のランでした。
世界ではコンテストに採用されるコースが日々進化しているのと同時に、練習環境もどんどん進化しています。一方、日本では、世界に対応するための練習環境が減っているというジレンマがあります。
大技を成功させるためには、危険が伴います。しかし、ちゃんとしたステップアップを踏める環境があれば、その危険を軽減することは可能です。まずはこうした映像をみて、世界のトップライダーが生まれる過程を多くの人に知ってもらえればと思ってます。