世界一への登竜門「UCIトライアルワールドユース」で土屋凌我が世界3位!

Posted on: 2013.08.12

8月3日から二日間、スイスで行なわれた自転車トライアルの世界大会「2013UCIワールド・ユース・ゲーム」で、未来の日本を背負ってたつ若きライダーたちが、世界に挑戦し、ミニメカテゴリー(13歳〜14歳クラス)で土屋凌我が3位に入るなど、今後の活躍に大きな可能性を残し大会を終えた。

昨年、エリートクラスの世界選手権では、日本のエース寺井一希が6位に入賞し、世界と対等に戦えることを証明した。そうした中、寺井に続く若い世代のライダーたちの成長が期待される中、大きな収穫を得た大会となった。


2年連続でミニメクラスで3位に入った土屋

以下は、日本自転車トライアル協会、岩佐賢一氏の現地レポート

2013年8月3-4日、スイス・ムードンで開催された『2013 UCI TRIALS World Youth Game』にて、土屋凌我(つちやりょうが・長野県)がミニメカテゴリー(13〜14歳)で3位入賞の好成績を残した。

16歳以下の世界最高大会はエリート・ジュニアの世界選手権とは別日程で、「ワールド・ユース・ゲーム」という名称で開催される。名前は違えど、その本質が世界一の決定戦である事に違いは無く、各国からトップライダーが集結する。

トライアルでは、19歳以下のカテゴリーは年齢別に細かく分類される。土屋が出場するのは13~14歳のミニメカテゴリー。体格差によるハンデを解消するための年齢別カテゴリーではあるが、ヨーロッパの選手の中には14歳ともなると身長175cmを超える選手も少なくない。また、先天的に優れた筋力を有するヨーロッパ民族に対し、アジア系の民族が劣っている事は否めない。それでも、技術と経験値でその差を埋め、ミニメカテゴリー1年目の昨年2012年に土屋は3位の成績を残した。

1年のトレーニングを経て挑んだ今年。予選の為に用意された6つのセクションはいずれも高低差を抑えた設定の為、各選手が少ない点数で競技を終了する事は明白であった。ひとつのミスで大きく順位が入れ替わる神経戦、加えて30度を超える気温とスイス独特の突き刺さる様な日差しで体力も集中力もどんどん奪われていく。

6セクションx2ラップ + 3セクションx1ラップ、合計15セクション。どのセクションも長い順番待ちが発生し、当初の予定であった3時間30分を大きく上回る4時間30分の長時間の競技となった。

予選では始終硬い表情の土屋。他の選手達がパタパタと足を着き、点数を重ねていくセクションを髙い技術で切り抜けるものの、多くの選手が0点でクリアするセクションで足を着き5点。苦手意識からか、2ラップ目も同じセクションで足を着き5点となり、合計10点。予選5位通過となった。

予選では固い表情を浮かばせる土屋

多くの場合、1ラップ目より2ラップ目の成績が良くなるのがトライアルの常である。1度走ったセクションは勝手が判る為、2ラップ目ではより安心して攻める事が出来る為である。

しかし、この予選では予選通過者の半数が、2ラップ目に成績が悪くなっている。前述した通りの過酷な状況で合った為、集中力を持続させる事が困難であった事が如実に表れていると言える。まずは予選通過、それだけでも十分評価に値するし、本人も一安心という様子だった。

翌日の決勝。前日とはセクションが大きく異なり、より高いコントロール能力と高い段差へのジャンプが要求される個所を含む設定となった。難しい設定となり、どの選手にとっても一度や二度の足つきは避けられない状況で、精神的にはいくらか楽にはなる。こうなれば、ミスを恐れず攻めるのみ。総合力の高さが問われる。

各選手が苦手なセクションでそれぞれに点数をもらう中、土屋もいくらかの点数をもらいながらも、予選よりははるかに良い走りを見せる。しかし、1ラップ目の途中で“マーカーとばし”という初歩的なミス。これで5点が加算された事で1ラップを終えた時点での成績は6位。

集中力が途切れてもおかしくない状況で、彼の地力の高さが顔を覗かせる。吹っ切れた様子で2ラップ目の6つのセクションにトライ。合計点数が2点と、この日のベストラップとなる点数で2ラップ目を終了。そして合計点数14点、3位で競技を終了した。


メダルを手にして笑顔をみせる土屋

2ラップ目の成績からもわかる通り、技術においては間違いなく世界のトップである。勝負の世界で「~たら」「~れば」を語る事は愚かな事ではあるが、凡ミスが無ければ優勝という走りだった。

彼に足りなかったものが何か、それを得るためにどういったトレーニングが必要か。彼自身がその事を意識し、向き合う事が出来れば、翌年のカデットカテゴリーでも上位に入る事は可能であろう。近い将来に土屋や、彼と切磋琢磨する日本人選手達が表彰台の真ん中に立つ姿が見られる日が来る。そう期待しつつ、彼らに心からのエールを送りたい。

関連動画:2013全日本トライアル選手権

NEW ENTRY