2013全日本ロード 男子は新城 女子は與那嶺が共に独走勝利!

Posted on: 2013.06.24

6月22日から2日間、大分県平成森林公園の特設コースで行なわれた全日本選手権ロードレース。上りと下りのみの過酷なコースに加え、雨、霧といったハードな条件となった23日。

エリート男子は、フランスのチームヨーロッパカーに所属する新城幸也が独走勝利。今年、100回記念大会を迎えるツール・ド・フランス出場の可能性を残した唯一の日本人選手が、出場選考への望みを繋ぐ優勝を手にした。

また、同じく23日に行なわれたエリート女子は、昨年の女王、萩原麻由子(Wiggle Honda)を序盤から引き離した與那嶺恵理(チーム・フォルツァ!)が、およそ70kmの距離を単独で逃げ切り初の栄冠を手にした。

ファンの声援に応えてゴールする新城幸也(チームヨーロッパカー)

「力があるものが勝つ」。レース前、有力選手たちが口を揃えてコメントするシンプルな答え。風の抵抗、チームワーク、戦術。様々な要素が絡み合い勝負を決するロードレースだが、今回のコースでは、そんな様々な要素が全て「無」であるかのようなレース展開となった。

【新城幸也が死闘を制す 〜エリート男子〜】

コースは一周15km。スタート直後から、多少のアップダウンはあるものの、およそ9kmのテクニカルな下りが待ち構え、その後、一気に6km登る。獲得標高はおよそ6000mにも及ぶ。つまり、登りと下りのみの、全く休むことができない超ハードコースだ。男子はそのコースを12周回、180kmで行なわれた。

過酷なコースに加え、23日のレース当日は、朝から雨。加えて、会場を霧が覆い、全日本独特の緊張感の中、異様な空気でレースが始まった。レースは2周目から、8人の強力な逃げグループが形成される。その中には、土井雪広(チームUKYO)、新城幸也(チームヨーロッパカー)、西谷泰治(愛三工業レーシング)といった歴代チャンピオンが顔を揃えた。

それを追いかけるのはブリヂストン・アンカーがコントロールするメイングループ。しかし、そのメイングループも周回を重ねる毎に徐々に人数を減らし、プロトンとしての力は、徐々に弱まっていく。

それでも、チームメンバーに牽引された清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)、そして増田成幸(キャノンデール)らが中心となって、崩壊寸前のメイン集団をペースアップさせていく。

そうした中、6周目で、先頭集団にも動きがでる。新城幸也(チームヨーロッパカー)、土井雪広(チームUKYO)がアタックし、先頭グループも崩壊していく。この時点で、コース内に集団と呼べるグループはなくなってしまった。

6周目で先頭にたった新城幸也と土井雪広

レース中盤にして始まった、優勝候補2人による一騎打ち。残り90kmを残して、早くも力比べ、そして我慢比べといった戦いへと突入していく。後続からは清水都貴、増田成幸が迫るものの、先頭2人との差は縮まらず、そのまま終盤戦を迎えていくこととなった。

そして、2人の死闘に決着がついたのは、残り3周を残した10周回目。土井が嘔吐を繰り返し次第に遅れていく。そして、新城が単独でトップにたつと、そのままおよそ1時間半。単独で逃げ続けた新城が、6年ぶりに日本チャンピオンに返り咲いた。

欧州からレース直前に帰国。タイトなスケジュールで挑んだ新城は「どうしても勝ちたかったので本当に嬉しい。序盤の逃げに、土井さんがのったので、脚を使ってでも、先頭グループに入ることができたのが良かった。作戦どおり序盤から逃げにのることができたのが勝因だと思います。チームからは、まだ発表はありませんが、チャンピオンジャージを着てツール・ド・フランスのスタートラインにたてたら最高です。」とコメントした。

歯を食いしばり、まさに鬼の形相でレースに食らいつく選手たち。130人がエントリーしたエリート男子の完走者は、なんと16名。ゴールした選手たちの多くが、「何度もやめそうになった」と言うほど。一方で、このレースを制した新城の強さを全ての選手が称賛した。誰もが認める日本チャンピオン。日の丸を身にまとう王者が、次は世界最高峰のレースで活躍することを、すべての日本のファン・関係者が願う。


男子表彰台 優勝の新城幸也、2位清水都貴、3位増田成幸

【與那嶺が独走で初の日本王者へ 〜エリート女子=】

男子の5分後にスタートをきったエリート女子。男子同様、雨と霧という条件の中、過酷な展開が予想された。そうした中、注目は、昨年の全日本選手権で最後の最後まで死闘を演じた萩原麻由子(Wiggle Honda)と與那嶺恵理(チーム・フォルツァ!)の対決。

今シーズンから、イギリスのプロチームWiggle Hondaに移籍した萩原。そんな世界舞台で経験を積む萩原に対して、與那嶺は、競技歴2年ながら、驚異的な成長を続けるロードレース界待望の新鋭だ。

2週間前に行なわれた全日本タイムトライアルでは、萩原に30秒差をつけて勝利した與那嶺。初の全日本タイトルを獲得し、世界挑戦を視野に入れ、この戦いに挑んだ。

エリート女子は、15kmの周回コースを6周回、90kmで行なわれた。レースは1周目を終えて、早くも先頭は與那嶺、萩原を含む5人に絞られる。

さらに、2周目、與那嶺が登りで抜けだすと、そのままどんどん差を広げ、独走を開始。そこから60km以上、単独で逃げ続けた與那嶺。最後の最後までペダルを踏み続け、2位の金子広美(イナーメ信濃山形)に4分30秒以上の差をつけて勝利。タイムトライアルと合わせて2冠を果たした。

2周目で単独トップにでる與那嶺恵理(チーム・フォルツァ!)

レース後、與那嶺は「タイム差をもっと広げたかったですが、それができなくて課題が残るレースにもなりました。それでも勝てたことはとても嬉しいです。あとは、世界選手権までに、登りをもっと強化して、結果が残せるように、練習に励んでいきたいと思います。応援よろしくおねがいします。」

あどけない表情の中に、しっかりと心に刻まれた世界挑戦への決意。とてつもないスピードで進化をつづける22歳が、日の丸を背負って挑む、世界選手権での活躍に期待が高まる。


女子表彰台 優勝與那嶺恵理、2位金子広美、3位萩原麻由子

男子エリート 結果(180km)
優勝 新城幸也(チーム ヨーロッパカー) 6時間17分31秒
2位 清水都貴(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +6分15秒
3位 増田成幸(キャノンデール プロサイクリング)+9分14秒
4位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム) +9分54秒
5位 福島晋一(チームNIPPO・デローザ) +10分48秒
6位 初山翔(ブリヂストンアンカーサイクリングチーム) +11分58秒
7位 武井亨介(チーム・フォルツァ!)+12分41秒
8位 土井雪広(チームUKYO)+12分56秒
【完走者16名】

女子エリート 結果 (90km)
優勝 與那嶺恵理(チーム・フォルツァ!)3時間27分29秒(AVS26.02km/h)
2位 金子広美(イナーメ信濃山形)+4分33秒
3位 萩原麻由子(Wiggle Honda)+7分08秒
4位 崎本智子(ナカガワAS.K’デザイン)+13分07秒
5位 西加南子(LUMINARIA)+18分19秒
6位 上野みなみ(鹿屋体育大)+20分21秒
7位 下澤千亜紀(team anterior)+22分55秒
8位 福本千佳(同志社大)+30分49秒
【完走者8名】

男子U23 結果(135km〉
優勝 徳田鍛造(鹿屋体育大)4時間42分07秒
2位 西村大輝(シマノレーシング)+1分55秒
3位 山本元喜(鹿屋体育大)+2分57秒
4位 広瀬樹(中央大)+3分06秒
5位 石橋学(鹿屋体育大)+3分53秒
6位 内野直也(EQA U23)+3分59秒
7位 徳田優(鹿屋体育大)+8分15秒
8位 板橋義浩(日本大)+9分35秒
【完走者11名】

男子ジュニア 結果 (90km)
優勝 黒枝咲哉(日出暘谷高)3時間13分09秒
2位 岡篤志(Cプロジェクト)+02秒
3位 雨澤毅明(那須ブラーゼン)+10秒
4位 小山貴大(前橋育英高)+12秒
5位 山本大喜(榛生昇陽高)+1分12秒
6位 吉田優樹(日本大)+1分32秒
7位 齋藤瞭汰(前橋工業高)+5分06秒
8位 野本空(松山工業高)+11分20秒
【完走者8名】

男子U17−U15 結果(60km)
優勝 石上優大(横浜高)2時間12分42秒
2位 中村圭佑(昭和第一学園高)+12秒
3位 水谷翔(南大隅高)+30秒
4位 日野竜嘉(松山聖陵高)+1分37秒
5位 冨尾大地(南大隅高)+3分46秒
6位 小野廉太郎(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)+5分14秒
7位 安田開(北桑田高)+6分42秒
8位 黒澤虎南(VC Fukuoka)+7分47秒
【完走者10名】

女子ジュニア 結果 (45km)
優勝 坂口聖香(パナソニックレディース)1時間55分24秒
2位 谷伊央里(前橋育英高)+24秒
3位 伊藤杏菜(Ready Go JAPAN)+1分09秒
4位 伊藤小紅(浜松学院高)+5分24秒
5位 大谷杏菜(桜丘高)+6分52秒
6位 元砂七夕美(榛生昇陽高)+7分50秒
7位 坂口楓華(パナソニックレディース)+9分22秒 ※女子U17優勝

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