ランニングバイク連盟「未来へ翔る翼に乗って」

Posted on: 2014.03.02

愛知県在住の翔大(しょうた)君。先天性の障がいにより、生まれつき右足が付け根からありません。

翔大君が1歳9ヶ月の時、母親の亜佐子さんが公園でランニングバイクを見かけ、片足で自転車のレースに出ている人がいるために翔大君も乗れるかもしれない、と日本輸入代理店のストライダージャパンに問い合わせました。

問い合わせを受けたストライダージャパンが、アメリカのストライダー本社と連携をとり、右足の代わりとなる専用の補助輪が作られることになりました。こだわりは、ランニングバイク本来の楽しみ方ができるように、安全性が高くなる部分に片側のみ補助輪を溶接し、慣れて来た時に補助輪が地面に付かなくても走れる様に高さの調整が可能としたこと。

そして数ヶ月後、翔大君の2才の誕生日に、世界で一台の、翔大君のためだけに作られた青色のストライダーが届きました。最初は乗っているとおしりが落ちて転んでばかりでしたが、それでも自分なりにバランスをとって、工夫して乗りこなしていきました。

公園に行く時には必ずストライダーを持って。それまでは、ベビーカーがなければ公園内で移動できなかったのが、ストライダーに乗れば自分の好きな時に好きなように行けるようになり、自分で移動できることがすごく嬉しかったようです。

ストライダーをすっかり乗りこなせる様になった翔大君は、2歳4ヶ月でレースデビューを果たします。大勢の観客に囲まれたコースを走るのは大人でも緊張するもの。翔大君は伴走する亜佐子さんと一緒にゴールまで走りきりました。

「レースで完走し、自分でもやれば出来る と自信がついたと思います。勝ちたい気持ちも少し出てきて、練習も頑張りはじめました。このレース参戦がきっかけで、何事も積極的に取り組めるようになったと感じます。」(亜佐子さん)

これを機に、関東から関西までさまざまな大会に参戦をし、めきめきと実力をつけてきた翔大君。両親も、勝たせてあげたい、どうしたら早く走れるか、ストライダーをかっこ良くカスタムしたい、などと、ストライダーとの生活を思い切り楽しんできました。

そして昨年12月、3歳最後となった大会で翔大君は3位となり、ついに初めて表彰台に立ったのです。誇らしげに表彰台に立つ息子の姿が忘れられないと、亜佐子さんは言います。

直後に4歳となった翔大君。周囲のレベルが格段にあがる4歳クラスではスピードについていけず、離されてしまうことが多くなってきました。「しょうちゃん 足がいっこしかないから勝てない!」と、徐々にやる気を失い、最近はチームでの練習も嫌がるように。しかしストライダーに乗ることは変わらず大好きで、公園でバギークロスに乗るお母さんとの競争が何よりの楽しみなようです。

亜佐子さんは、フロリダで開催されるストライダー世界選手権に翔大君を連れて行き、親子で最高の思い出作りをしたい、と淡い期待を抱いているものの、本人が楽しんでいれば、それだけで十分だと語ります。

そんな翔大君は、この冬はスキーにも挑戦の予定。将来は、自衛隊になってブルーインパルスに乗りたい、スペースシャトルに乗って月に行き、うさぎさんと遊ぶのが夢だと言います。

「ストライダーが、外に出るきっかけになりました。自信にも繋がりました。そして、ストライダーチームをはじめ、大会を通じて日本各地に友人ができ、私たち親子の世界が広がりました。ストライダーとの出会いに心から感謝しています。」(亜佐子さん)

大きな可能性を秘めた小さな体が、世界へ、宇宙へと飛翔する日は遠くないかもしれません。

【動画:翔大くん、3歳11ヶ月の時のレース映像】

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ランニングバイク連盟 ランニングバイクとは/ペダルがついていない足で蹴って進む「ランニングバイク」および「バランスバイク」と呼ばれる小さな自転車のような玩具で、日本には、4年ほど前にアメリカから輸入されはじめ、この数年で、一気に大人気となった二輪車。『ランニングバイク連盟』は、そのランニングバイクの楽しさをたくさんの方に知ってもらい、子ども達が安心して走れる環境づくりに向けて活動を行う有志組織。 筆者の公式ブログはこちら

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