日本人ロードレーサーの進むべく未来とは? Part2柿木孝之コーチが説く代表強化論

Posted on: 2015.02.20

オリンピックやツール・ド・フランスといった夢の舞台で日本人が活躍するためには、果たして今、日本自転車界は何をすべきか・・・?永遠の課題とも言えるこの問いに対して答えを出そうと、これまで様々な人が立ち向かってきた。

そうした中、数々の名選手を輩出してきた育成プロフェッショナルに今、日本代表の未来が託されている。

JCF(日本自転車競技連盟)で日本ナショナルチームを導く浅田顕監督(エリート男子・U23担当)。そして若手の育成に尽力する柿木孝之コーチ(エリート女子、ジュニア男女担当)。2人の考える、今日本人選手の進むべき未来について語った。Part2は、柿木コーチのインタビューを紹介する。


日本代表チームを率いる浅田・柿木両コーチ


ジュニア世代の育成を継続的に行っている柿木孝之コーチ

【以下、柿木コーチインタビュー】

ーー柿木コーチのJCFでの立場と動きについて教えてください?

エリート女子とジュニア男女ロードの方を担当しています。エリート女子に関しては、今年の6月から来年の5月末まで、オリンピック出場枠をかけた重要なUCIレースが続くのでなるべくたくさんのポイントを獲るということも大事ですが、日本の選手が世界選手権レベルの、今まで経験が出来きなかったレースに多く経験してもらいたいと思っています。多くの経験を積み、オリンピックに向けた準備をしたいとエリート女子は考えています。

■世界レベルのレースを経験することが当面の課題となるエリート女子

ーー2016・2020年オリンピックに向けた動きは?

やはり今から動いても遅いぐらいだと思います。アジアのレース、日本のレースでは海外のレースとは全く別のレースになります。オリンピックで結果を出すということを考えると海外の様々なレースに出ていくしか方法はないですね。

ーー女子はどういうスケジュールで強化を行うのでしょうか?

2月のタイでのアジア選手権が終わった後に、ニュージーランドのステージレースの遠征を計画しています。5月に中国、8月にフランスの遠征も今年の世界選手権前までに考えています。

ーー今後の課題は?

力がある選手は何人か出てきているとは思いますが、チームでの戦い方が他の強豪国と比べて大きく劣っているところだと感じてます。チームでいかに戦えるか、ということを選手自身が経験していかないと、世界では勝負できないと感じます。


チーム力・経験値を積む事がエリート女子の課題

■海外レースの経験値がU23/エリートカテゴリーに繋がる

ーージュニアに関しての強化は?

今年一つ、可能であれば、参加できるネーションズカップのレースを増やしていこうと考えています。昨年の世界選手権ジュニアカテゴリーで、石上優大選手(EQADSエカーズ)が、17位でゴールと言う結果を残しているだけでなく、他の選手もかなり世界で戦える選手が出てきています。

今年は結果が出せるメンバーが揃っています。彼らが今年のネーションズカップで多くを経験し、最低限、海外レースでの集団走行の技術や、レースでの戦い方を教え、経験させた状態で上へのアンダーカテゴリーのクラスに上げたいと思っています。

ーー新しいタレントは、出てきているのでしょうか?

ここ数年、今まで上りが走れる選手が多かったのですが、平坦のスピードがある選手、ゴール前スピードがある選手、タイムトライアルが走れる選手、いろんな才能のある選手がジュニアの方で現れてきているので、彼らが順調に育っていってくれれば、世界で戦える選手が今後複数人出てくる可能性があると思っています。

■2020年東京オリンピックでの活躍の可能性はまだある

ーー実際世界のレベルと比べて日本のレベルは?

コースによっては十分戦える選手は複数名いますが、世界の強豪トップ10の国と比べると、まだまだ経験も力も足りていないです。まだまだ課題は山積みです。

ーージュニア選手の特徴

僕がコーチとしてみているのは、ナショナルの合宿など時間が限られています。トレーニングメニューの相談などはしますが、その他の時間は各自学校での練習が能力アップになっています。そんな中、1、2ヶ月見ない間に急成長を遂げる選手もいる反面、その逆もしかりです。メンタル的に強いものを持っている選手が伸びていくんだと思っています。


トラック・ロードと非凡な才能をみせる梶原悠未(埼玉・筑波大坂戸高校)


成長著しく2020年期待の星である沢田桂太郎(宮城・東北高校)

ーー東京オリンピックでの現ジュニア世代の活躍は?

ロードで逆算すると2020年でプロツアーのレベルで走っているためには、2018、19年でプロコンチネンタルチームにいないといけない状態なので、現実的には難しいところではあるかと思います。オリンピックで活躍するということを考えるとジュニア、アンダーで爆発的な成長をしないと実際難しいです。

しかし、プロコンチネンタル、ワールドツアーに上がるような選手は、アンダー時代に急成長する選手が多いので、そういうことを考えるとまだ今の世代もチャンスはあるかなということは感じます。その可能性にかけたいと思っています。

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