BMXレーシング世界選 U23で中井飛馬が銅メダル獲得し日本人初の表彰台

Posted on: 2022.08.03

フランス・ナントで行われたBMXレーシングの世界選手権は7月31日、最終日を迎えて各カテゴリーで今年の世界チャンピオンが決まる中、男子U23カテゴリーに出場した中井飛馬(日本体育大学)が3位に入り銅メダルを獲得。世界選手権では日本人初の表彰台にあがった。

また女子U23では丹野夏波(早稲田大学)と籔田寿衣(大阪体育大学)の2人が決勝進出を果たし、丹野が4位、薮田7位でレースを終えた。


photo:JCF

今回、日本代表チームは、チャンピオンシップレベル(ジュニア、U23、エリート)に、ジュニア男女各1名、U23男子3名、女子2名、計7名の選手が出場した。

下記、JCFからリリースされた各カテゴリーのレースレポート

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■Under23男子 中井が怒涛の追い上げで日本人初の世界線銅メダル
前述通り今大会から新設されたUnder23カテゴリーには55名(計24カ国)が参戦し、初代チャンピオンを狙っての混戦が繰り広げられた。

日本からは昨年のワールドカップシリーズチャンピオンである中井飛馬(日本体育大学)をはじめ、増田優一(大阪体育大学)、島田遼(GAN TRIGGER)の3名が代表とし参戦。

初日の予選・1/8決勝では、中井は1/8決勝を1位で通過し翌日の準々決勝へ進出した。

島田は1/8決勝にて通過圏内の3位を走行中に前走者との接触にて失速。増田は敗者復活戦にあたるLast Chance Qualifyにてわずかに届かず、それぞれ翌日の準々決勝へは勝ち進むことができなかった。

迎えた最終日。中井は好調を維持し、準々決勝、準決勝を勝ち上がり、決勝へ駒を進めた。

決勝ではインサイドの3レーンを選択した中井。得意のスタートでタイミングをミスし、後方から追い上げる展開となったが、先頭グループで荒れたレース内容が続き、度重なる接触などをうまく交わして順位をあげていく。

そして最終コーナー手前で3位まで浮上した中井は、そのままフィニッシュラインを通過し銅メダルを獲得した。

今大会会場はコンパクトで短いコースレイアウトのためスピードコースであり、一つのミスが大きく響く結果となった。

しかしながら、日本チームとしてはチャンピオンシップレベルでの初メダル・表彰台獲得となり、中井自身も自身のジュニア4位を上回る成績を収めた。


強烈な追い上げを見せる中井 photo:JCF

▷中井飛馬 コメント
最低ラインのメダルを獲得しましたが、優勝だけを狙ってトレーニングを積んできて、決勝でも勝てる条件が揃っていただけに、レース直後から悔しい気持ちでいっぱいです。

決勝のスタートではタイミングを早まり、ゲートに前輪をヒットさせてしまいました。

他の選手の展開からも、通常のスタートを決めることができていればと・・・悔やみきれませんが、来年からのエリートカテゴリーに向けて、今大会での経験を大切なステップとしたいです。

日本初のレインボージャージを持ち帰ることはできませんでしたが、日々の多くの方々のサポート、そして会場での日本チームの応援により、全力で今大会に挑めたことに感謝しています。たくさんの応援、ありがとうございました。

Men Under 23 Final | Nantes 2022 UCI BMX Racing World Championships

📺 Watch the Men Under 23 Final from Nantes 🇫🇷

📍 2022 UCI BMX Racing World Championships

#Nantes2022

UCI BMX Racingさんの投稿 2022年8月3日水曜日

<男子Under23 リザルト>
優勝:GAROYAN Leo (フランス)
2位:RAMIREZ VALENCIA Juan Camilo (コロンビア) 3 位:中井飛馬 (日本体育大学)
37位:島田遼(GAN TRIGGER)
50位:増田優一(大阪体育大学)


photo:JCF

■Under23女子 丹野・薮田2人が決勝進出
参加者は13カ国から計18名と少なめであったが、参加者の半数以上が今シーズンのワールドカップシリーズにて決勝へ進出しており、各国の強豪選手が集結した女子のU23カテゴリー。

日本の丹野夏波(早稲田大学)と籔田寿衣(大阪体育大学)は、各組において予選を2位で勝ち上がり、準決勝も接触などで危ない場面もあったが、それぞれ4位にて決勝へ進出した。

両選手ともチャレンジレベルでの決勝進出が最後であり、丹野は2016年ぶり、籔田は2015年ぶりに決勝へ勝ち進み、再び世界選手権大会決勝の舞台へ戻ってきた。

決勝、丹野は5レーン、籔田は6レーンからスタート。丹野が好スタートを決めるも、最初のジャンプにて少し失敗し、4位で第1コーナーを通過。

前を行く選手を追走するも、終始差を縮めることはできず4位でフィニッシュ。籔田は第1バームにて接触し、大幅に失速したため最終7位となった。

表彰台まであと1歩であったが、複数名の日本人選手決勝進出は、チームとしても大きな成果となった。

Women Under 23 Final | Nantes 2022 UCI BMX Racing World Championships

📺 Watch the Women Under 23 Final from Nantes 🇫🇷

📍 2022 UCI BMX Racing World Championships

#Nantes2022

UCI BMX Racingさんの投稿 2022年8月3日水曜日


photo:JCF

▷丹野夏波 コメント>
目標としていたトップ3にあとひとつだったので、悔しい気持ちもありますが、決勝でも今持っているベストのパフォーマンスを発揮することができたので、今大会の結果には満足しています。

東京オリンピックの代表選考を逃してから、気持ちの切り替えに時間がかかってしまいましたが、こうしてまた大きな舞台でBMXレーシングをすることで、次なる目標へのモチベーションを見つけることができました。

今シーズンもまだ続くので、短い休憩を挟んで、残りのワールドカップシリーズに向けてトレーニングに励みたいと思っています。応援ありがとうございました。

▷籔田寿衣 コメント
今大会に向けてヨーロッパで2ヶ月半の事前調整をしてきましたが、大会約3週間前に病院へ救急搬送される大きなクラッシュをしてしまい、直前までスタートに立つことが目標となっていました。

レースができるか不安な日々が続いていましたが、怪我の回復は早く、チームのサポートもあり、レース当日には全力で走れるまでになりました。

今は当初の目標でもあった決勝へ進出することができ、安堵の気持ちでいっぱいです。決勝では思った展開にはならず7位で終わりましたが、残り 2年あるU23カテゴリーで表彰台、そして優勝と着実にステップアップできることが今後の目標です。今大会でもたくさんのサポートを頂き、ありがとうございました。

<女子Under23 リザルト>
優勝:SØRENSEN Malene(デンマーク)
2位:AEBERHARD Nadine(スイス)
3位:SIMPSON Molly(カナダ)
4位:丹野夏波(早稲田大学)
7位:籔田寿衣(大阪体育大学)


女子日本代表 左から丹野、薮田、西村(ジュニア) photo:JCF

■ジュニア男子 木内がライン取りミスで1/8決勝敗退
エリート男子に続く参加人数56名(計27カ国)が集まったジュニア男子カテゴリー(17−18歳対象)。

日本からはジュニア1年目となる木内彪凱(飛龍高等学校)を派遣し、シーズン前半に行ったヨーロッパシリーズでの単独武者修行の成果の発揮に期待がかかった。

予選では好スタートを決めるも、隣の選手と接触しクラッシュ。一時は重症と思われたが、幸いにも軽症であったため、敗者復活戦Last Chance Qualifyに出場し、通過圏内の2位で1/8決勝へ進出。

1/8決勝でも好スタートを決めて3位でレースを展開するも、最終コーナーでライン取りミスをして順位を落とし、5位で準々決勝進出を逃した。

▷木内彪凱 コメント
15-16歳のワールドチャレンジがコロナウイルスの影響により2年間中止が続き、3年越しでの世界選手権挑戦でした。

事前練習から調子は整っていただけに、1/8決勝でミスをして、チャンスを掴みきれなかった自分にガッカリしていますが、現状の自分の位置も確認できたことは、次のトレーニング活かせる収穫でした。

また、初めてのナショナルチームとの大会参戦で、慣れない部分もありましたが、それ以上に学ぶことも多く、ここからエリートへ向けての新たなスタートと再認識することもできました。

来年もヨーロッパにベースを置いて、最後のジュニアで勝負できる位置に持っていきたいです。

<ジュニア男子リザルト>
優勝:BIJSTERBOSCH Julian(オランダ)
2位:BRINK Jaymio(オランダ)
3位:MAGDELIJNS Wannes(ベルギー)
29位:木内彪凱(飛龍高等学校)


三瓶ヘッドコーチからアドバイスをうける木内 photo:JCF

■ジュニア女子 西村が準々決勝に進出し最終順位17位
17カ国から総勢27名が集まったジュニア女子カテゴリーには、日本からは西村寧々花(GAN TRIGGER)が出場した。

予選は通過圏内の4位でコース前半を終えるも、第2コーナーにて接触してクラッシュしたため、敗者復活戦に回った。

上位2名が通過となる敗者復活戦では、3位で追いかけると展開となったが、最終コーナーにて一つ順位を上げ、0.087秒と僅差であったが逃げ切り、翌日の準々決勝へ進んだ。

5名で争われた準々決勝では、最初のジャンプでのミスが響き、上位4名には届かず、総合17位にてジュニア最終年を終えた。

▷西村寧々花 コメント
昨年の世界選手権では予選を通過できなかったため、いくつかの課題に取り組んできましたが、ジャンプという最大の課題で差を埋めきれず、今回も納得できる結果は得られませんでした。

帰国後は、アジア選手権などが続きますが、まずはジャンプフォーム修正を1番の目標において、その後に次のU23カテゴリーでの4年間に向けて、大会での結果を考えてきたいと思っています。 日本からのたくさんの応援、ありがとうございました。

<ジュニア女子リザルト>
優勝:BRINDJONC Lea(フランス)
2位:STURISKA Veronika Monika(ラトビア)
3位:MAY Bella(オーストラリア)
17位:西村寧々花(GAN Trigger)

■ワールドチャレンジ カテゴリー
世界各国から総勢2830名が集まったUCIBMXレーシングワールドチャレンジは、新型コロナウイルスの影響から中止が続いており、2019年(ベルギー大会)ぶりの開催となった。

ワールドチャレンジは、タイヤサイズが20インチと24インチの2種類のクラス設定があり、下は8歳から上は50歳以上まで全43カテゴリーが設けられる。

世界中から集まる老若男女が、チャンピオンシップレベルと同様のコースにて世界1を争う、自転車競技でも選手年齢層の幅が一番広い国際大会となっている。

日本からは総勢18名の選手が参戦し、初日開催されたクルーザークラスでは女子12歳アンダーで、澤田茉奈(さわだ まな 12)が後続に10車身以上の差をつけ日本人女子初となるクルーザークラスでの優勝を獲得。

男子は同じく12歳アンダーにて石川智士(いしかわ さとし 12)が7位入賞、15−16歳では浦井健芯(うらい けんしん 16)が5位に入り、合計3 名のファイナリストが生まれた。

2日目以降の20インチクラスでは、女子12歳にて澤田茉奈が2018年以来の2度目の優勝、クルーザークラスとのダブルチャンピオンを獲得した。


澤田茉奈のフィニッシュシーン photo:JCF


澤田茉奈 photo:JCF

男子は11歳の高崎成琉(たかさき なる 11)が決勝へ進出し、優勝まであと数センチ届かなかったものの、2018年に獲得した自身の7位を大きく上回る世界2位を獲得した。


W2ゼッケンを獲得した高崎成琉 photo:JCF


表彰 photo:JCF

男子の表彰台獲得は、2012年の増田優一以来10年ぶりであった。今大会でのワールドチャレンジ日本チームの活躍は、チャンピオンシップレベルの複数名決勝進出に繋がる大きな勢いをつけ、次世代の可能性も表す好成績で大会を終えた。

Text : 三瓶 将廣(BMX レーシング ヘッドコーチ)
Photo:JCF日本自転車競技連盟

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