若きニューフェイス達が巻き起こした下剋上の戦い。競輪学校生小林、石井が存在感を見せたジャパン・トラック・カップ2

Posted on: 2014.01.27

国内唯一の250m板張り屋内競技場「伊豆ベロドローム」で開催された初の国際大会「JAPAN TRACK CUP(ジャパン・トラック・カップ/UCIクラス1)は、25日から2日間の日程で「JAPAN TRACK CUP2」が行われ、男女合わせて10種目で激戦が繰り広げられた。24日に行われた「JAPAN TRACK CUP1」に続き、現役競輪学校生、小林優香がケイリンで優勝。また、同じく競輪学校に在籍する石井貴子がスプリントで2位に入るなど、ニューフェイスたちの活躍が大会を盛り上げた。


女子スプリント表彰式。前田佳代乃(右)を下し2位に入った石井貴子(左)

3日間の日程で2つの大会が行われた今回の「JAPAN TRACK CUP」。2016年のリオデジャネイロ五輪にむけて、ワールドカップや世界選手権への出場枠獲得が最重要課題とされる中、個人ポイントの上積みを狙う選手たちにとっては、新たな戦いの始まりを告げる大会でもある。

そうした中、2年後のリオ五輪、6年後の東京五輪での活躍が期待されるニューフェイスたちの走りが大きな注目を集めた。

ー■現役日本競輪学校性が生み出した日本代表下克上の戦い
24日に行われたJAPAN TRACK CUP1で鮮烈な代表デビューを果たした小林優香(20歳・日本競輪学校)が、翌25日のレースでも再び魅せた。加瀬加奈子、石井寛子といったガールズケイリンを代表する2枚看板を前に物怖じすることくレースに挑んだ小林。残り1周で、先行する加瀬の2番手にいたアメリカ選手権王者、ミッシー・エリクソンが発進すると、落ち着いてそれに反応。大外から捲り、見事2連勝を飾った。

「挑戦者の気持ちを忘れずに落ち着いて挑むことができた」と語った小林は、「課題は経験とダッシュ力。東京五輪にむけて着実に成長していきたいです。」と力強く目標を口にした。


女子エリートケイリン表彰式 優勝小林,2位石井寛子,3位ミッシー

また、同じく現在競輪学校に通う石井貴子(23歳)も今大会の台風の目の一人となった。「ダッシュ力に自信がある」と語る石井は、スプリントでその才能の片鱗を見せる。

勝ちあがりでは、ワールドカップのレギュラーメンバーである石井寛子、前田佳代乃といった国内トップ選手を持ち前のダッシュ力を武器に撃破。決勝では、ミッシー(USA)に敗退するも、代表デビュー戦で堂々の2位という結果を残した。


スプリント1/2決勝で前田を破った石井(左)

一方で、走行違反ギリギリの粗削りな走りでヒヤヒヤさせる場面も多かった石井。それもそのはず、「スプリントの実戦はこれが始めて」と話す通り、競輪学校ではスプリント練習はなく、これまで代表の合宿で何度か走っただけ。スキー競技から転身した彼女にとっては、この大会が夢舞台への大きな一歩となった。

「とにかく経験が足りないと感じました。今回走ってみて、自分の長所を活かせるスプリント競技が面白いと思いました。今後は、国内のケイリンでトップを目指しながらオリンピックへ出場することが目標です。」と、優勝できなかった悔しさを滲ませながら語った。


初の国際大会出場がスプリント実戦デビューとなった石井貴子(23歳)

ー■鈴木奈央(静岡星陵高校・2年)が3日間で4勝
初日にケイリンとポイント・レース。そして、3日目にはケイリンとスクラッチ。全種目で積極的なレースをみせた鈴木奈央が3日間で合計4勝をあげた。最終日のケイリンでは、先頭誘導員の退避後、誰にも先頭を譲らず逃げ切り優勝。「地元の応援を力に変え優勝することができました。東京五輪の出場を目指して一歩ずつ成長していきたいです。」とコメントして、高校生活最後の年を迎える前に更なる成長を遂げることを誓った。

ー■男子エリート短距離では新田と中川が白熱のレースを演じる
昨年の東アジア選手権以来の代表復帰となった新田祐大(JPN/競輪選手)。その間もしっかりと準備を重ねてきたという言葉どおり、ケイリンでは他を寄せ付けず、初日に引き続き2勝目。スプリントでも決勝に勝ち上がった新田だったが、この種目の第一人者、中川誠一郎(CCT/競輪選手)の抜群の勝負センスを前に敗退。中川が貫禄の勝利を手にした。


男子エリートスプリント表彰式。優勝中川,2位新田,3位渡邉

その他の競技結果は下記の通り

【JAPAN TRACK CUP Ⅱ 競技結果】
◯男子エリート ケイリン
1位 新田祐大(JPN/競輪選手)
2位 坂本貴史(JPN/競輪選手)
3位 渡邉一成(シクロチャンネルTOKYO、競輪選手)

◯女子エリート ケイリン
1位 小林優香(JPN/日本競輪学校)
2位 石井寛子(JPN/競輪選手)
3位 ミッシー・エリクソン(アメリカ)

◯女子ジュニア ケイリン
1位 鈴木奈央(JPN、星陵高)
2位 モハマド・アドナン・ファリナ・シャワティ(マレーシア)
3位 ファン・ユッキ(香港)

◯男子ジュニア ケイリン
1位 モハマド・ゾニス・ムハマド・フィルダウス(マレーシア)
2位 レン・カユ(香港)
3位 ジョン・ジェヒ(大韓民国学生)

◯男子ジュニア ポイント・レース
1位 阿部将大(JPN/日出暘谷高)30点
2位 レン・カユ(香港)      26点
3位 安田開(JPN/北桑田高)  13点

◯女子ジュニア スクラッチ
1位 鈴木奈央(JPN/星陵高)
2位 モハマド・アドナン・ファリナ・シャワティ(マレーシア)
3位 ファン・ユッキ(香港)

◯女子エリート オムニアム
1位 ディアオ・ジャオジュアン(香港)  10点
2位 ソム・ネット・ジュファ(マレーシア)14点
3位 パン・ヤオ(香港)         23点

◯男子エリート オムニアム
1位 オリヴィエ・ビアー(スイス) 17点
2位 チェン・キン・ロー(香港)  20点
3位 橋本英也(JPN/鹿屋体育大)21点

◯女子エリート スプリント
1位 ミッシー・エリクソン(アメリカ)
2位 石井貴子(JPN/日本競輪学校)
3位 前田佳代乃(シクロチャンネルTOKYO)

◯男子エリート スプリント
1位 中川誠一郎(シクロチャンネルTOKYO/競輪選手)
2位 新田祐大(JPN/競輪選手)
3位 渡邉一成(シクロチャンネルTOKYO/競輪選手)

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