ガールズサマーキャンプ2010リポート Day4

Posted on: 2010.08.19

 
 午後はまず、計3回にわたって予定されている特別講義の第1回目を行った。 AIS(Australian Institute of Sport)という国立のスポーツ選手養成機関を持ち、スポーツサイエンスの最先端国としても知られるオーストラリア。この初回の講義では、同国がどのようにして才能ある選手を見い出し、成功に導いているのかなどを語った。オーストラリアでは選手たちに対し、常により上のステージを目指す明確なプロセスが示されるのだという。選手たちのキャリアはほぼ例外無く地域レベルのクラブからスタートし、段階的に一定の基準をクリアして行くことで、ナショナルチームへの道が開かれる。世界トップクラスのスプリンターであるシェーン・パーキンスのコーチとしても知られるイーディー氏だが、AISが行っているスポーツ才能発掘プログラムの開発にも関わっており、自転車競技未経験者の指導にも長けている。コーチングスタッフについても、ナショナルチームを担当できるようになる為には、選手と同じような過程が用意されていることも明かし、「現役時代以上に、コーチになってから多くを学んでいる」とも語った。

 夕方、イーディー氏は全てのグループのトレーニングを視察した後で、再びトップグループの練習場所へ向かった。日も暮れかかる頃、トレーニングを終えて、イーディー氏にアドバイスを求めたのが白井美早子だ。白井は陸上競技から、自転車競技に転向してまだ2年あまりの選手。国内大会での実績が認められ、今回トップグループでの参加となったが、最近新調した自転車の乗車ポジションが定まりきらず、違和感を感じているという。イーディー氏は周囲と本人の了解を得ると、ポジションの見立てを始めた。自ら鮮やかな手際で、サドルやハンドルの高さなどを調整して行く。白井に試走を繰り返し行わせ、本人の感想を聞きながら少しずつ進める。もちろん、交換用のパーツなどはないので、その場で出来ることは限られていたにもかかわらず、最終的には誰が見ても明らかなほど、乗車フォームがより自然な形となった。選手の要望に応じたこうした調整は常に自ら行っているのだという。ジュニアトラック世界選手権の前にも、チーム全ての選手に対してマンツーマンで調整を行ったということだ。一口にコーチといっても、本当のプロフェッショナルである為にはいかに多くの資質が要求されているかを身をもって示したイーディー氏。白井も「思い切って相談して本当に良かった。より自然な感触でペダルを回せるようになった」と笑顔をみせた。残り2日となったキャンプ終盤も、再び新たな気持で臨むことだろう。

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