６月１日から２日間、マウンテンバイク年間チャンピオンを決するシリーズ戦、ジャパンシリーズが、日本最大級のMTBフィールド、長野県富士見パノラマを舞台に行われた。１日に行なわれたダウンヒルでは、女子が末政実緒、男子が清水一輝が制し、男女共に日本チャンピオンが貫禄の勝利を手にした。また、翌日のクロスカントリーでは、中込由香里、斉藤亮がそれぞれエリートクラスを制した。

【ダウンヒル】
ダウンヒルのコースは、例年と大きな変化はなく、距離2000ｍ、標高差440ｍの高速コース。レース前までの雨予報から一転、決勝前日から快晴に見舞われ、コースはほぼドライの絶好のコンディションで決勝を迎えることとなった。

そうした中、30位以内が決勝に進むことのできるエリート男子予選で、優勝候補の一人、ランキング２位の九島勇気にパンクのトラブルが襲う。しかし、今シーズンから採用された新ルールにより、ランキング上位６名の選手が予選をプロテクトされることとなり、九島は決勝進出を果たす。

予選の結果、決勝では一番最初のスタートとなった九島。予選の鬱憤を晴らし、２分31秒476の好タイムを叩きだし、後続のライダーたちに大きなプレッシャーをかける。その後、ライダーたちのライムが伸び悩み、九島はホットシート（暫定トップの選手が座るシート）でライバルたちの結果を待ち続けることとなる。そして、ようやくその順位が動いたのは残り２選手を残してから。

予選２位は、開幕戦を制し、現在ランキングトップの井本はじめ。九島のタイムを４秒近く上回り、ついに暫定トップの座を奪う。しかし、その喜びもつかの間。最終走者、予選トップの日本チャンピオン清水一輝が、井本のタイムを２秒縮める驚異的な走りで、ジャパンシリーズダウンヒル第２戦を制した。

清水一輝コメント
「レース直前にゴーグルをふみつけてしまい、レンズ無しで走ることとなりました。シーズンオフのトレーニングの効果で後半までスピードを維持させることができました。このあとは、ワールドカップに出場するので、応援宜しくお願いします」

表彰台には世代交代を印象づける若きライダー達が顔を揃えた

また、エリート女子は、全日本選手権13連覇中の末政実緒が、２位と10秒以上の差をつけて圧勝。清水同様、ワールドカップに出場予定をしており、世界挑戦に弾みをつける形となった。

【クロスカントリー】
王者山本幸平を筆頭に、海外挑戦を続けるライダーが不在の中、国内シーンを盛り上げるトップ選手が集結したクロスカントリーエリート男子。コースは、後半に立体交差が新設され、その直後の長いジープロードの登り区間が勝負のポイントとされた。

ここまで、国内負けなしの、昨年のシリーズチャンピオン斉藤亮が大本命とされる中、調子をあげている小野寺健が奮起を誓って挑んだ。しかしスタート直後、１周目で小野寺がメカトラブルに襲われ、戦線離脱を余儀なくされてしまう。

一方、１周目でトップに出た斉藤亮は、序盤から独走状態。後続とのタイム差を徐々に広げるなか、力を抜くこと無く、ペダルを踏み続け、そのままトップを譲ること無く優勝。２位の門田基志に３分36秒の大差をつけて圧勝した。

斉藤亮コメント
「全日本選手権前の最後のレースとなるので、それを意識して追い込むことができた。王者山本幸平選手は強いですが、僕も戦うことを楽しみにしているので、ぜひ皆さんも楽しみにしていてください」

序盤から独走体制に入った斉藤亮（MIYATA-MERIDA biking team)

またエリート女子は、前回の八幡浜を制したダウンヒルレーサー末政実緒が今回もエントリーしたものの、ベテラン中込由香里のペースについていけず、２位。序盤から主導権を握った中込が独走勝利を飾った。

女子クロスカントリーはベテラン中込由香里（Team SY-nac)が制した

【MTBジャパンシリーズin富士見パノラマ結果】
ダウンヒル＃２　エリート男子
優勝　清水一輝 AKI FACTRY TEAM
２位　井本はじめ LOVE BIKES +2″326
３位　九島勇気 玄武/TURNER +6″074

ダウンヒル＃２　エリート女子
優勝　末政実緒 DIRTFREAK/SARACEN
２位　中川綾子 Team YRS +10″015
３位　中川弘佳 +12″911

クロスカントリー＃３　エリート男子
優勝　斉藤亮 MIYATA-MERIDA
２位　門田基志 TEAM GIANT +3’36″39
３位　中原義貴 Cannondale +4’38″43

クロスカントリー＃３　エリート女子
優勝　中込由香里　team SY-Nak
２位　末政実緒　　DIRTFREAK/SARACEN +３’03”44
３位　相野田静香 CLUB GROW DIRT +4’00″76

【ダウンヒル エリート男子＆女子　速報ムービー】