パリ・パラリンピック トラック競技初日 個人パシュートで杉浦佳子5位 木村和平・三浦生誠ペア10位

Posted on: 2024.08.30

8月28日に開幕したパリ・パラリンピックは現地29日から競技がスタート。自転車はトラック競技から熱戦が始まった。

パラリンピックの自転車競技・パラサイクリングはトラックとロードの2種目。8月29日から9月1日までの4日間でまずはトラック競技が行われる。会場はオリンピックと同じ、サン=カンタン=アン=イブリーヌのナショナル・ベロドローム。

パラリンピック仕様に衣替えしたナショナル・ベロドローム photo:Ayako Koitabashi

初日の29日は日本チームの先陣を切り、東京パラのロードで2つの金メダルを獲得している女子C3クラスの杉浦佳子(53歳・総合メディカル株式会社・TEAM EMMA Cycling)が3km個人パシュートに臨み、記録3分53秒549で予選5位。

予選の上位4人が勝ち進むメダルマッチには惜しくも届かず、そのまま最終順位を5位入賞として初戦を終えた。

杉浦佳子
杉浦佳子 photo:Ayako Koitabashi

■女子C1-3クラス 3km個人パシュート結果詳細
予選:https://olympics.com/OG2024/pdf/PG2024/CTR/PG2024_CTR_C73A1_CTRWPURSUIT-03030—–QUAL——–.pdf
決勝:https://olympics.com/OG2024/pdf/PG2024/CTR/PG2024_CTR_C73A2_CTRWPURSUIT-03030—–FNL———.pdf

<杉浦コメント>
正直に言えば本当に残念です。この日のために、自分だけではなく、本当に色々な方々のサポートがあってのことだったので。2週間前には伊豆ベロドロームで(練習タイムとしては)自己ベストを出していましたが、直前でコンディションを少し崩してしまい、練習も抑えて回復に努めました。パリに入って(公式練習で)ここを走った時もタイムが出ず、正直「やばいな」と思っていましたが、その中では今日のタイムは悪くなかったと思います。コーチも今の自分の状態は分かってくれているので、しっかり反省会をして気持ちを切り替えて、次に臨みたいと思います。

今回、杉浦は東京で遂げられなかったトラック競技でのメダル獲得に強い意欲を見せていただけに、予選直後は落胆の様子を隠せなかったが、競技後のコメント取材の中では徐々に表情に明るさを取り戻した。

タイムを見ても、予選の3分53秒549は、昨年出した公式の自己ベスト3分51秒563までおよそ2秒に迫る決して悪くない記録。

3年前の東京パラの4分2秒834と比べれば、9秒以上も自身の記録を縮めており確実に上積みは出来ている。最後は「厳しい戦いになると思うが、もう楽しもうと思っています」と締めくくった。

気持ちを切り替え、現地31日に行われる500mタイムトライアルに挑む。

木村和平・パイロット三浦生誠 photo:Ayako Koitabashi

トラック初日、日本チームからもう一組の出場は男子視覚障害クラス・タンデム。木村和平(27歳・楽天ソシオビジネス株式会社)とパイロット三浦生誠(23歳・日本競輪選手養成所)はともに初めてのパラリンピック。

観客席には木村の家族も応援に駆けつけていた。そんな中、4km個人パシュートに出場し、記録4分28秒676で10位。

1kmタイムトライアルをターゲットにトレーニングを積んできた短距離ペアながら中距離種目である4kmでも健闘を見せた。期待と緊張、初めてのパラリンピックという固くなりがちな初戦の中にあって、木村・三浦ペアとしては4km個人パシュートのベストを更新。照準の1kmタイムトライアルへ弾みを付けた。

■男子視覚障害クラス 4km個人パシュート結果
予選:https://olympics.com/OG2024/pdf/PG2024/CTR/PG2024_CTR_C73A1_CTRMPURSUIT-03031—–QUAL——–.pdf
決勝:https://olympics.com/OG2024/pdf/PG2024/CTR/PG2024_CTR_C73A2_CTRMPURSUIT-03031—–FNL-

<木村コメント>
「僕らは短距離種目をメインにしているペアなので、今日のレースは調整の意味合いも大きく、初めて参加するパラリンピックの雰囲気を感じたくて出場していました。

まずはこの雰囲気を感じられて、1kmタイムトライアルに向けての準備、イメージトレーニングというのは出来たかなと思っています。4kmのトレーニングはしてこなかったのですが、観客の皆さんに後押しされて今まで(三浦選手とは)出したことのないタイムが出せました。これがこの大会の持っている力なのかなと思います。

スタートの時はこの舞台でやっと走れるんだな、という気持ちになりました。(レース直後に三浦選手と)思った以上にいい走りが出来たねって、三浦選手本人もちょっとびっくりしてましたけど、まずは二人で今日はいい走りが出来たってことだけ話したので、これからまた話します。

(1kmに向けては)お互いメインとして約3年間やってきた種目なので、これから少し緊張も出てくると思いますが、有難いことに、チームには気持ちをほぐしてくれるスタッフも多くて、選手同士も仲良くやっているので、お互い緊張をほぐしながら、ただ、スタートラインに立つときは適度な緊張感でレースに臨めたらいいのかなって思います。今までやってきた事を信じて力を出したいです。」

木村は、2017年から本格的にナショナルチームで活動を始め、2018年に当時、日本大学の学生で現在は競輪選手の照井拓成( 岩手・115期・S級2班)とのペアでUCIパラサイクリング・トラック世界選手権に初出場。

その後2019年からは、トラック競技の中距離トップ選手として活躍した倉林巧和とペアを組み東京パラリンピック出場を目指したが惜しくも落選。

パイロットは東京パラまでと決めていた倉林に代わって、2022年から本格的に三浦がパイロットを務めるようになった。木村にとって、パリ・パラリンピックは、7年越しでようやく掴んだ念願の舞台だ。

木村は、競技経験の豊富な倉林から実に多くを学んだと常々口にしており、現在も親交が深いと言う。

また、三浦は、初代パイロット照井の同県・同大学出身の後輩。三浦が木村とペアを組んだ経緯も照井の活躍に影響を受けている。諦めなかった木村と、歴代のパイロットたちが繋いで果たしたパラリンピック初出場。本命種目の1kmタイムトライアルはトラック競技最終日の9月1日に行われる。

トラック競技2日目の8月30日は、男子C2クラスの川本翔大(28歳・大和産業株式会社)が3km個人パシュートに登場。東京パラリンピック同種目4位の川本がメダル獲得に挑む。

なお、男子C3クラス3km個人パシュートに出場予定だった藤田征樹(39歳・藤建設株式会社)は右膝に炎症が生じたため、大事をとりトラックは欠場、ロードには出場予定と日本パラサイクリング連盟から29日付で発表されている。

会場は初日から大観衆の声援に包まれた photo:Ayako Koitabashi

▶パリ2024パラリンピック競技大会・日本代表選手&出場種目

(日本パラサイクリング連盟オフィシャルWEB)

*藤田征樹選手の出場種目は上述の通り変更あり

◾️競技スケジュール(現地時間)
トラック
https://olympics.com/OG2024/pdf/PG2024/CTR/PG2024_CTR_C08_CTR——————————-.pdf
ロード
https://olympics.com/OG2024/pdf/PG2024/CRD/PG2024_CRD_C08_CRD——————————-.pdf

photo&text 小板橋彩子

NEW ENTRY