福島晋一「自分の為の有終の美」

Posted on: 2014.02.27

ちょうど引退した身で今回のオリンピックを見る。

浅田真央が転倒した際には思わず声をあげてしまった自分であるが、あの瞬間日本で多くの人が同じ感情を持ったのではないだろうか?あのジャンプに対するプレッシャーは相当のものであったと思う。

ワールドカップでスーパースターでもPKを外す。自転車ロードレースは長い代わりに一瞬の判断ミスが命取りになる事は少ないが、やはり大舞台の前にぐっすり眠るには慣れとそれなりの肝っ玉が必要だ。

銅メダルを誰が取ったかは誰も覚えていなくとも、浅田真央の失敗とその後の演技は大きく印象に残っている。銀メダルに抗議して署名運動が起こっていると言うが後味の悪い話だ。かたや、メダルをとっても後味が悪い。

スポーツにとって大切なのは結果だ。ただ、その結果と言うのはただ単に記録ではなくて、人の記憶ではないだろうか?

プロである以上、結果が求められるのは当然である。

そこで思い出すのがジャンプの原田選手。彼の失速は伝説に残った。そして、彼は次のオリンピックで見事にそれを撥ね退けて記録にも記憶にも残った。

今回のオリンピックで銀メダルを獲得した葛西選手が続行を決めた。勇気のある決断だと思う。

現役の同じ年代の選手を応援したくなる気持ちを自分も理解しつつある。

AUTHOR PROFILE

福島 晋一 ふくしま しんいち/岡山県出身 1971年生まれ。20歳からロードレースを初め、22歳でオランダに単身自転車武者修行。卒業後、ブリヂストンアンカーに所属し2003年全日本チャンピオンを獲得。2004年ツアー・オブ・ジャパン個人総合優勝、2010年ツールドおきなわ個人総合優勝。2003年から始めたチーム「ボンシャンス」代表に就任。2013年シーズンを最後に引退。JOCのスポーツ指導者育成制度でフランスのコンチネンタルチーム「ラ・ポム・マルセイユ」の監督として2年間の研修を経て、現在はアジアのロードレース普及を目指しアジアサイクリングアカデミーを主宰している。 アジアサイクリングアカデミー筆者の公式ブログはこちら

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