パリ・パラリンピック トラック競技最終日 男子タンデム木村和平・三浦生誠が1000mTTベスト更新で6位入賞
9月1日、トラック競技は4日目の最終日を迎えた。日本は男子視覚障害クラス・タンデムの木村和平(27歳・楽天ソシオビジネス株式会社)とパイロット三浦生誠(24歳・日本競輪選手養成所)の1000mタイムトライアルに出場。ペアを組んで3年、二人がパリを目指して照準を合わせてきた本命種目だ。
男子タンデム1000mTTはパラサイクリングの中でも最も競争が激しい種目の一つ。世界記録は東京パラでイギリスが出した58秒083で、
直近の表彰台圏内のタイムは1分フラット前後の争いとなっている。
日本記録でもある二人のベストタイムは2022年にここ、サン=カンタン=アン=イブリーヌで行われたパラ世界選手権で出した1分2秒193。決勝進出にはベスト更新が絶対にして最低限の必要条件と言えた。
今回は9か国から11組がエントリー。アジアから唯一の出場になった木村と三浦は、まず上位6組が勝ち進む決勝を目指して予選に臨んだ。
第3ヒートで登場した日本は、1周目を20秒3で入ると、2周目、3周目と13秒台半ばの好ラップを刻み最終周回へ。
「最後はしんどくてタレてしまった」と木村は振り返ったが、その最終ラップも14秒4と決して上位に大きく引けを取るものではなく、
二人は1000mを1分2秒002で走り切り、見事大舞台でベスト更新を果たした。
この時点で、日本は走り終えた5組中暫定トップにつけ、最終的には予選6位で決勝進出を決めた。
<木村コメント>
「3周目まで非常に良い感じで走れていたので、タイムは出てくれるんじゃないかと思いながら走っていました。最後はしんどくて垂れてしまいましたが、久しぶりにベストを更新できてホッとしましたし、何より予選を突破して決勝にあがれたって言うのが良かったです。
ここ2年くらい僕たちは(大きな大会で)予選落ちが続いて結果が出ず、苦しい時期だったので、ここに向けてやって来たことがまず一つ結果になって良かったです。」
<三浦コメント>
「ベストな形で走れるか不安も多かったんですけど、チームのサポートもあって万全の状態で出場することができて良かったです。目標は1分1秒台を出したかったですが日本記録更新ということで自信が付く走りだったと思います。」
木村と三浦はペアを組んでから3回、世界選手権に出場している。1000mTTの成績は2022年大会こそ5位だったものの2023年は11位、3月にブラジルで行われた今年の世界選手権では9位と予選敗退。自己ベストの更新も滞っていた。
二人、互いに渾身の力を振るい息を合わせて走るタンデム。結果が出ない、自信を失いそうな苦しい時期も、二人で脚を止めることなく走り続けたことが、パラリンピック本番でのベスト更新と決勝進出に繋がった。
予選からおそよ2時間半後に迎えた決勝、木村と三浦は1番目に出走しタイム1分2秒567。最終順位6位入賞でこの種目を終えた。
<木村コメント>
「1分1秒台を出したかったので悔しいですけど、体がキツかったです、はい。(東京パラからの)3年間大変でしたけど、この舞台に立てて、やって来て本当に良かったなと思います。
(三浦選手について)ペアを組んだ頃は大学生で忙しかったろうし、競輪の養成所に受かってからも、本当に個人でも大変な時期だったと思うんですけど、一緒に走ってくれて良かったなと思うし、ここで一緒に自己ベストを更新できて本当に良かったです。
今回の経験をしっかり次に活かして、4年後のロサンゼルスではメダル争いにしっかり絡めるように頑張っていきたいと思っています。」
<三浦コメント>
「もう絶対1秒出すって決めて出走したのでとても悔しい結果にはなってしまいました。2周目から一本目の疲れが出てしまって、思ったよりタイムが上がらなかったです。
初めて国際大会に出場したのが、和平さんとこの地だったんですけど、その時、日本チームの中で和平さんにだけメダルを掛けられなかったのが本当に悔しくて、そこからも何度も悔しい思いをして、次こそは、っていう思いで続けてきて、そこには今回も届かなかったですけどパリの舞台に和平さんと立てたってことは良かったと思います。
(4年後のロス大会については)僕だけで決められる事ではないので、なんとも言えないですが、僕としては是非リベンジしたいと思っています。」
この男子視覚障害クラス・タンデムの1000mタイムトライアルを制したのは、イギリスのボールとロイドのペア。東京パラの銀メダリストがパリでは表彰台の中央に上がり、メダルを獲得したペアはいずれも1分を切る激戦だった。
◾️男子視覚障害・タンデム 1000mTT 決勝結果
金メダル | ジェームス・ボール pilot ステファン・ロイド(イギリス) | 58秒964 |
銀メダル | ニール・ファチー pilotマシュー・ロザラム(イギリス) | 59秒312 |
銅メダル | トーマス・ウルブリヒ pilot ロバート・フォレストマン(ドイツ) | 59秒862 |
6位 | 木村和平 pilot 三浦生誠(日本) | 1分2秒567 |
◾️男子視覚障害・タンデム 1000mTT結果詳細
予選 https://olympics.com/OG2024/pdf/PG2024/CTR/PG2024_CTR_C73C1_CTRMKILO—-03031—–QUAL——–.pdf
決勝 https://olympics.com/OG2024/pdf/PG2024/CTR/PG2024_CTR_C73C2_CTRMKILO—-03031—–FNL———.pdf
現在、木村は27歳、三浦はトラック競技初日の8月29日に誕生日を迎え、パリで24歳になった。リベンジのチャンスも、伸び代もまだまだ十分にあるだろう。もしまた二人での挑戦が叶うのならば、4年後には1分を切って走る姿に期待したい。
パリ・パラリンピックのトラック競技は全日程を終了。この後は舞台をパリ郊外のクリシー=ス=ボワに移し、9月4日の個人タイムトライアルからロード競技が始まる。
◾️競技スケジュール(現地時間)
ロード
https://olympics.com/OG2024/pdf/PG2024/CRD/PG2024_CRD_C08_CRD——————————-.pdf
◾️付録:パリ・パラリンピック トラック競技ミニフォトギャラリー
photo&text 小板橋彩子