2011アジア選手権トラック初日 男子チームスプリント銀メダル

Posted on: 2011.02.10

そんな状況下に行われた9日のエリート男子チームスプリント。日本は第1走に雨谷一樹(21)、第2走に先のW杯北京大会のケイリンで銅メダルを獲得した浅井康太(26)、そして第3走に北津留翼(25)の布陣でレースに臨んだ。参加チーム数は中国、マレーシアを含む6チーム。日本の力すればメダル獲得は確実視されるが何よりもオリンピックの出場枠を競う2チームよりは上にいきたいところだ。

午前10時20分に開始された予選タイムトライアル。気温はすでに30度を超え強い日差しが容赦なく肌に突き刺す。日本は2組目のホームスタート。雨谷がいつも通り目一杯のパワーで踏み出すも、炎天下のせいかどこか動きが重そうに見える。後続の二人も同様にスピードになかなか乗れない。特に第3走の北津留は2走の浅井との距離をなかなか詰められない。結局日本は1分2秒140のタイムでライバル中国に次ぐ予選2位。この後行われる1-2位決定戦に進むこととなった。ベストメンバーをそろえた中国のタイムは1分1秒814。日本とのタイム差は0コンマ326。ハイレベルな戦いの中で逆転するにはかなり大きなタイム差だ。ちなみにもう一つのライバルチーム・マレーシアは、1分2秒359で予選3位の成績だった。

午後6時半開始の決定戦。金メダルをかけて中国と戦う日本はバックスタート。すでに日は沈み夜間照明に照らし出された3選手が赤く塗られたコンクリートトラックに浮かび上がる。日中のうだるような暑さはやわらぎ今は心地良ささえ感じる。

そしてレースはスタートした。灼熱の太陽から解放された3人の走りはやはり予選よりも軽やかに感じる。1周目雨谷のタイムは23秒316。中国にはわずかに後れたものの予選を上回るタイムで第2走浅井へバトンを渡した。予選の反省から普段のギヤから1枚落とし、スピードよりも軽い踏み出しを選択したことが功を奏した。しかしそれが2周目の浅井にはマイナスに働いた。2周目浅井のタイムは41秒964。雨谷のスタートダッシュにわずか踏み後れ、中国とのタイム差がやや開いてしまった。ここは中国のエーススプリンター・張ライが相手だけに厳しいところだ。そしてレースは最終周回へ。先頭交代と同時に北津留がパワー全開で踏みなおした。スピードは明らかに中国より上だ。しかしほぼ同時の通過に見えたゴール勝負はわずか0コンマ15の差で、中国。日本はあと一歩のところで金メダルを逃した。予選タイムを上回り、格上の中国をここまで追い詰める走りができたことは評価に値するが、やはりレース後の選手たちの表情をみると、最大のライバルに敗れ金メダルを逃してしまった悔しさが、銀メダルの喜びよりも強く浮かんでいた。

雨谷一樹「中国とのタイム差が少しだったので悔しいですけど2位になれて良かったです。自分の走りはギヤを一枚落とした分良かったと思います。これを次のステップにしたいです」

浅井康太「やっぱり優勝したかったですけど、でも予選よりタイムが上がったので良しとします。スタートでちょっと後れたのですがバック過ぎぐらいで追いついてうまい具合に先頭交代できたので行けるかなと思ったのですが・・・。やはり負けたのがすべてですね。中国といういいライバルがいるのでそれに勝つようにこれからしっかりとトレーニングを積んでいきたいと思います」

北津留翼「悔しいですね。もうちょっと踏み上げる脚があったら何とかなったのかなぁと思います。1本目の反省から3人で話し合って走りを修正したのが良かったと思います。でも相手も同じように修正してきてタイムを上げてきたので、やっぱり全員がもう少しずつ力をつけないといけないのかなぁと思います」

(続く)

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