リオ五輪BMX日本代表 長迫吉拓がトラックW杯で2刀流デビュー

Posted on: 2017.02.25

現地24日、アメリカ西部ロサンゼルスで自転車トラック競技のワールドカップ第4戦が開幕。昨年就任したフランス人短距離ヘッドコーチ、ブノア・ヴェトゥ氏が新戦力として日本代表に招集したリオ五輪BMX日本代表の長迫吉拓がトラック競技の日本代表としてデビュー戦を迎える。長迫はチームスプリントの第1走として出場する。

シーズン全4戦で行われるトラック競技のワールドカップは、第4戦のロサンゼルス大会で最終戦を迎える。日本代表は、前週にコロンビア・カリで行われた第3戦からメンバーが加わり、リオ五輪日本代表の渡邉一成、脇本雄太といった世界大会で実績を残してきたメンバーが参戦。さらには、トレードチーム「Dreem Seeker(ドリームシーカー)」として新田祐大、和田真久留も出場し、トラック競技の国内トップメンバーが顔を揃えることとなった。

※第3戦でケイリン4位に入った河端朋之はゴール後に落車負傷。大事をとって出場をキャンセルし、渡邉一成が出場することとなった。

そして今大会、新たにトラック日本代表にリオ五輪BMX日本代表、長迫吉拓が加わった。長迫が出場する種目はチームスプリント。その第1走としてフランス人コーチ・ブノア氏からも大きな期待が寄せられている。


リラックスしてクールダウンする日本代表メンバー(右:渡邉/中央:長迫/左:脇本)

日本代表はこれまで、2004年のアテネ五輪で銀メダルを獲得するなど、チームスプリントを得意種目としていたが、その後低迷し、昨年のリオ五輪では中国や韓国といったアジアのライバル国にも遅れをとり出場枠すら獲得できずにいた。

そうした中、チームスプリントでの復活を目指し日本代表に抜擢されたのがBMXレーサー長迫吉拓。BMXレース同様、ゼロスピードからトップスピードにもっていく第1走の専門選手として日本代表入りを果たした。

チームスプリントは1チーム3人で同時スタートし、1周毎に1人ずつぬけていき、最終的に3周のタイムを競う競技。

メンバーは、第1走から第3走までそれぞれ脚質にあわせて組んでいくが、競輪選手が主体となっていたこれまでのメンバー構成では、第1走が大きな課題となっていた。

2004年のアテネ五輪では、当時世界最速のダッシュ力を誇る長塚智広が、チームに勢いをつけて銀メダル獲得に導いたように、チームスプリントでは第1走の走りが重要な役割を担っている。

そして、その担い手は誰なのか。今回、その候補の1人としてBMXで世界7位に入った異色のレーサー、長迫吉拓が名乗りをあげることになった。

しかし、長迫がトラック競技に転向したということではない。リオ五輪での雪辱を果たすべく東京五輪でのメダル獲得を目指した時、さらにレベルアップをはかる手段としてトラック競技で日本代表になることを目標とした。それは、同じくスタートダッシュが大きな鍵を握るBMXレースで、トラック競技で培ったパワーやテクニックを活かそうという考えだ。

そして日本代表入りが認められた長迫は、自分自身の大きな可能性を信じ、W杯でトラック日本代表デビューを迎える

「トラック競技に集中して取り組んでから、まだ3ヶ月しか経ってませんが、コーチの教えのもと、大きな手応えを感じています。LAにきてからも自己記録を更新していますし、状態はいいです。ただ、スタートに自信はありますが、後半のシッティングしてからのタイムに課題もあります。ただ、それも考慮してまだまだ伸びしろはあると思ってます。まずはここで自己記録を伸ばして、4月に行われる世界選手権の代表に呼んでもらえることが目標です。」

今、トラックバイク漬けの日々を送る長迫は、世界選手権以降、今度はBMXに乗り換え、新たなシーズンに入っていく予定だ。国内では前代未聞、2つの全く違う自転車で世界トップを目指す長迫。2刀流で我道を行く彼の夢は、さらに広がっている。

「東京五輪では、BMXだけでなく、トラック競技でもメダルを目指しています。2種目でメダル獲得してBMXが最強だということを伝えたい」

大会は現地25日の夜にチームスプリント予選が行われる。

■大会HP
http://trackworldcupla.com/

■リザルトページ
http://www.tissottiming.com/Sport?sport=CT

【日本代表コーチ】
ブノア・ヴェトゥ(短距離ヘッドコーチ)
ジェイソン・ニブレット(短距離コーチ)
飯島 誠(中距離ヘッドコーチ)

【日本代表選手】
渡邉 一成(競輪選手・福島)      
脇本 雄太(競輪選手・福井)
長迫 吉拓(JBMXF・岡山)
倉林 巧和(日本体育大学大学院・群馬)
今村 駿介(中央大学・福岡)

前田 佳代乃(京都)          
中村 妃智(日本体育大学/日本写真判定・千葉)
鈴木 奈央(競輪選手・静岡)
中村 愛花(科学技術高校・福井)

【ドリームシーカー】
新田祐大(競輪選手・福島)
和田真久留(競輪選手・神奈川)
シェーン・パーキンス(オーストラリア)

Text:Akihiro Tsugimatsu

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