リオ パラリンピック開幕 自転車は8日トラック競技からスタート

Posted on: 2016.09.09

9月7日(日本時間8日)、リオデジャネイロパラリンピックが開幕した。今大会は第15回目となる夏季パラリンピックで、159の国と地域の代表に難民選手団をあわせた4350人あまりが参加し、18日までの12日間にわたって22競技・528種目が競われる。


写真 マラカナン競技場で行われた開会式

自転車競技は8日にトラック競技から始まる。会場はオリンピックと同じリオオリンピックベロドローム。日本からは、川本翔大(男子C2)、藤田征樹(男子C3)、石井雅史(男子C4)、鹿沼由理恵(女子視覚障害)、田中まい(パイロット/女子視覚障害)の5選手が大舞台に臨む。


写真 6日に公式トレーニング中の藤田征樹

日本チームは、8月下旬に伊豆で最終合宿を行った後、9月1日に現地入り。まずトラック競技に向けて、ベロドロームでの公式練習時間を活用しながら、調整を続けて来た。現地入りから競技本番まで1週間程あった事から、ある程度強度の高いトレーニングメニューも行って来たという。

チームへの取材を行ったのは開会式前日の9月6日。パラリンピック3回目の出場、経験も豊富な藤田と石井からは、程よい緊張感と順調な調整の手応えが伺えた。パラリンピック初出場、20歳の川本は、日に日に高まって行く本番への雰囲気を肌で感じていると話し、やや緊張した表情も見せていた。

女子視覚障害クラスの鹿沼・田中ペアは、今年3月のパラトラック世界選手権・3km個人追い抜きで銀メダルと、トラック競技でメダル獲得への期待が大きい。競輪選手の田中が、自転車競技に専念した5月以降、ペアでのトレーニングも合宿を重ね、トップスピードの維持、スピード持久力のさらなる強化に努めて来たという。二人の表情からは明るく頼もしさが感じられた。


写真左:鹿沼由理恵・右:田中まい

■川本翔大(男子C2/20歳・大和産業株式会社)
昨日(5日)くらいから実感が湧いて来て緊張しはじめています。どんどん選手も増えて来て、ライバル選手の姿を見たら、あ!みたいな。(自転車競技歴は1年程だが)いままで自分が色々なスポーツ(野球など)をやってきたから今があると思っていて、20年間の全部が、パラリンピック出場に繋がっているのかなって思います。いままでにないタイムを出したいと思っていて、東京のことは一旦あまり考えず、今のリオを全力でやりたいと思います。目標は自己ベストを更新する事、自分に勝つ、で行きます。

■藤田征樹(男子C3/31歳・日立建機株式会社)
やるべき事を1年2年かけてやってきて、色々な事を充実させられた状態でリオに来られていると思います。いままでよりそうしたことが高い次元で出来ている、周囲からのサポートもある、というのは自分が成長した点だと思っています。

しっかりと「勝つ」ことにチャレンジして行きたいです。これはもうずっと言っていますが、そのためにチームみんなで苦しい思いをして来たので。ロードが一番の照準になって来ると思いますが、ここまでしっかりやって来られているので、まずしっかりトラックで一回爆発させて。欲張ってはいけないけど、欲張りな性分でもあるので、落ち着いてしっかり頑張りたいと思います。

■石井雅史(男子C4/43歳・公益財団法人藤沢市みらい創造財団)
最初のこの1週間(現地入りから競技開始までの調整期間)がすごく大事で、各国の選手たちが次々入ってくると雰囲気にのまれやすくなるので、気をつけるためにも、いままでと同じ事をここでもこなして行く様にしています。集大成の大会、最後ということで、ここの成績をもって東京に向けた若い選手のスカウティングもやって行きたいと思っているので、それを実現出来るような大会にしたいですね。

(トレーニングの成果もあり、ギアを上げていると聞いたが)1kmは2008年の北京パラリンピックより重いギアで臨みます。なんとかこれを踏み切って、北京の記録を超えて行きたいなと思っています。1kmは、2009年にイギリス・マンチェスターの大会で出した1分8秒5がベストなんですけど、(標高の高いメキシコで出した記録を除いて)それを破りたいです。超えたいのは他人じゃなくて自分なので、なんとか乗り越えられる様に頑張って行きたいです。

■鹿沼由理恵(女子視覚障害/35歳・楽天ソシオビジネス株式会社)
(2012年から自転車競技に転向して)アメリカのパラロード世界選手権(2014年)で優勝するまでは、ある意味、ずっと上げ調子で、チャレンジャーで行けていて、あそこでメダルをとってから期待やプレッシャーを感じながらになって、なのに、怪我も続いて、そのぶんもどかしさはありました。でも今は、プレッシャーを受け入れた上で、自分と向き合える様になっています。最後まで、諦めずにメダルを目指して走りきれたら良いなと思っています。3km個人追い抜きは前半で抑えすぎずにトップスピードにのせてそれを維持すること、それで最後の1km、もがいて粘って行けたらベストが出せるんじゃないかなと思います。

■田中まい(パイロット/26歳・ガールズケイリン選手)
ここのトラックを初めて走った時は、軽くて、伊豆より走りやすいという感触でした。やるべき事はやってきたので、ここでの調整は全部プラスに考えてやっています。9日の1kmでしっかり大会の雰囲気を掴んで、3km個人追い抜きに繋げられたら良いなと思います。スタートに立つまでの最終的な準備がここからは大事になって来ると思うので、気を抜かずに、気を張りすぎずに、しっかり準備したいです。お互いが全力を尽くせればベストは出ると思うので、気持ちをしっかり、諦めない気持ちを最後まで持って走りたいです。

日本の選手の出場種目は9日の女子視覚障害クラス、鹿沼・田中ペアの1kmタイムトライアルから始まる。自転車競技の日程は8日~11日がトラック、ロードは14日~17日に行われる。

なお、日本代表選手の出場スケジュールはhttp://www.jpcfweb.com/160816.html”>日本パラサイクリング連盟のWEBサイトに詳しく掲載されている。

記事・写真:小板橋彩子

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