ブエルタ第13ステージ 新城が公言通りの逃げを決めエースアシストとして力走

Posted on: 2015.09.05

9月4日、ブエルタ・ア・エスパーニャは第13ステージが行われ、24名の大人数の逃げが決まり、最後は単独で飛び出したT.T.スペシャリスト、ネルソン・オリヴェイラ(ポルトガル、ランプレ・メリダ)がステージ優勝。逃げに乗った新城幸也はチームメイトの総合成績アップの為に力走し24位でフィニッシュしている。


逃げる先頭グループ。新城の後ろにローマン・シカー(Photo Miwa IIJIMA)

第13ステージは中盤に1級山岳をはさみ、3級が2回、さらに山岳ポイントとして設定されていないところも激しいアップダウンが多い、177kmのコース。

前日、新城は「今日のコースは逃げ切るチャンスが大きいから、絶対に逃げに入る」と公言してスタートしたが、どのチームも考えは同じで、スタート直後からアタック合戦が始まり、数人が先行しては追いつかれるという展開が50㎞に渡り繰り返されるがなかなか決定的な逃げグループは形成されない。

最初の3級山岳をきっかけに新城がアタック。そこに2名の選手が反応し3名の逃げが始まる。なかなか大きくタイム差が開かないものの粘る3名だったが、長い3級山岳を超える手前で8名の選手が追いつき、その後すぐに1級山岳でパラパラとメイン集団から抜け出してきた選手が合流し、24名のエスケープが始まる。
 
逃げに選手を送り込んでいるチームが多いため、後続のメイン集団はリーダージャージのファビオ・アールを擁するアスタナのみがタイム差を図りながらコントロールしていく。しかし、積極的に追い上げるという動きはなく、4分ほどのタイム差を保ったまま終盤に向かう。

24名の逃げグループは、全員で先頭交代をしながら逃げ切るという意志統一はできていたものの、逃げグループからさらに抜け出そうとアタックする選手が続出。

残り40km、最後の3級山岳に入るところで、ランプレのネルソン・オリヴェイラが単独アタック。世界選手権タイムトライアル7位の実力を見せつけ、じわじわと23人を引き離して行く。単独での飛び出しという油断もあったのか、ゴールスプリントに備えたい選手たちは追うことにためらい、牽制状態に。
 
23名が躊躇している間に、ネルソンと23名とのタイム差は広がり、残り15kmを切ったところで新城が積極的に前を引き出し、単独で逃げるネルソンに迫る。10kmを切っても新城は自ら先頭を牽き続けるが、他の選手の協力は得られず、ネルソンが逃げきり、区間優勝を飾った。

ゴール1km切るまで先頭で牽き続けた新城は23人での2位争いのゴールスプリントに加わることなく、24位でゴールしている。しかし、この新城の働きにより、メイン集団に残された総合上位の選手たちからタイム差を稼ぐことができ、同じ逃げグループに入ってたエースのローマン・シカーが総合10位にジャンプアップした。


監督から労いの言葉をかけられた新城(Photo Miwa IIJIMA)

レース後、新城は「今日は絶対逃げると決めていたので、実行できて良かった。24名の中での動きはそれぞれのチームの思惑があるが、誰も追わずにこのまま区間2位争いをするのなら、せっかくここまで逃げて後続集団とのタイム差を開いてきたので、それが無駄にならないように、前の1名を追うと言うより、後続とのタイム差を少しでもでも広げて、ローマンの総合を上げようと判断した。

結果的に自分はゴールスプリントに絡まなかったが、ローマンの総合がトップ10まで上がったので、この判断はチームも評価してくれている。後、3日間は山頂ゴールが続くが脚の調子も日に日によくなっているので、自分に出来るとはしっかりとこなし、体調も上げて3週目に入りたい。明日はちょっとおとなしくしているかも(笑)」と語った。

新城の走りは他チームからも高い評価を受けた。このステージをきっかけにブエルタでのリズムを掴み、この後に控えた山岳連戦を乗り切りたいところである。

第14ステージはスペイン北部、ピレネー山脈の西側沿いの自転車熱が熱いといわれるバスク州が舞台。中盤から3級、1級、そして、ゴールは超級カテゴリーの山頂ゴールとなる215kmで行われる。


第14ステージコースプロフィール

(記事:TeamEuropcar  Miwa IIJIMA)

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