2011ジュニア世界選手権トラックがモスクワで開幕 初日リポート

Posted on: 2011.08.18

ロシアの首都モスクワで17日、今年のジュニア世界選手権トラックが開幕した。21日までの5日間、男女合せて全19種目でジュニア世界一の座が争われる。競技場は1980年のモスクワオリンピックで会場となったクリラツコエ自転車競技場。施設は古いが1周333.33mの屋内板張りトラックは、これまで数々の世界新記録達成の舞台となった高速トラックとして知られている。今大会の参加は34の国と地域から男女合せて237名。日本からは男子のみ7名が参加となった。以下、開幕前に聞いた日本人選手全員と中田監督の話をまとめた。

◯奥村諭志(岡山・岡山工業高校)
インターハイから連続なので少し疲れが溜まっていますが大丈夫です。調子は良いと思います。ロシアの食べ物もおいしいので大丈夫です。睡眠もとれています。周りを見るとみんな強そうに思えてしまうので気持ちで負けないようにと思っています。1kmはジュニアの日本記録が目標です。ケイリンはメダルを獲りたいと思います。チームススプリントもジュニアの日本記録を狙いたいです。自信はあります。

◯久保田元気(福島・日本大学)
疲れは全然ありません。これで4回目の海外遠征なので生活も大丈夫です。333mバンクは日本でも慣れているので結構走れそうな感じです。室内の板張りなのでスピードも結構出るような感じがします。団体追い抜きはチームのベストを狙ってみんなで力を合わせてがんばります。ポイントレースは、日本での経験もあまりないのですが自分の持ち味である積極性を出していきたいです。自信はあります。

◯黒瀬耕平(岡山・中央大学)
体調は良いです。食事も睡眠も問題ないです。板張りを走るのは初めてだったので不安があったのですが、やっぱりまだちょっと怖いかなという印象です。でも海外レースの雰囲気は好きです。走った感じは軽いのでタイムも狙えそうな感じです。団体追い抜きは、まずはジュニアの日本記録を抜くことです。あわよくば日本記録にも届くような走りをしたいです。個人追い抜きも日本記録に届くような良い結果を残して帰りたいです。結構足も良い感じなので多少は自信あります。

◯新山響平(青森・八戸工業高校)
この大会に合わせてきたので体調はばっちりです。こっちに来て最初は時差ぼけがあって眠れなかったのですが今は大丈夫です。海外のレースは好きです。強い選手をいっぱい見られて自分も燃えてくる感じがします。バンクが日本と違って軽いのでやる気が出ます。1kmT.T.はジュニアの日本新が出せるようにがんばって8位以内に入賞することが目標です。団体追い抜きもジュニア新記録を出して8位以内に入ることができればいいなと思っています。

◯高士拓也(三重・朝明高校)
初めての海外で食事などで戸惑うこともあるのですが体調は良いです。みんな団体種目で日本記録を出すという強い気持ちで臨んでいるのでチームは良い雰囲気だと思います。団体追い抜きは合宿でも相当やってきたのでジュニアの日本記録更新を目指します。オムニアムは海外選手の実力がわからないので目標とかは言えないのですが、とにかく予選を上がって自分の力を全てぶつけたいです。バンクは初めての板張りで滑るようなイメージがあって怖いです。

◯田中誇士(静岡・伊豆総合高校)
体調は大丈夫です。日本には板張りがないので最初怖かったのですがだんだん慣れてきました。海外の大会は強い人たちの走りがいっぱい見られるので楽しみです。チームスプリントは他の2人の足を引っ張らないようにしてジュニアの日本記録を更新したいです。スプリントは予選通過がまず目標です。ハロンは10秒後半から中盤が出せればと思います。ケイリンは積極的な走りで勝ち上がりたいです。自分は挑戦者なので全力を出し切りたいです。自信は無いわけではないけど自分の力がどこまで通用するか目一杯やりたいです。

◯谷口遼平(三重・朝明高校)
慣れない土地なんですけどなんとか大丈夫です。時差ぼけがやっととれてきたところですがキツイです。海外のレースは初めてなので緊張します。バンクは軽いですけど板張りなので滑りそうで怖いです。ケイリンは行けるものなら決勝に行きたいです。チームスプリントはジュニアの日本記録を塗り替えたいです。一人一人ががんばれば行けると思います。

◯中田将次監督(JCFジュニア強化育成部会員)
体調はぼちぼちでしょう。選手は最初硬かったけど走り慣れた333mバンクなので木製ということを感じさせないすごく良い走りをしていると思います。高校生はインターハイ直後ということで疲れも見えたのですが、本番が近づくにつれテンションも上がってきた感じです。それぞれ良い選手をお預かりして1年間指導させていただきましたのできちんとした形を出してお返ししたいなと思っています。団体追い抜き・チームスプリントは長く国内記録が更新されてない種目だしチームの団結力が重要な種目なので、今回はこの2種目に重点を置いて世界との差を縮めるようにしたいと思っています。目標はメダルと言いたいところですが世界との差は私のみならず皆さんもご存じだと思いますので、まずは国内記録の更新を最低限の目標にして結果を出したいと思います。

大会初日、日本人選手が出場する最初の種目は男子団体追い抜き(4km)予選。日本はチームとしての目標であるジュニア日本記録(4分22秒207=99年樹立)更新を第1目標に、久保田元気・黒瀬耕平・新山響平・高士拓也の4選手が戦いの舞台に立った。参加する19チームが1チームずつタイムトライアルを行うこの予選、2番スタートの日本は序盤から順調に想定通りのラップを刻み、タイム4分21秒073でゴール。見事12年ぶりとなるジュニア日本新記録を樹立した。この種目世界一の座に輝いたのはダントツの強さを発揮したオーストラリア。決勝でのタイムは4分02秒632で、こちらはジュニア世界新記録の樹立となった。日本は国内ジュニア記録は樹立したものの最終11位という結果だった。

続いて行われたのは15チームが参加した男子チームスプリント。日本は第1走に谷口遼平、第2走に田中誇士、そして第3走にインターハイチャンピオンの奥村諭志という布陣で最初の予選タイムトライアルに臨んだ。第1の目標は団体追い抜きと同じくジュニア日本記録(1分02秒929=07年樹立)の更新だ。全員が板張りトラックは初めてという中、日本の3人がスタート。第1走の谷口がコーナーで後輪を滑らせ、わずかにタイムロスを喫したもののその後は快調にスピードをつなぎゴール。タイムは1分02秒188で、団体追い抜きに続いてジュニア日本記録の更新に成功した。この種目優勝はドイツ。タイムは59秒982だった。

続いて日本から新山響平が出場した男子スクラッチ(10km)。新山はスタート直後から逃げグループに乗るなど積極的にレースを展開。なかなか周回獲得には至らないものの調子の良さを感じさせる走りを見せていた。しかしそろそろ勝負どころを迎えようかという残り12周で、前方のオーストラリア選手と接触して落車。腰を強打して動けず結局棄権となってしまった。幸いケガは大事には至らず、本人は明日の1kmT.T.出場に意欲を燃やしている。

大会初日、日本チームは団体追い抜きとチームスプリントでジュニア日本新記録を樹立。参加した7人全員がナショナルレコードホルダーとなった。明日の2日目は、男子オムニアムに高士拓也。1kmT.T.に奥村諭志・新山響平の2選手が参加する。

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