ガールズサマーキャンプ2010リポート Day5

Posted on: 2010.08.20

 
 ガールズケイリンは、女子トラック競技の普及と実戦を通しての選手強化を目指し、08年に始まった女子選手だけのケイリンシリーズ戦で、今年も1月から3月まで全6戦が各地の競輪場を舞台に戦われた。田中はこのガールズケイリン参戦をきっかけに、それまでとは大きく違う道を歩み始めた異色の選手だ。もともとは弥彦競輪で09年まで活動をおこなっていたPRガールのメンバーだった田中。エキシビションレースなどでバンクを走ることはあったが、ガールズケイリン参加についても、「とりあえず本戦前の合宿だけ」。そんな軽い気持だった。純粋な競技用自転車に乗るのも初めてという田中だが、案の定、国内トップクラスが集う他のメンバーとの差はあまりに大きかった。「落車もあったし、追い込みすぎて吐いたりもした」とその時の様子を話す。コーチから本戦参加を勧められた時も、「自分などがレースに出ていいのだろうか」と悩んだというが、思い切って本戦出場に踏み切った。それが自身思いもよらないほど、田中のその後に大きな影響を与えた。

 「レースに出たら楽しくて。自然とまたやりたいと思った」と、イメージガール的な要素が強かったそれまでの活動から一念発起し、本格的な自転車競技のトレーニングを始めた。以来、競技活動に打ち込む日々だ。着実に力もついてきている。まだトップレベルのタイムには達しないながらも、今キャンプでは500mと200mの自己ベストを更新した。所属するチーム「CLUB SPIRITS」に新たなチームメイトが加わったことも、モチベーションを高めるきっかけとなったはずだ。その二人、加瀬加奈子と中川諒子は、今キャンプにも参加している。同チームは、現在実施が検討されている「女子プロ競輪」を志す女子選手の育成も視野に入れて活動を展開しているという。加瀬と中川はプロ選手になることを目指し、選考会を経て5月にチームへ加入した。加瀬はトライアスロン、中川は競輪選手を兄に持つウェイトリフティングの競技経験者だ。運動選手としては全くの「後輩」となる田中は、アスリートとしての2人の姿勢に、日々大きな刺激を受けているようだ。田中自身は、「今は少しでもタイムを縮めることが目標」と語るが、今キャンプに臨む表情の真剣さを見ていると、プロへの道を開くことも決して不可能な夢ではないと思わせるものがあった。

 女子のトラック競技には、オリンピック種目の拡大や女子プロ競輪の実施が検討されるなど、いま追い風が吹いていることは間違いない。さまざまな目標を持って今キャンプに参加している選手たち。キャンプは20日、いよいよ最終日を迎える。

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